その名も「GR」

1990年代後半から2000年代初頭にかけて人気を博した広角単焦点の銀塩カメラGRシリーズのデジタル版として、GR-DIGITALが発売されたのは2005年10月のこと。

その後、3回のモデルチェンジによる改良を経て、非常に良く熟成された高級コンパクトカメラに仕上がっている。

今年5月下旬には、初代GR DIGITALから数えて5世代目となるモデルが登場するのだが、こちらはまさに「フルモデルチェンジ」という様相になる。ここで「フルモデルチェンジ」と表現したのは、カメラの心臓部であるセンサーのタイプの大幅な変更だ。1/1.7型 CCDから、ローパスレス仕様のAPS-CサイズのCMOS、つまりデジタル一眼並みのものが搭載されることになるからだ。

それでもボディの寸法はこれまでのGRシリーズとほぼ同じのコンパクトさであることも特筆すべきだろう。あんなに小さくてAPS-Cサイズのセンサーを搭載するとは驚きだ。

GRシリーズとしては、2012年4月に「RICOH」と「PENTAX」ブランドのカメラ関係事業が、ペンタックスリコーイメージング株式会社に統合されてから最初の記念すべきモデルだ。

カメラの機構そのものの大きな変更を行なうことからか、現行のGR DIGITAL ⅣからGR DIGITAL Ⅴとなるのではなく、世代を示す番号はもちろんのこと、DIGITALという表記をも外した「GR」となる。もはや名機GRのデジタル版を名乗る必要はなく、まさにこれぞGRの真打ちであるとする開発陣の意気込みと熱意が伝わってくる。

レンズの開放側がF2.8と少々暗め(GR ⅢとGR ⅣはF1.9)ではあるものの、センサーの面積は約9倍となることから、画質の飛躍的な向上はもちろんのこと、ラティテュードの幅も格段に広がるため、明暗差が大きな場面でも盛大に白トビさせることなく、自然な表現が可能となる。感度を上げても荒れは非常に少なくなることから暗所に強くなり、手持ちで撮影可能なシーンがグッと増えることにもなる。

このモデル性能等の詳細については、今後多くのカメラ関係のウェブサイトや写真雑誌等で様々な紹介や解説がなされるはずなので、ここで敢えて云々するつもりはないし、その必要もないだろう。

「インドでどうだろう、この一台?」ということで、発売前で実機に触れてもいないのだが、力を込めてイチオシしたくなるGRシリーズの最強モデル。発売がとても楽しみである・・・と、私自身すっかり購入モードに入ってしまっている。

GRシリーズ最高画質のコンパクトデジタルカメラ「GR」新発売 APS-Cサイズセンサー搭載、速写性を追求し小型ボディを実現 (ペンタックスリコーイメージング株式会)

GRスペシャルサイト(ペンタックスリコーイメージング株式会)

GALAXY Cameraの使用感

前から見ると普通のデジカメだが・・・。
背面の様子はまるでスマートフォン

先日、コールカーターで購入したGALAXY Cameraの使用感について述べてみたいと思う。

コンパクトデジカメとしての性能や写りについては、正直なところ「並みである」といったところだ。35mm換算で、23mmから21倍という超高倍率な光学ズームが付いているが、正直なところ、そんな倍率は要らないので、もっと良質なレンズを搭載して欲しかった。できれば単焦点で、明るくて描写の良いものを積んでくれれば良かったのにと思う。

だがこれについては、SAMSUNGは本来のカメラメーカーではなく、家電メーカーであること、技術的なこだわりよりも、マーケティングを最優先とする営業第一主義の会社なので、過剰な期待してはいけないのだろう。まあ、それでも並みの写りではあるが、決して日本メーカーの大衆向けコンパクトデジカメに比較して、描写が劣るわけではない。

ただ、やはり韓国らしいテイストが明らかであるため、好みは人それぞれだろう。一言でいって、コントラストと色のメリハリがかなり強めであること。ちょうと韓流ドラマを観ていて、日本のそれと映像の具合、照明の当て方が異なることに気が付くのと同様に、デフォルトで撮影するとデジカメの画像の好みも韓国らしいテイストに仕上げてあることがわかる。これについてはカメラ自体の設定で調節することが可能だ。

