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カテゴリー: travel

  • お茶の風景

     西ベンガル州のシリーグリーからバスで東へ走る。この州には、ここらのような丘陵地、ダージリンあたりのような山岳地、カルカッタやその周辺のように大河の沖積平野からなる低地、国立公園のスンダルバンで知られるマングローブ地帯もあり、地形・気候ともに実にバリエーションに富む面白い土地だ。
     インドという国は、しばしば「ひとつの世界である」と表現されるが、西ベンガル州はまさにそのインド世界の縮図であるかのような気がする。さらに隣国のバングラデシュも含めてベンガル地方として眺めてみれば、その広がりの大きさは実に驚嘆すべきものがある。もちろんひとつの「世界」を感じさせる深みと広がりを持つ地域はベンガルだけではなく、他にも数々あるのがこの国の偉大なところである。

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  • 鮮度が命!2 標準化はエコノミーなホテルの宿命?

    サダル・ストリートで新築のホテルを利用する直前、私はまさにその標準化の最中にあるホテルを利用する機会があった。同じ西ベンガル州内である。

    バスで移動していたら思いのほか時間がかってしまい、終点の田舎町に着いたときはすでに日没となった。同日中にたどり着くつもりでいた目的地へは、ここで他のバスに乗り継ぐ必要がある。でも疲れていたし、バススタンド正面に新しそうなホテルが目に入った。ここで一泊して明朝早く出ることにした。日々沢山のクルマやバスなどが行き来する通りに面しているため、ややすすけた感じはするが、かなり新しい建物ではあるようだ。

    グラウンドフロアーのレセプションで、ひょろりとした体をカウンターに預けている男はここのマネージャー。突然訪れたお客のために、テレビで放映されているクリケット中継から目を離すのが惜しくて仕方ないといった様子で、試合を注視する他の従業員たちが声を上げるたびに、チラチラと未練がましく画面に視線を走らせる。

    ここは開業してから4カ月という。室内には姿見の大きな鏡、ベッドの横には大きな丸いガラステーブルが置かれており、まだそう遠い過去のことではない創業時の熱き思いがしのばれる。

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  • 鮮度が命!1 エコノミーなホテルは新しいほうがいい

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     カルカッタに着いた。とりあえず宿を見つけなくてはならないので、サダル・ストリートに向かった。市内各地にいろんなホテルがあるのにわざわざここに来なくてもいいはずだが、どこか「いい宿」の正確な所在地を知っているわけではない。だからタクシーには「サダル・ストリートまで」と告げることになってしまう。
     料金の割にかなり粗末なところが多いのは、カルカッタという大都会のためか、あるいは黙っていてもさまざまな旅行者たちが集まってくるためだろうか。
    比較的コストパフォーマンスの高い宿は、たいていロンリープラネットのガイドブックお勧めであったりする。そのため正午あたりにでも着かない限り、往々にして満室なのである。私はすでに二件断られていた。
     どこかテキトーな宿がないものかな?と歩いていると、頭上に「OPENING SHORTLY !!」という垂れ幕がかかっていた。

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  • 安宿街に歴史あり

     バンコクのカオサン・ロード、ジャカルタのジャラン・ジャクサなどと同様、アジアの安宿街として内外に広くその名を知られるカルカッタのサダル・ストリート。
     カルカッタ市内としては古くからある地域で、なかなか風情のある建物も多い。中小規模ながらもなかなか格式のありそうな構えの教会も目立つ。往時は猥雑なエリアではなかったのかもしれない・・・と、この通りにどこか折り目正しさを感じるのは私だけではないだろう。

