ダーダルのパールスィーコロニー

初めて訪れたが別天地のようだった。清潔で良く整備された公園、パールスィーと思しき表札や屋号を掲げた屋敷やマンション。裕福な空間である。美しい豪邸が建ち並び、ここにあるゾロアスター教寺院も見るからに立派だ。平日の昼間なのに働き盛りと思われる男性の参拝客も少なくないようだ。
特にみるべきものはないのだが、Five Gardensという5つの公園があるエリアを中心に高級住宅地が広がっている。
ゴミひとつ見当たらないキレイな通りが印象的だ。
街路樹は伸び放題になっているかのように見えるかもしれないが、強い日差しを避ける目的があるため、日本における「街路樹かくあるべし」という基準のようなものとは違った存在目的がある。











アギャーリー(ゾロアスター教寺院)の名前がそのまま地名になっている。

ゾロアスター教寺院

ダマン4 海岸

ナーニー・ダマンの市街地からしばらく北上したところにあるデーヴカー・ビーチ。日本風の松林の中にヤシの木が混じるエキゾ空間。ここは岩場が多いが松の木が生えているエリアと浜の間くらいに海の家みたいなのがいくつもあり、みんなそこで飲んでいる。ほとんど男性客ばかりだ。たいていラムやウイスキーなど、安価に酔える酒をあおっているため、もう昼近くになると、大声で騒いだり、へべれけでフラフラしながら小便に立つ男性たちの姿が見苦しい。平日でこうなのだから、週末はどんなことになっているのかと思うと情けない。酒はスマートに飲もう。

あまり雰囲気が良くなかったので、ダマンの海岸に戻ることにした。昔の記憶では、ボロボロの穴が開いたようなシャツを着ていかにも貧しげな男たちばかりだったオート運転手の中にも、一見ちょっとしたいいとこのボンボンみたいに見えなくもない身なりと風貌の男の子が、たまーにいたりする近年。特に都会ではそういうのは珍しくはない。それだけ豊かになりつつあるということなのだろう。
ダマンでは、ご覧のとおりの逆三角のボディービルダー運転手がいた。見た目の筋肉に時間とお金を投資する余裕があるわけだ。庶民の可処分所得の変遷を比較(どういうモノサシで測ればよいのかわからないが)すると、なかなかおもしろいことになりそうだ。

お客が来ないのでフテ寝しているタトゥー屋。浜にはこういうのが多い。ひどく不衛生そうだし、病気がうつりそうだ。近ごろインドでも若い人たちで入れ墨しているのが増えてるけど、まったく感心しない。入れたら10年後どころか1週間後にでも覆いに後悔しそうなデザインサンプルを掲げている店もある。

タトゥー屋

湖かと思うほど穏やかな水面のダマンの海岸。アラビア海に沈む夕陽が大変美しい海岸だ。浜から長く沖に突き出している砂洲があるのだが、潮が引くと仰天するほど遠くまでそれが伸びる。更にはそこから先もずいぶん遠浅なので、かなり遠くまで出た人がくるぶしまでしか水に浸っていなかったりする。満潮の際の水面からすると、潮流は強そうで海水浴には向かない感じであるが。砂は黒く、粒が小さな石のような感じの浜で、昼間はまったくパッとしない。水も茶色で見映えするようなことはないとはいえ、夕陽の時間帯となるとこれが絶景となるのだ。インド人はカナヅチが大半なので、海で遊んでいる人たちは大勢いても、泳いでいる姿はみかけない。

ダマンのビーチに面した素晴らしいロケーションを占めるサーキットハウス。つまり役人用の宿泊施設。

夕暮れ時のダマンの眺めは最高だったが、とても残念なことがひとつ。

ビール瓶の破片が散乱しており、散歩していてもそこここで飲んでいる人たちが平気で瓶を放置していくし、立ち去り際にわざわざガチャンガチャン割っていくグループもあった。飲み終えてから海に投げる奴もいた。