カメラとしてどうもいただけない部分もある。スマートフォンから発展したカメラなので仕方ないということになるのかもしれないが、画面側が総ガラス張りであるため、グリップ感が非常に良くない。うっかりツルッと手を滑らせて落としてしまいそうな気がする。実用的なカメラとしては、この部分についてはしっかりと考えて欲しい。

取り付けることができるストラップは、ハンドストラップのみで、両吊りにして首からかけることができないのも残念。そんなわけで、私は底部の三脚穴に取り付けるストラップを使っているが、知らぬ間にネジが緩んでしまうことは珍しくないので気になるところだ。

両吊りできないので、やむなく三脚穴にネジ込むストラップを利用

カメラとしての性能や操作性はハイエンド機には遠く及ばず、大衆向けコンパクトデジカメと同等であるため、とりわけ最近はハイエンド機の低価格化が進む中、日本円にして四万円台前半から半ばくらいといった値段からすると、かなり割高感がある。

ただし、GALAXY Cameraならではの利点もまた多い。カメラとしての基本的性能に関わる部分としては、画面にタッチシャッター機能が採用されているため、強力な手振れ補正機能と合わせて、手持ちによるスローシャッターで撮影できる領域が広がっている。

また、このカメラの本領は通信機器としての優秀さにあると言い切って間違いない。マイクロSIMを挿入してネット環境を備えれば、撮影データをそのままウェブにアップして保存・共有することもできる。通話はできないものの、携帯電話としての通話機能がないことを除けば、Android搭載のスマートフォンとしての機能がすべて備わっている。テザリング機能により、これを介してPCその他の機器をネットに繋ぐこともできる。もちろんWifi環境のみで使用しても、ネット接続用のルーターを携帯することによって常時接続環境にあれば、利便性に遜色はない。

4.8インチの画面は、通常のスマートフォンと比較するとかなり大型のカテゴリーに入るため、ウェブサイト閲覧やメール送受信には申し分ないし、電子書籍リーダーとして使えないこともない。折りたたみのBluetoothキーボードを接続して簡単な文書作成等にも使うことが可能だ。かなり高性能なCPUを搭載しているようで、実にキビキビとした快適な操作性を実現している。

バッテリーはGalaxy SⅡと共通なので、ドコモショップに行けばいつでも手に入る。日本国内では並行輸入以外では未発売とはいえ、スペアバッテリーの入手に困ることはない。

カメラ、スマートフォンの通話以外の機能、電子書籍リーダー、文書作成とネット閲覧機器(パソコン)等をひとまとめにすることにより、日常はもちろん、旅行先での荷物も相当軽減することができる。ガイドブックだって、PDF版をこの中に放り込んておけばよい。

非常に魅力的なアイテムで、私自身はとても気に入っているのだが、それでもひとつ疑問に思うことがある。なぜ携帯電話機能が省略されているかということだ。あまり頻繁に通話するのならばちょっと面倒かもしれないが、マイク付きのヘッドセットを接続して通話するような仕様でもいいので、電話としての通話ができるようになっていれば、もっと良かったのにと思う。Skypeの利用は可能なので、発信することはできる。あるいはSkypeで固定電話や携帯電話から受信できるサービス、SkypeInを利用している方ならば、あまり不便は感じないかもしれない。

カメラとしての機能・性能については、ハイエンド機ではないため、多くを望まないが、カメラに付随している通信機器としての性能が良好なだけに、電話機能がないことは大変惜しまれる。

だが、それでもこれだけ多彩な機能が盛り込まれたカメラということで、indo.to推奨の「インドで大変重宝するカメラ」としてノミネートすることにいたしたい。

GALAXY Camera

GALAXY Camera

この製品発表当時から大変気になっていた、アンドロイド搭載のデジタルカメラ。この製品の特徴といえば、きちんと高性能なアンドロイド端末であり、写りが良くて取り回しも良好なコンパクトデジカメでもあることだ。