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  • パッケージツアー「ナガランド」

     世の中には、さまざまな旅行代理店が企画したいろいろなパッケージツアーがあるものだが、日本のそうした旅行会社から「ナガランド」行きのものも出ているとは知らなかった。
     なんでも「州都コヒマからトフェマ、モコクチュン、モンへと北上し、ナガ丘陵に暮らす様々な部族の村を訪れる」とあり、このツアーは「年に一度のアンガミ族の祭り・セクレニ祭」のタイミングに合わせたものであるとも、広告のウェブサイトに記載されている。来年2月下旬から3月始めにかけてのツアーで、いくつもの村々を訪れて風物を楽しむのだという。
     立ち入りが制限されており、入域許可を得るにも条件等のため、なかなか訪れることができない地域であるし、ましてや時間のない人にはそれらの手続きや交通の便の関係からもハードルが高くなる。そのためこうしたものを利用するのも悪くないと思う。
     しかし参加料金は約40万円と高額であるため、利用できる人は非常に限られてしまうのは残念である。私自身、とても手が届かない。
     行程一覧を眺めてみると、ちょうどタイあたりの山岳少数民族の村々を訪れるツアーのイメージと重なるものがある。やがて地域の情勢が今よりもさらに安定に向かい、この地域が広く外国人旅行者に開放される日もそう遠くないのかもしれない。そうなれば、官民挙げて発展を目指すのはやはり観光であろうことから、この地域行く末が見渡せるような気がしないでもない。
     ある人はそれを地域振興と呼び、またある人はそれを観光公害と表現するのかもしれない。地域のありかたは、基本的にはそこに暮らす人々が決めることとはいえ、外部からの投資家やデベロッパーのような人たちに牛耳られてしまうなんてことも往々にしてあるのだろう。これについて私自身は何とも言えないが、派手に観光化する前に訪れてみたい気もするし、そうした地域の変遷を何年おきかで定点観測してみるのも、なかなか興味深いことではないだろうかと考えている。
     期間限定の一度限り、そして人数12人までと記載されているため、とっくに募集は終わっているのかもしれない。しかしこのツアーに興味を引かれて参加するのはどういう方々なのか、という点でもちょっと関心のあるところだ。

  • カイバル峠の向こうが見えてくる

     インド周辺地域も実に魅力あふれるところが多い。現在の「国」の枠を超えた人々の活動とともに栄えてきた地域だ。重層的に連なる歴史や文化を人々は国境線を越えて共有しているといってよいだろう。
     有史以来、思想や言語、宗教や建築を含めて文化的にもインドとの間に濃いつながりがあったアフガニスタン。南アジアと中東、中央アジアと中国といった異なる文化圏が交差するところでもあり、まさに「文明の十字路」として豊かな伝統を持つ国。決して今のように外界から孤立した地域ではなかった。20数年間もの不幸で長きに渡る混乱を経て、再び「観光地」として世間の注目を取り戻しつつあるかのように見える。
     まさにこの機を待ちかまえていたかのように、今年9月末ついに日本語によるアフガニスタンの旅行案内書が刊行された。同書表紙には「本邦初!(世界でも珍しい)のガイドブックが登場」とある。
     カーブル、バーミヤン、マザリシャリフ、クンドゥズ、ヘラート、カンダハール、ジャララーバードといった世界的によく知られた街やその周辺部などが紹介されている。アフガニスタンの旅行情報そのものが他国に比較して極端に少ないこと、また初版ということもあり厚みはないのだが「ロンリープラネット」や一昔以上前の「地球の歩きかた」のように、一人旅向けの実用的なガイドブックに仕上がっている。

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  • ニッポンで稼ぐインド国営会社

     近年、外資系企業の活躍が目立つ日本の保険業界。アリコ、アフラック、アメリカンホーム、チューリッヒ等々、扱う商品の内容はともかく会社の名前は馴染み深いものとなっている。そんな中、日本で長きにわたって活躍しているインドの保険会社がある。しかもこれが国営企業だといえば驚く人も多いだろう。
     その名もニューインディア保険会社 (The New India Assurance Co. Ltd.)である。1919年にボンベイで設立された同社はターター・グループ経営の保険会社として発展を続けた後、1973年に他社と合併したうえで国営化された。

