バンコクの爆弾テロに思うこと

バンコクで、8月17日と18日に発生した爆弾テロ。犯行声明が出ておらず、犯人像も推測の域を出ていないようだが、ウイグル人グループ犯行説に傾きつつあるようだ。
中国国内で苛烈に弾圧されている彼らの中には、パキスタンで保護を受けて拠点を置いたり訓練を実施したりしているグループもあるという。
中国は、パキスタンに対して伝統的に「敵国インド」というスタンスからくる共通の利益から様々な援助を与えてきた友好国だ。 近年になってからはアラビア海とインド洋進出の目的からパ国を含めた南アジアのインドを除いた諸国に積極的な働きかけをしている。

とかく親密な関係にある中パにとっての弱点はまさにこの部分。パ国内に匿われているウイグル人組織の存在。ウイグル人過激派が勢いを得て、中国の不興を買うことになれば、中パ関係に少なからずの影響を及ぼすことになる。

パキスタンの文民政権にとっても、自らの力の及ばないところで勝手な動きをすることが少なくない軍部とその指揮下にある統合情報部(ISI)には手を焼いていることだろう。また、そう簡単に手出しをすることの出来ない国内の過激な宗教組織やその息がかかった有力政党の存在もある。

そんな具合で、インドがテロの温床として名指しするパキスタンだが、あながち文民政府の意思とは言えない部分も存在する。パキスタン自身が国内の様々な過激派組織による爆弾テロ、誘拐事件等で振り回されている。そして政府本体と並立する権力としての軍の存在、軍が恣意的に利用する過激派組織。しかしながらも軍部そのものは原理主義とは相容れない組織であることから、軍と過激派が衝突することも多々あるという三つ巴の危うい構造。

国道上以外にパ国の法律が及ばず、地元の部族の掟が支配する北西部のFATAのようなエリアの存在は、パ国内的には歴史的経緯のある合理性を持つものであっても、国外から見れば外国にも脅威を及ぼしかねない危険な問題だ。

蛇足ながら、インドとパキスタンの分離は悲劇として形容されるが、この地域を含むアフガニスタン国境エリアを切り離すことが出来たのは結果としてインドにとって良いことであった、かのように見えてしまうのは何と皮肉なことか。

ウイグル組織犯行説はまだ憶測の域を出ないが、仮にそうであったとすれば、つまり庇護を求めて来タイしたウイグル人たちを中国に追い返した報復のための爆破であったとするならば、ウイグル人過激派に一定の庇護どころか拠点と軍事訓練まで与えているパキスタンをも巻き込んだ問題になっていきそうな気がしてならない。

Police hunt ‘foreigner’ in deadly bombing of Bangkok shrine (Associated Press)

※「Markha Valley Trek The Day 6」は後日掲載します。

This entry was posted in column, disaster, greater india, life, news & media, politics, society. Bookmark the permalink.