すでにASCII.jpその他で、このカメラについてのレビュー記事が出ているため、この製品の詳細に渡って述べる必要はないことと思う。

それほどカメラとしての内容・性能はしっかりしたものだ。韓国メーカーのカメラ手にするのは初めての私だが、この一台を手にとってみて大いに見直した。Samsung社は、しばらく前から日本のPentax社と提携関係にあり、デジタル一眼などでは後者のモデルのOEM生産版を自社ブランドで販売しているが、独自のラインナップもある。このGALAXY Cameraは、まさにそれである。

ただ、カメラとしては、敢えて苦言を呈したくなる点もいくつかあり、ラティテュードに厚みを持たせることができないこと、撮影時や再生時に情報表示がなされないことなどであったりする。だが、これらはもしかするとソフトウェアがアップデートされる際に解決されることになるのかもしれない。

それでも、ハード的には残念なのはストラップが両吊りではないこと、レンズカバーがキャップ式ではないことだ。前者については、Samsungは家電メーカーであり、本来のカメラメーカーではないため、写真を愛する人たちの心が判っていないことが見えるような気がするし、後者については、これがゆえに、電動で開閉するカバー部分の破損を恐れて、ケースに格納しなくてはならなくなってしまい、携帯電話的な快活さが失われることになる。

さらに欲を言えばフィルターも装着できるとなお好ましかったのだが、そういうコンパクトデジカメはごく限られているのでこれで良しとしよう。

すでに並行輸入や海外通販等で、少なくない台数のGALAXY Cameraが日本に上陸しているが、日本での正式な販売は、おそらく通信会社によるデータ通信契約とセットということになろう。そこまでして、しかもSIMロックされたモデルで購入したいかといえば、私の答えは否定的なものとならざるを得ない。

SIMフリーモデルで、場合によってはSIM(当モデルはマイクロSIMを採用)を挿入してデータ通信、またあるときはWIFIあるいは携帯モデムとともに活用といった具合に、気ままに使い倒すのが良い。

液晶画面サイズは4.8インチ。ブルートゥースのキーボードと合わせて、文章を綴るワープロとして使うこともできるし、電子書籍リーダーとしても使えなくはないサイズだ。マップ機能は街歩き等にも役立つ。つまりこれ1台でカメラ、ノートPC、ガイドブックをまとめてしまうことも可能となる。カメラの専用バッテリーやチャージャーも不要となり、スマートフォン用の充電池をそのまま活用できる。もしスペア・バッテリーを購入したいといった場合、たとえばインドのSamsung Plazaにおいても「新製品なのでまだバッテリーは入荷していない」などと言われるかもしれないが、その言葉を鵜呑みにする必要はない。スマートフォンのGalaxy SⅡと共通のバッテリーなので、これを購入すればいい。もちん日本においてもこのモデルのバッテリーをDocomoショップにて買い求めることができる。

これで電話機能が備わっていれば、普段持ち歩く備品をどれだけ省略できることだろう。また他の通信端末(ノートPC、タブレットPC等)をこの端末からテザリングでネット接続するといった活用もできる。

今の時点において日常生活に、そして旅先でと、フルに頑張る最も魅力的なコンパクトデジカメとして、広くオススメしたくなる一台だ。

PENTAX Q10

PENTAX Q10

やはり物欲には限りがない。目下、とても気になっているカメラがある。昨年夏に発売されたPENTAX Qにはあまり興味が沸かなかったが、その後継機Q10にはちょっとしたトキメキを感じてしまうのだ。

「世界最軽量クラス」デジタル一眼 (最軽量は前モデルのQであるらしい) を謳っているが、センサーは1/2.3型と、言うまでもなくコンパクトデジカメのサイズであるため、「レンズ交換して遊べる高機能コンパクトデジカメ」と捉えるのが正しいだろう。もちろん私自身が関心を抱いているのも、まさにそれが理由。

前モデルのQに魅力をあまり感じなかったのは、やたらと大風呂敷に「デジタル一眼」を吹聴していたところ。新モデルは、レンズ交換できる高機能なコンバクトデジカメといった感じだ。フォルムが多少カッコ良くなったことを除き、機能やスペック的には、ただ1年分進化した程度。とりわけ目立って革新された部分があるわけではないようだが、こうした趣味のモノは、まさに「見せ方」が大変重要であることがよくわかる。