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  • ヘリテージな宿でまどろむ

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     ゴアのスィンケリム(Sinquerim)ビーチに行ってみた。オフシーズンなのでほとんど観光客の人影がない。店やレストランの類も扉が締め切られたままのものが多い。風が強くて木々が大きく揺れている。海もかなり荒れている。
     散歩している私のすぐそばで轟音と振動が感じられた。首をすくめたまま目をやるとそこにヤシの実が転がっている。この固くて巨大な実の直撃で、世界各地で毎年命を落とす人は少なくないそうだ。どこに不幸が転がっているかわからないものである。以前もどこかで危うくヤシの実にノックアウトされそうになったことがあったが、まだ子供も小さいのではるか彼方の「楽園」へのご招待は当分ご遠慮願いたい。
     州都パナジに近い立地もあってか、大資本のビーチリゾートが散在するこの海岸にはタージグループのホテルも二軒ある。The Taj Holiday VillageFort Aguada Beach Resort, Goaだ。
     前者は北上すればカラングートビーチに向かう道路沿いにあり、コテージ等さまざまなタイプの宿泊部屋が広い敷地内に散在している。開放感があってのんびりするには良さそうだ。しかし施設がかなり古くなっていること、どうも手入れがいまひとつで、タージグループのホテルとしてはちょっと高級感に欠けるのが気になる。
     後者は17世紀にポルトガル当局が建てた砦に面している。当時この地方の海岸守備の要であっただけにアラビア海の絶景が望める素晴らしく、最高のロケーションに建てられたモダンなホテルだ。おそらくグループ内で働く人たちにとって、前者は左遷先、後者は出世コースといったイメージがあるのではないだろうかと想像してしまう。
     いずれにしても大規模な施設だが、閑散期にはほとんど稼動していない様子を見るにつけ、とりわけシーズンとそれ以外の時期で大きな差がある地域では、観光という業種がいかにロスの多いものであるか、また季節や景気その他に左右される度合いが大きく不安定な稼業であるかということが感じられる。

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  • ゴアのコロニアルマンション

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     ゴアのマルガオから15キロほど東に進んだチャーンドールに行ってみた。ここではポルトガル時代に建てられたいくつかの豪邸が残っていることで知られる。その中の最も大きなものは主の名からBRAGANZA HOUSEとして知られるこの屋敷は、旧宗主国の建築スタイルで建てられている。このBRAGANZA家は大地主、ポルトガル語を母語とするゴアのエリート社会を代表する名家であるとともに、20世紀初頭に活躍した政治家でありジャーナリストでもあったLUIS DE MENEZES BRAGANZAを生んだ。
     そのエキゾチックな景観から、このあたりは映画のロケにもしばしば使用されるという。訪れたときにもちょうど撮影が行なわれているところだった。大所帯の撮影チームの中にいた「メイクアップ・アーティスト」だという男によれば、スニル・シェッティー主演で今年12月公開予定の作品とのこと。
     インドはおろか日本でも一般的に「映画撮影」の現場にどれほどの数の人々が関わるものなのか知らないが、野次馬や警備の人たちを除いても100人以上であったと思う。こんな大勢を指揮するのはさぞ大変なことだろう。雑用も含めたいろいろな人たちを仕切る専門のフィクサーがいるのだろうと想像している。「この人がいないと映画は出来上がらない」というような、一般には知られていない凄腕手配師や辣腕エージェントの存在があるのではないだろうか。
     さてこの屋敷、「パレス」と呼びたくなるほど堂々としたものである。玄関口に出てきた使用人に見学したい旨伝えると、屋敷の主の夫人だという初老の女性が出てきて案内してくれた。豪壮な屋敷の中には、世界各国、主にポルトガルやイタリアの家具類、シャンデリアや中国(マカオ)の陶器の皿などの骨董品がたくさんあり、それ自体で博物館のようだ。駕籠や武器なども展示されている。広大な屋敷の中で公開されているのは1階(日本式に言えば2階)部分だ。
     450年の歴史を持つ家とのことで、建物は幾度かの増築を繰り返してきたものだという。当主は現在17代目だとか。大きなホールや寝室も、有力なマハラジャの居室にさえ匹敵するスケールと豪華さだ。ベッドは足が長く床の高いコロニアルなものである。寝室のすぐ外にはチャペルもあった。往時は専属の神父がおり、ここで家族の日曜礼拝が行なわれのだそうだ。
     しかし今となっては、この建物は維持費もかかるため、こうして公開しているわけだ。他家から嫁入りしてきた老婦人、この家が繁栄していたころには、よもや下々の人間に家を公開したり自らガイドのようなことをして報酬を受けたりするような日が来るなどとは夢にも思わなかっただろう。彼女の日課となっているこの作業だが、ふとしたことで没落したとはいえ名家としてのプライドとそれに相対する恥じらい等々、いろいろ想うところがあるのかもしれない。

