イギリスの玩具製造販売会社Spin Master Toys UKが、シャミーン・ジヴラージのプロデュースによるボリウッドスター人形の販売を始めてひと月あまり。在英の方はこれらをToys R Us、 Harrods、Argos などの店舗で購入することができる。価格は一体25ポンド。ちなみにインドでは999ルピーという価格設定になっている。
イギリス、インド両国以外の国から取り寄せるならば、amazon.co.ukに注文するのが最も手っ取り早い方法だろう。
今のところ出回っているのはシャー・ルク・カーン、カージョル、リティク・ローシャン、プリヤンカー・チョプラーだが、今後も新たなモデルを市場に投入していく予定らしい。
個人的に最も気になるのは、サンジャイ・ダットがどんな格好でこの『Bollywood Legends』シリーズに加わるのかというところ。映画MUSAFIRそのままの格好で登場したら即ゲットして部屋に飾りたい。
もしBollywood Legends Classicとしてラージ・カプールやナルギスの人形も出てきたりすることがあればそれらもぜひ手に入れたいが、果たしてそんな予定はあるのだろうか?
Bollywood Legends (amazon.co.uk)
B’wood dolled up to catch them young! (CNN-IBN VIDEOS)
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「ロリウッド」にボリウッドの足音が聞こえてくる
1965年に勃発した印パ戦争以来、パキスタンではインド映画上映が禁止されているが、人々は主に海賊版等によるレンタルビデオ、VCD、DVD、ケーブルテレビなどといったメディアにより、インド映画によく通じていることは広く知られているところだ。そのパキスタンで今、「インド映画解禁」の動きがあるという。もちろんそれとは並行して強硬な反対意見もあるのだが。
下記リンク先の記事によれば、パキスタンで1970年には1300もの映画館があり、年間300本もの映画が製作されていたものの、現在では映画館わずか270と見る影もなく、昨年の製作本数はなんと18作品でしかないのだという。この国では映画産業の衰退が深刻な問題になっている。
その背景にはいろいろな原因があるようだが、インドにくらべてショービジネス界への偏見が強く、才能あるタレントを発掘しにくいことからくる人材不足、隣国インドの映画を締め出した結果生じた保護主義的な環境の中で、競争力が失われたことなども含まれるのではないだろうか。映画界の尻すぼみ状態から資金も不足すれば、優れた演技者や制作者の育成が難しくなることは想像に難くない。ハリウッド、ボリウッドといった呼称にならい、パキスタン映画製作の中心地がラホールであることから「ロリウッド」と呼ばれていても、産業としてはインドのそれと比較して相当脆弱なのだ。
インド映画が本格的に入ってくることにより、地元映画の「ボリウッド化」が懸念されているというが、パキスタンの映画館そのものが自らの生き残りのためにインド映画を必要としているというのは皮肉な話だ。ハリウッド映画の配給は高価だし、庶民たちには言葉の壁もあるため、やはり頼りになるのはボリウッドというわけだ。
とりあえず今年末をメドに最近カラー化されたクラシック映画MUGHAL-E-AZAMが上映されようかという動きになっている。
追放される喫煙シーン
近年、インドでタバコを吸う人がずいぶん減っているように思う。鉄道その他公共の場所での禁煙化がとみに進んでいるこの国、日本に比較して喫煙率はかなり低いようだが、それでもインドで喫煙が原因とされる病気で亡くなる人の数は年間80万人から100万人と言われる。
そんなインドの保健省から、今年の8月から(あるメディアには7月とも)映画やテレビで喫煙シーンを流すことが禁止されるとの発表があり、波紋を呼んでいる。
現在のところ未確認とのことだが、ひょっとするとインドは映像から喫煙シーンを排除する世界最初の国となる可能性もあるらしい。
今後、スクリーンに登場する悪役たちをどう演出していくのかちょっと気になるところだ。安易に紫煙で斜に構えた役柄や退廃した雰囲気を出すのではなく、それなりの工夫が求められるようになる。禁止以前の古い映画については喫煙シーンが映る際に「タバコは健康を害する」と警告を字幕で流すのだという。
表現の自由にかかわることとはいえ、映画の大衆性と影響力を考えればそういう判断もまあ是とも非とも言えない気がする。喫煙行為への風当たりがとみに強くなっている昨今である。
だが下記のリンク先(BBC South Asia)記事中の「今度は暴力を助長するから銃器を見せることを禁止するんじゃないか?」俳優アヌパム・ケールのコメントにあるように、政府によるさらなる干渉を危惧する声もあるのはもっともなことだろう。
個人的にはタバコよりもある意味同調できる部分がある。近年のボリウッド映画の中で、かなり行き過ぎた暴力シーンが少なくないように感じる。ある程度自粛ないしは規制がなされてもいいのではないかと思うのは私だけではないだろう。
फ़िल्मी पर्दे पर धूम्रपान पर रोक (BBC Hindi)
Anger at Indian film smoking ban (BBC South Asia)
