
Ancestral Goa は、ポルトガル時代のゴアの生活を再現したテーマパークだ。入場料は20ルピー。インド人の家族連れやカップルその他の観光客等の訪問多い。ちょっと古いが、Deccan HeraldでHeritage revisitedと題してこの施設のことを取り上げた記事がある。
展示物はペイントされた土人形や主に同様の素材からなる建物のミニチュアからなり、履物作り、市場の様子、ローカルな酒場その他農村のさまざまな光景が再現されている。いくつかの展示物ごとに担当の説明係がいて、ゾロゾロとやってくるお客たちの顔を見て、英語あるいはヒンディー語その他で説明してくれる。人形にしても建物の造りにしても「民俗村」としてはチープすぎるが、ちょっとマンガチックな温かみを感じる屋外展示物が並ぶ。
園内には小さな「聖地」もあった。通称「Big Foot」なるローカル聖者が祭られているのだ。テーマパークにこんなスペースがいきなり出現しても、一応線香を上げて手を合わせる人たちが多いのはやはりインドらしいところだろうか。

ゴアに生えている植物、特にフルーツやスパイスの木などが植えられている一角もあるのだが、ここで非常に嬉しい発見があった。なんとドリアンの木があり、まだ小さな実をつけているのだ。ドリアンといえばタイやインドネシア産のものが有名で、いうまでもなく東南アジアで大量に消費される果物だ。食する人をあれほど恍惚とさせる味覚は他にありえない・・・と、この黄色がかったクリーミーな果実を溺愛する私である。「地球最後の日」が来るとしたら、その日はドリアンの中でも選りすぐりの一番美味な果実を探り当ててかぶりつきたいと思うのだ。
インドを含めた南アジアも一応ドリアンという植物の分布地に含まれていることは知っていたし、以前スリランカを訪れたときに山間部の道端で販売されているのを見かけたことがあったものの、町中ではその姿を見かけることはなく、とてもがっかりした。
気候的にはインド南部にしてもスリランカにしても年中温暖で湿度が高いため、栽培に適しているのと思われるのだが。人々の嗜好に合わないのかもしれないが、口にするきっかけがないがゆえに流行らないということもあるだろう。
ここで「ゴアの植物」として紹介されているからには、野生(?)のドリアンが少なからず生えているのだ。自生しているドリアンが、やがて熟して強烈なガス臭にも似た芳香を放ちつつも、誰にも見向きもされずに腐っていくのだとすれば、あまり悲しい話である。それとも地元の在来種はそれほど美味しくないのだろうか。
インドにあってドリアンはまだまだ幻のフルーツだが、オセアニア産のリンゴをはじめとして、近ごろ輸入フルーツの消費が増えてきている近ごろ。好調な経済成長に伴うライフスタイルの変化とともに、食生活も大きな転換を迎えている昨今のインドである。元来食べ物については相当保守的だった人々も、新しいモノに対してかなり積極的になってきている。何かのきっかけで人々がドリアンの風味に「開眼」あるいは海外への輸出作物としてのドリアン栽培がインドで注目される・・・という日が来ることはないのだろうか。
固くて巨大なトゲトゲの中に隠されたふんわり柔らかな果実という意外な取り合わせ、そして遠くまでプーンと漂う個性に満ちた芳香(悪臭と表現する人もあるが)インド国内・国外を問わず「エキゾチック」なイメージで観光客たちを魅了しているゴアにあっては、まさにうってつけの異国情緒にあふれたキャラクターになり得ると思うのだが。
いずれにしてもそのおこぼれにでもあずかることができれば幸いである。

コメントを残す