列車の中からインターネット

列車の中からインターネット
 
 かねてより話題になっていたインド国鉄のインターネット列車がついに実現。まずは6月末から、デリー・アムリトサル間、デリー・ボパール間路線のアッパークラス車両内でサービスを開始するとのことだ。 
 ここ数年、インドの通信環境の急発展には目を見張るばかりだ。国内の都市どこへいっても、インターネットにアクセスするのに不自由を感じることは無くなりつつある。ネットカフェ普及の背景には人びとの購買力不足がある。自前のPCや携帯電話を使ってインターネットに自由にアクセスできる人は、インドの膨大な人口を思えば、ほんの一部にすぎないことは間違いない。 
 たとえ携帯電話の普及率がウナギ昇りでも、いまだ街角には電話屋の姿がある。「仕事の必需品だからね」とタクシー運転手たちが携帯を持つことさえ珍しくない。しかし、それはあくまでも都市部に限ってのことだ。
 日本の場合、ケータイの普及とともに、街角の公衆電話はその存在意義を危うくし、次第に撤去されていった。昔は台風や事故で電車が止まると、公衆電話の前に人びとが長蛇の列を作ったが、そんなもの今では過去の記憶の中の風景となってしまった。
 インドでは携帯の普及が、そのまま電話屋存続の危機につながっているわけではないようだ。高価な機器、割高な通話料金を負担できる消費者はごく一部にすぎず、大多数の人たちはいままでのように電話屋を利用するしかない。
 もともと自宅に固定電話を持つ経済力さえなかった層の人びとが、携帯電話という金食い虫に飛びつくとは考えにくい。現在、携帯電話を利用している人たちの多くは、以前から形は違えど、様ざまな消費生活を楽しんできた層である。 
 そう考えてみると、インドにおいてハイテクの象徴にも見えるネットカフェの普及や列車内のインターネット接続は、まだまだ多くの人びとが自前で通信端末を持てない不便さの裏返しではないかとも思えてくる。
 PCの購入やインターネット接続にかかる費用は、先進国でも途上国でも、他の生活物価ほどの大きな差はないという。つまり、後者の負担はより割高であるということ。先進国とそれ以外の国、また途上国の社会で暮らす人びとの間に立ちふさがるデジタル・デバイドは、まさしく大きな壁なのだ。 
無線ホットスポットで快適 列車でネット (BBC)