  • ドリアンに期待する

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     Ancestral Goa は、ポルトガル時代のゴアの生活を再現したテーマパークだ。入場料は20ルピー。インド人の家族連れやカップルその他の観光客等の訪問多い。ちょっと古いが、Deccan HeraldでHeritage revisitedと題してこの施設のことを取り上げた記事がある。
     展示物はペイントされた土人形や主に同様の素材からなる建物のミニチュアからなり、履物作り、市場の様子、ローカルな酒場その他農村のさまざまな光景が再現されている。いくつかの展示物ごとに担当の説明係がいて、ゾロゾロとやってくるお客たちの顔を見て、英語あるいはヒンディー語その他で説明してくれる。人形にしても建物の造りにしても「民俗村」としてはチープすぎるが、ちょっとマンガチックな温かみを感じる屋外展示物が並ぶ。
     園内には小さな「聖地」もあった。通称「Big Foot」なるローカル聖者が祭られているのだ。テーマパークにこんなスペースがいきなり出現しても、一応線香を上げて手を合わせる人たちが多いのはやはりインドらしいところだろうか。

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  • スパイスを眺める

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     つまらないからやめときな、と言うのは運転手。 「草木を見て300ルピー払うのかい?無駄だよ」ときた。 その「つまらない」とはスパイス・ファームのことである。かつて「黄金のゴア」としてその名を広く知らしめたこの土地の主要な産物のひとつが香辛料であったのはご存知のとおり。今もそれらを作る農場がいくつもあるのだが、そのうち何ヶ所かは入場料を取って観光客用の見学コースを設けている。
     私たち一家が向かったのはポンダという街の近くのサハカーリー・スパイス・ファームという農場だ。ちなみに「ポンダ」はデーヴァナーガリーではफोंडाと綴るのだが、ローマ字ではPHONDAではなく、通常PONDAと表記されている。

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  • インド発 楽しい海外旅行

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     インディア・トゥデイ誌8月8日号 によれば2004年にインドから海外旅行に出た人々の数(観光以外の出張旅行なども含まれているのかどうかは不明)は620万人で前年比16パーセント増、2005年は750万人で20パーセント増の見込みだという。  
     日本からの海外に出かける人々の数に比べるとたいしたことはないし、さらにインドの巨大な人口からすればたいした数字ではないとはいえ、先行きが大いに期待される新しいマーケットが出現したことになる。
     国全体として眺めてみると、貧困を原因とする社会問題がいまだに山積されている。所得格差がますます広がったと見る向きもあるかもしれないが、いつでも先進的な部分とまったくそうでないところが折り重なっている様は、いつの時代にあってもインドらしいといえるかもしれない。
     過去にはほとんど無視できるような数であったこと、国際観光業といえば主に外国からインドに来る人々をさばくことであったことを思えば、なんと大きな変化であろうか。 海外旅行する人たちの訪問先の38パーセントが中東方面、34パーセントが東南アジア方面という。これらの地域でも特にインド系の人口や宿泊・食事関連施設の多い 国々への訪問客が多いようだ。そして28パーセントは欧州方面に繰り出している。
     国別で見れば、1位シンガポールに47万人、中国に31万人、アメリカに30万人、タイに30万人、香港に24万人とある。90年代まで二国間の直行便のフライトもなく、アルナーチャル・プラデーシュからカシミールまで、非常に長い国境を接していながらも、相互の行き来が公にはほとんど無に近かった中国だ。(地元の人々による「国境貿易」は細々と続けられてきたし、ごく限られた人数ながらもカイラス巡礼を行なうインド人ツアーグループは以前からあったようだが)
     それが今ではリッチなインド人たちがよく訪れていたアメリカやタイをしのぐほどの人気を博しているというのには驚かされてしまう。 

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