Smoking scenes banned on screen as India steps up anti-tobacco war (YAHOO ! NEWS)
スニール・ダット天国へ召される
サンジャイ・ダットの父、インド映画史上に残る大女優であった故ナルギースの夫、1960年代を中心に一世を風靡したスター俳優にして現職のスポーツ及び青年育成大臣のスニール・ダットが、本日5月25日午前3時ごろ、ムンバイの自宅で心臓発作により亡くなった。享年75才、6月6日に誕生日を迎える直前であった。
1929年、現在のパキスタンのパンジャーブ生まれ。分離独立時にインドに移住し、ムンバイのジャイ・ヒンド・カレッジで学ぶ。ラジオ番組のパーソナリティ兼インタビュアーの仕事を始めたことをきっかけに銀幕の世界に足を踏み入れた。俳優として代表的な出演作には「ミラーン」「ハムラーズ」「マザー・インディア」「メヘルバーン」「グムラーハ」などがある。
1984年に国民会議派に加入、21年間の政治家生活の間、5回連続で国会議員に当選を果たし、昨年より初めて中央政府大臣職に就くなど、政界でのキャリアも華々しい。
1981年に「ロッキー」に出演以降、アクション派俳優としての階段を登りつつあった息子サンジャイ・ダットが、80年代後半から90年代前半にかけて自ら引き起こしたドラッグ問題、武器不法所持等々のスキャンダルから立ち直ることができたのは、この偉大な父あってのことであろう。
近年そのサンジャイと「ムンナー・バーイー M.B.B.S.」で共演すれば「国会会期中にサボッてロケに行くなんて」との声が上がり、昨年12月の津波災害の直後に被災地を視察、「サッカーで気晴らしをすれば」との発言が物議を醸すなど、とかく世間の耳目を集める人物であった。
本日、遺体が荼毘に付されるのを前にムンバイのサンタクルーズの葬祭場には、政界の大物たちや映画界の大スターたちをはじめ様々な人々が弔問に訪れているようである。
故人のご冥福をお祈りします。
Parliamentarian Sunil Dutt is dead (Economic Times)
ハリウッド白黒映画に見るインドの英軍
モノクロ時代のハリウッド映画「ベンガル槍騎兵(The Lives of Bengal Lancer)」を見た。
1935年製作のこの作品は、若き日のゲイリー・クーパーが出演する英領インドを舞台にした冒険もので、相当好評であったらしく第8回アカデミー賞にノミネートされている。あらすじは以下のとおりだ。
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ストーリーはゲイリー・クーパー扮するベンガル槍騎兵第41連隊のマクレガー中尉に新しいふたりの年下の後輩たち、挑発的で生意気なフォーサイス中尉とやんちゃで子供っぽさの残るストーン中尉が加わったところから始まる。舞台は現在のパキスタン西部のアフガニスタン国境近くということになっているらしい。
何かと先輩マクレガーの手を焼くストーンは、なんと連隊の所属する守備隊のストーン司令官の子息。しかし軍の中での規律を何よりも重んじる司令官は、息子への愛情とは裏腹に、周囲から自分の子に対するえこひいきととられるようのないよう、公平に振るおうと努める。その結果、周囲の人々から見ても不自然なほどに息子を遠ざけることになり、父親の「冷たい仕打ち」にストーン中尉は大いに失望する。
そんな中、英軍からの武器弾薬の援助を依頼している地元豪族モハメド・カーンが、実は周辺の他勢力とともに守備隊に謀反を企てているという情報が、カーンの身辺に潜伏中のイギリス側のスパイからもたらされた。
企みが露見したことを知ったカーンは、策略を変えて強引な手法に訴える。夜な夜な外出しては遊び歩くストーン中尉を捕らえられて人質にしたのだ。
父親である司令官は「これは英軍をおびきよせて殲滅させる企みである」として、息子を救出するため自軍を展開することを拒否するとともに、彼に服従せず「それでも父親か!」と詰め寄るマクレガーには「軍法会議にかけるぞ」と脅しをかける。
そこで一計を案じたマクレガー、「同志」のフォーサイスとともに行商人に変装してストーン救出へと向かうがすぐに相手に身元が割れて、ふたりも同様に囚われの身となる。
現地に駐屯する英軍への補給路を絶ち、武器弾薬を横取りしたいカーンとその手下たちは、物資輸送にかかわる機密を聞き出そうと三人の人質に厳しい拷問を加える。マクレガーとフォーサイスは必死に耐えたがストーンは簡単に口を割ってしまい、二百万発もの弾丸を含む大量の武器がカーンたちの手に渡る。
装備で大幅に上回ることになった地元勢力を前にして、ストーン司令官率いるベンガル槍騎兵300名は、守備隊の存続を賭けてイチかバチかの大勝負に臨むべくモハメド・カーンの一味に急襲をしかけた。
カーンの城砦の中で、マクレガーとフォーサイスは機知をめぐらせて牢獄から脱出。相手の機関銃を奪い敵兵を次々と倒す。カーンの弾薬庫に火を放ち大爆発を起こさせたマクレガーだが、英軍の進軍ラッパが響いてくる中で命を落としてしまう。
それまでまったくの厄介者の過ぎなかったストーン中尉は、マクレガーの死を無駄にしてはならぬといきり立ち、敵軍の混乱に乗じて不倶戴天の敵モハメド・カーンを首尾よくナイフで仕留めた・・・・。