若いモンには負けていられん!

インドの総選挙。各政党のキャンペーンが白熱する中、なんと94歳にして選挙戦に臨むヴェラッパさんはインド最高齢の現役国会議員。独立前、国民会議派の反英運動に加わったことでアンダマン・ニコバール諸島の刑務所に投獄されたことがある筋金入りのフリーダム・ファイターでもある。国民会議派を離れ、BJPに加わり十数年。再選されれば、任期の5年を終えるころには100歳目前!まさに「生涯現役」だ。

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お手回り品にご注意

 カフェでのこと。斜向かいに一人で座っていた女性が立ち上がり、奥の化粧室のほうへと向かった。「ここにいます」という意思表示のためだろうか、財布と携帯電話をテーブルの上に置いたまま。幸運にもいままで盗られた経験がないのだろう。
 傍目には「ちょっと危ないな」と思えても、当人が被害をこうむることがなければよいのかもしれない。「安全」に対する意識は、なんといっても経験に基づき作られるからだ。
 用心しなくて済むのなら、それに越したことはない。家の窓に鉄格子がはめられていることはないし、閉店後も店のショーウィンドウには高価な品々が飾られている。カギをかけてみたところで、ガラスという一枚の脆い薄板に過ぎないということは誰もがよくわかっている。それでも周到な防備を必要としないのは、日本社会の良いところでもある。
 以前、カルカッタの繁華街で、お金を盗られてしまったという女性に会った。
「ちゃんとポーチに入れておいたのに」
と彼女は言う。首からかけた貴重品袋をショルダーバッグのように服の外に出していたらしい。人ごみの中をかきわけて歩き、ふと気がつくとそれが消えていた。彼女はあまり海外を訪れたことがなくインドに来たのも初めてだという。日本国内ではこんな風にポーチを盗られた経験がなかったのだろう。
 「日本にある我々の取引先にもって行けば、高値で買い取ってくれる」と価値のないクズ宝石を大量に購入させる手口は有名。様ざまな詐欺があるが、そうした怪しい話に簡単にひっかかってしまうのも、これまでの経験と照らし合わせ「大丈夫」と判断したからだ。

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ベトワ河の苦行者

 朝から自転車を借りてオールチャーの遺跡群を巡り、昼ごろベトワ河の岸辺に下りて一服。
 ふと水面に目をやると、誰かが河の中から顔だけを出している。溺れているのではないかと心配になったが、後頭部をこちらに向けて身動きひとつせずに静止している。「こんな修行をするヨーギーもいるのか」と感心して眺めていると、近くを通りかかった西洋人たちもやはり立ち止まって注目。
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 午後遅くなってからも男はまだ同じ姿勢で河の中にいた。すでに陽は彼方に沈もうとしている。アメリカから来たカップルが「あの人、大丈夫だろうか」と深刻な顔をして私に声をかけてきた。もしや水面下で流木に引っかかったまま失神しているのではないか、あるいはすでに息をひきとってしまったのではないか、私も心配になってきた。
 ……ところが身を乗り出して、よくよく目を凝らして瀕死の苦行者を見た私たちは、「真実」を発見し、顔を見合わせて大笑いした。遠目には人にしか見えないのだが、……そこには石を積んであるだけだったのだ。昨日は見かけなかったので、今日の午前中あたりに誰かが河に入ってしつらえたのだろう。
 まんまとだまされてしまった。誰だか知らないが「作者」のユーモアのセンスに大きな拍手を送りたい。

王子様、旅立つ!

photo by Mantra Online News
 ちょうどいま、インドは総選挙の時期を迎えている。日程は地域によって異なるが4月20日、4月26日、5月5日、5月10日に投票が行なわれる予定。
 国民会議派総裁=ソニア・ガーンディーの息子、ハーヴァード大学卒34歳のラーフル氏がアメーティー選挙区からの出馬を正式決定したことに国民の注目が集まっている。
 今回の選挙には娘のプリヤンカーが出るのではないかという予想もあったが、彼女は兄の選挙キャンペーンの応援に回ることになった。同地はウッタル・プラデーシュ州にあるネルー=ガーンディー家の伝統的な選挙区だ。父親で元インド首相の故ラジヴ・ガーンディー氏もかつてここで戦ったことがある。
 近年ジリ貧状態に追い込まれている国民会議派にとっては、初代首相の曾孫、「女帝」インディラの孫にあたる人物の登場は明るい材料ではあるが、政治経験もない青年にどれほど期待できるものだろうか。
 彼が無事当選し、しばらく経験を積んだ後、ようやく母親のソニア氏は家庭に戻れるのかもしれない。出馬したラーフルの胸のうちは本人にしかわからないが、かつて王朝とまで揶揄された家の嫡男に生まれたことで、結局政治以外の道を選ぶことを許されなかったのではないか。
 余談になるが故ラジヴ・ガーンディーの弟で、1980年に自家用機の事故で亡くなったサンジャイの妻マネカとその息子、つまりラーフルの叔母と従兄弟は国民会議派と相対する陣営にいる。こちらの動向も注目したいところだ。
▼’Rahul and I are inseparable’
http://timesofindia.indiatimes.com/articleshow/602854.cms
▼Rahul Gandhi files election papers
http://news.bbc.co.uk/2/hi/south_asia/3602091.stm

実現するか インド→ミャンマー→タイ

 今年11月、東インド・マニプル州インパールから、ミャンマーを抜けてタイまで5000Kmにおよぶラリー大会が開催されるという。
 第二次大戦時で多数の死者を出したインパール作戦のルートをほぼ逆にたどり、インド東北→ミャンマー→タイと、隣接していながらも、通常、旅行者は陸路で越えることが許されないルートを爆走することになる。関係各国相当力の入ったプロジェクトであることは間違いない。
 こんな計画が可能になったのは、インドとアセアン地域の交流が活性化したこと、インド東北部・ミャンマーなど反政府勢力を抱える辺境地域の政情が安定しつつあることが背景にあるのだろう。
 合計100チーム程度の参加を想定しているとのことだが、参加チームはインドとアセアン各国に限られるので、ローカルな大会になりそうだ。それでも両地域とも、世界各国の自動車メーカーがしのぎを削る激戦区なのだから決してあなどることはできない。
 下記リンク先記事中には「開発が遅れているインド北東部に外国投資を呼び込むPR作戦」というくだりがあるが、めぼしい産業はなく、外国人の出入りも少ないこの地域で「投資」といえば、地下資源開発を除いて、観光業以外まず考えられない。
 外国人が観光目的で入ることができるアッサムのような地域が、今後広く開放されてゆくのだろうか。このあたりは東南アジアと南アジアの境目に位置する地域。民族、文化、風俗習慣のどれをとっても興味深いことがあるに違いない。
 これまで東南アジアからインドに入る場合は、バンコク、クアラルンプル、シンガポールといった都市から飛行機で飛ぶしかなかった。しかし今後は「陸路でのんびりとインドへ」という夢のルートも可能になるのだろうか。
 期待させておいて、実際フタを開けてみれば、ルートや治安関係の難問続出。今回こそは「やはりダメでした」なんていうことのないよう願いたい。
▼今秋にも「インド・タイラリー」ミャンマーの協力が成功のカギ
http://www.asahi.com/car/news/TKY200404050227.html
▼Indo-ASEAN car rally (The Sangai Express)
http://www.e-pao.net/GP.asp?src=2.10.240304.mar04
▼First INDIA-ASEAN Motor Car Rally in November (IBEF)
http://www.ibef.org/artdisplay.aspx?cat_id=35&art_id=1830