レンズのラインナップはこんな具合だ。単焦点でF1.9標準レンズ(35mm判換算47mm相当)を常用し、必要に応じて標準ズームと望遠ズームを使い分けるというとになるが、「ユニークレンズシリーズ」として、あと3本のレンズも用意されている。魚眼、トイレンズ広角、トイレンズ望遠といった具合だが、従来のコンパクトデジカメで「魚眼」の画角を持つものはないので、まさに唯一無二の魅力となる。

従前からのペンタックス一眼のユーザーならば、更に使い方には奥行きが加わる。Kマウント用アダプターを介して、こういう荒業も出来てしまうからだ。文字通り、ペンタックス一眼のサブカメラとして使うことが出来るわけで、仮に私がペンタックス一眼のユーザーであったならば、即購入!という流れになったことと思う。

それはさておき、コンパクトデジカメを常時携帯しているのは、やはり日常の風景を切り取ることの喜びにあるわけだが、「身に着ける」ものであるがゆえに、その外観なり風合いなりに、何がしかのこだわりが生じるのは衣類と同じだ。

このモデルにはいろいろなカラーリングが用意されているのが楽しい。これだけでつい購入!ということになってしまいそうだ。カメラボディの色合いについては、100通りのパターンが用意されているとのことで、こちらでいろいろと試してみることができる。阪神タイガース仕様みたいなものも可能だが、個人的には、このカラーリングで購入してしまいそうなムード。目下、懐具合が寂しいので、正直なところ大変困っている。

SONY RX1

SONY RX1

高品位なコンパクトデジカメが増えている昨今、いよいよその究極とも言えるカメラが発表となった。SONYのRX1である。

世界初の35mmフルサイズのCMOSイメージセンサー搭載のコンパクトデジタルカメラだ。レンズはF2.0で35mm単焦点。ずいぶん思い切ったものを出してきたものだ。

世界初、35mmフルサイズCMOSイメージセンサー搭載のコンパクトデジタルスチルカメラ“サイバーショット”最上位機種を発売 (SONY)

レンズは固定式なので交換できないし、焦点域も35mmのみという極めて趣味性の高い贅沢なカメラである。そうした意味では富士フィルムのX100に相通じるものがあるが、X100のセンサーはAPS-Cサイズ(24×16mm)であるのに対して、RX1はフルサイズ(36×24mm)であるため、イメージセンサーの面積が2.25倍も大きく、まったく別格なのである。

ちなみにコンパクトデジカメを含めたデジタルカメラのセンサーのサイズ規格ごとの大きさの違いについては、こちらをご参照願いたい。

撮像素子の大きさ比較 (ガバサク談義)

もちろん価格のほうも、これまでのコンパクトカメラの水準からは考えられないほど高額である。発売前(発売予定日11月16日)の想定価格は25万円なので、現在10万円台から11万円台で販売されているX100の倍以上。

どちらも高級機ではあるものの、レンズ交換式ではないため35mmの焦点域でしか使えないので実用性という点では、いつも仕事で常用する機材にはなりにくいだろう。しかしながら35mmという汎用性の焦点域であるがゆえに、完成度の高いものであれば趣味の道具として大きな魅力を発揮することになる。

ハイアマチュアのユーザーが多い日本その他の先進国等では、唯一無二な魅力のフルサイズセンサーのコンパクトデジカメRX1に対する需要は高いことと思われるが、高級機でも、発売から2、3年もすると、陳腐化してしまうものだ。

だが、その時期になってもフルサイズのセンサーのコンパクトデジカメというのは他に出てこないように思う。拡張性が無いし、レンズ固定式であるため既存のレンズ資産を利用できない。もちろんカメラ自身のレンズも流用できないため、極めて不経済なモデルであるといえる。それゆえ、ソニーのRX1は歴史的なカメラとしてその名を残すことになるかもしれない。

だが、これが時を同じくして発表となったフルサイズ初のミラーレス機α99と立ち位置の異なるフルサイズセンサーの廉価かつ小型軽量なシリーズを構築するための布石であったら嬉しい。個人的には手の届く価格帯であったならばぜひ所有して思い切り使い倒してみたいカメラなのである。