酒税の低さで、飲酒がダマン観光の主要な魅力のひとつになっているだが、その結果としてのこうしたゴミの散乱は、目に余るものがある。

浜を歩くと足元でガラス破片がギシギシ、バリバリ鳴る。とても裸足で歩いたり、寝そべったりして日光浴などという環境ではない。サンダル履きで歩くのさえ危険なくらいだ。

野犬と治安

安全性、治安の良さの指標のひとつとして、野犬の不在という点も加味して良いかと思う。
深夜や早朝、そして自らの生活圏外のエリアの小路、田舎の村落などを歩いても、野犬たちに取り囲まれたり襲撃されたりするリスクが無いことへの安心感は高い。
インドでは、ムンバイのような大都会のオフィス街でさえも、界隈の会社などが閉まっている休日ともなると、人気の少ない真っ昼間に犬集団に囲まれ、締め切られた商店の扉を背にして応戦(背後を取られると危ないので)しなくてはならないような事態がある。あるいは夜間早朝の野犬リスクを避けるため、宿泊先を決める際に細い小路をどんどん進んだ奥にある宿よりも、通りに面した宿を志向する必要があったりする場合もある。そんなことから、日本において野犬がいないことからくる安心感はとても大きい。
徘徊する犬たちの存在は、それ自体が治安に関わるものだと私は考えている。

世界一安全な都市は東京、大阪は3位 19年版ランキング(CNN)

ダーンディー・ビーチ 「塩の行進」の海岸

1930年にガーンディーが支持者たちを率いて、アーメダーバードのサーバルマティ河のほとりにある彼のアーシュラムから、ここダーンディーの海岸まで25日間かけて実施した「塩の行進」。

到着翌日にはこの海岸で象徴的に塩を作ってみせることにより、人々に英国による専売の不当さをアピールするとともに、国民自ら塩を作り出そうと世間に訴えた。
この行進は、ガーンディーの非暴力不服従運動、スワーデーシー(国産品)運動の全国的な展開へと繋がる大きな契機となった。

ナウサリーに駅からオートでダーンディーの海岸まで往復してみた。街から出ると道の両側が大きな並木が続くインドらしい街道風景が続く。こうした眺めも交通量増加に対応するための道路幅拡張の工事、自家用車でのエアコンの普及などにより、かなり減ってきている。

このあたりの海岸の土壌ってどこも黒いのは鉄分が多いためだろうか。これがずっと南に下り、コンカン地方になると土壌が赤くなる。このあたりとは地質自体も異なるものと思われる。

辺りは平坦で何の危険もないと思われるのに、なぜ「セルフィー禁止」の看板が・・・?

ティーラトガルの滝

ジャグダルプルを出てからしばらくの間は良い道路が続く。昔ながらのインドの幹線道路では、これよりもっと大きく天を突くような大木が道路両側に等間隔で並んでおり、スケールの大きな景観を提供していた。中央アジア地域や中国の新疆でも道路両側に大きなポプラ並木が見られるが、樹木の種類は違えども、目的は同じだろう。緑のトンネルが遮光して往来する車両や人を強烈な日差しから守る、交通にかかる「インフラ」のひとつであった。

英領期から計画的に植えられてきたものだが、モータリゼーションの大衆化、物流の大量化、高速化に伴い、全国各地で幹線道路が複数車線化していく中で、当然こうした国道沿いの緑のトンネルは急速に姿を消している。おそらくパキスタンやバングラデシュでも同様だろう。幹線道路脇の並木は伐採されて、道路幅が拡張されていくのだ。

やがて周囲は森となり、勾配のある山道となってくる。こういう眺めを目の前にすると、マオイストが潜んでいるのはそういう地域なのだろうかと想像する。バスタルは「チャッティースガルのカシミール」などとも表現されることがあるが、高度がありスイスのような景観のカシミールとでは、美しさが異なる。

マオイストたちはこんな具合の森に潜んでいるが、夏季にはマラリアに大変苦しめられるという。

この地域ではやたらとサルが多い。ニホンザルの近縁のアカゲザルである。私には区別さえつかない。これほどたくさんいたら、このエリアを徒歩で行くのはかなり危険であろう。これは滝に着いても同様で、周囲にはサルがとても多かった。

やたらとサルが多い。

さて、そのティーラトガルの滝だが、天然の階段状になった小高い斜面を流れ落ちるという視覚的に面白いものはあるのだが、格別といえるような風情や眺めがあるわけではなかった。この日の目的地は他にあり、ここは途中で立ち寄っただけなのだが、もしここに期待して訪れていたら、かなりガックリきていたかもしれない。

滝の近くのマーケットで売られていたみやげ類
いまひとつパッとしない。