FRONTLINE 2018年12月7日号

インドのニュース雑誌「Frontline」最新号が発行された。
「前線」の名の示すとおり、左傾した論調が心地よい。 昔ながらのインドの高級誌は、やはり「左」なのだ。
今号の特集はカーシー・ウィシュワナート寺院、通称ゴールデンテンプルとその周辺の「浄化」作業による破壊と再開発への批判。1992年のアヨーディヤーでのバーブリーマスジッド破壊になぞらえた批判を展開している。

「ゴンドワナ州」の提案

ゴンドワナ共和党という政党がある。
ゴンドワナ大陸にちなんだ気宇壮大なネーミングというわけではなく、チャッティースガルに暮らすアーディワースィー(原住民、先住民族)のひとつ、ゴンド族をはじめとするトライバルの人々の利益を代表しようという政党。

ちなみにゴンドの人たちが暮らす先住民族エリアで、それぞれ異なる言葉を持つトライバルの人たちの共通語はゴンディー、つまりゴンド族の言葉だそうで、トライバル社会の中で社会的に上位を占める存在のようだ。このゴンドワナ共和党は、チャッティースガル州からアーディワースィーが多く住む地域を「ゴンドワナ州」の分離させることを提案しているのは興味深い。

今月中旬にチャッティースガル州議会選挙、下旬にはお隣のマディヤプラデーシュ州議会選挙が予定されている。前者はBJPと国民会議派が拮抗、後者ではBJPが優勢と伝えられている。
国民会議派陣営にあり、UP州を本拠地とする社会党が、ゴンドワナ共和党とマディヤプラデーシュ州議会選挙における協力関係を持つことが発表されたとの記事を見かけた。当然、それに先立ってのチャッティースガル州でもそのような形になると思われる。

いずれにしてもどちらの州での選挙についても「統一的価値観+中央政府と同一政権による経済発展」(BJP)を取るのか、それとも「文化の多様性尊重、地域やコミュニティ特性の尊重」(国民会議派)を取るのかという選択が求められることになる。

そうした中で、仮に国民会議派が勝利したとしても、連立の中のごく小さな部分を占めることになる部族政党。数こそ正義なので大きな影響力は及ぼし得ない。よって、この地域で部族民を中心とする共産主義過激派の活動が盛んだが、マオイストたちにとって、圧倒的な数の力の前に投票という行動で無力な彼らによる武装闘争は「造反有理」で「革命無罪」ということになるのだろう。

Will contest Chhattisgarh, MP polls with SP: Gondwana party chief (MENAFN)

アジアライオンの大量死

アジアで唯一、ライオンが棲息するグジャラート州のギール地区にある国立公園。頭数に比してエリアが狭いこともあり、一部をラージャスターン州の国立公園へ移住させる計画もあったが頓挫した過去がある。
希少な野生動物だけに、そういうリスクヘッジも必要であった。

インドでライオン大量死=希少種、ウイルス原因か(jiji.com)

悲惨な修復

前回は、シェカワティーのハヴェーリーの安直な修復例について取り上げてみたが、さらに悲しい例もある。

描かれていたフレスコ画が荒れ果てて、壁を守ってきた漆喰自体も崩落が目立つようになったためだろう。建物自体の保護のために、石壁をあしらったビニール素材の壁紙で壁面を覆ってしまった例もある。

おそらくオーナーは古くから残されてきた絵には関心を持たないか、それを修復する費用の支出を賄うことが困難なのだろう。しかしながら家屋自体については末永く使っていきたいという意思の元でこのようになされているはずだ。

私有財産であること、フレスコ画の修復には多大な費用がかかるのでやむを得ないことであるし、所有者ではない私たちがとやかく言える筋合いでもないのだが。

石壁を模した壁紙で覆われてしまった例
ビニール素材の壁紙なので風雨には強いのだろうが・・・。
レストランに転用されたハヴェーリー。フレスコ画が描かれていた壁は白い漆喰で覆われてしまっている。

ハヴェーリーの安直な修復

近年は、シェカワティーが世界遺産登録を目指す動きなどがあるように、郷土の伝統として認識されるようになってきているこの地域のハヴェーリー。各地で積極的に保存や修復に取り組む例も増えているのは好ましいことだ。

しかしながらその一方で、安直な修復も目立つようになってきており、このような例も決して少なくない。バザールで売られている神様の絵のような感じで描かれており、遠目にはキレイに見えるかもしれないが、かなり残念なことと言えるだろう。

私有財産であるハヴェーリーは文化財登録されているわけではないし、ハヴェリーが条令等で保護されているわけでもないため、どのように処するかはオーナー自身の裁量に任されているわけなので、どうにもならない部分が大きい。

遠目には色鮮やかでキレイに見えるかもしれないが・・・。
本来あるべき姿とは大きくかけ離れている。
それでもかなり費用をかけていることは間違いないのだが。