特集「ヒジャーブ」

 

インディア・トゥデイ3月2日号の特集は「ヒジャーブ」。この下敷きとなっているのは、今月カルナータカ州のある学校で起きた出来事とそれに対する学校の反応がインド国内はおろか、海外でも大きく取り上げられるトピックになっていることがある。

「私はムスリムなのでムスリムらしい格好で学校に通う」と、ヒジャーブ姿で登校した女子生徒。これを学校側が見咎め注意するも改めないためクラスへの出席を禁止、女子生徒は裁判所に訴え出るという顛末に。校内ではこの生徒に反発する生徒たちがアンチ・ムスリムの行動に出たり、外野の大人たちまで学校近くやSNSなどで騒ぎ立てるという具合になっている。

これがインド国内でテレビなどでも大きく取り上げられると、BBC、アルジャジーラその他、海外の有力メディアでもカバーされるようになり、かなりホットなトピックになっている。これが目下の「ヒジャーブ論争」であり、これに対応して組まれた特集が今回のものという次第。

こちらに張ったリンクは「インディアン・エクスプレス」の記事だが、同じインドメディアでも立ち位置が異なるものだと切り口や意見が異なるのはもちろんのことだが、イギリス、フランスなど欧州の報道陣による記事、隣国パキスタンや湾岸諸国の記事などと読みくらべてみると、さらに興味深い。視点や問題とする部分が大きく異なり、カルナータカ州の両者が折り会える着地点はないように思えてくるからだ。

Amid hijab row, a refrain from a Kerala school: ‘Idea is to be inclusive, that’s what India stands for’(The Indian EXPRESS)

学校に通う以上、そこの制服を着用することは進学を決めた時点で了解済みのはず。インドにおいても大多数の人たちがそう考えるはずだが、こうして社会問題化する側にはそれなりの意図と目的がある。行動を起こしたのは女子生徒個人であっても、そうさせることを仕向けた大人たちの存在があったのかもしれない。

さて、カルナータカ州の学校においてムスリムの女子生徒が問題提起した「ヒジャーブ問題」だが、さらに波紋を広げ、ついに死人が出るまでの衝突にまでなっている。学びの場で発生した問題とはいえ、広くコミュナルな緊張を招きかねないトピックなので、1日でも早く収束してもらいたいと願うしかない。

Security tightened in Karnataka’s Shivamogga after ‘murder’ of Bajrang Dal worker (Hindustan Times)

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