インドのチベット人

以前、MAJNU KA TILLAと題して書いてみたデリーのマジヌー・カー・ティッラーだが、この地はasahi.comの連載:地球を食べるの記事でも取り上げられているのを見つけた。

(地球を食べる)望郷の味チベット料理 (asahi.com)

中国による「チベット解放」後にインドに難民として逃れてきたチベット人たちに、インド政府は相応の待遇を持って迎えてきたと言える。その中で経済的に成功した者も少なくないが、彼らはあくまでも異国インドに難民として仮住まいをしている立場にしか過ぎない。

しかしながら、すでに三世代目、四世代目に入ってしまっており、国籍は持っていないものの生まれも育ちもインドで、祖国チベットを訪れたことさえない、事実上の「チベット系インド人」化してしまっている現在、彼ら自身がこれからどうしていくのか、またインド政府も将来的に彼らに対してどのような対応をしていかなければならないのか、真剣に取り組まなくてはならないだろう。

現在のダライラマも未来永劫に彼らとともにこの世におられる訳ではない。インド中に散らばるチベット人たちを結ぶ大きな求心力が失われたとき、彼らのコミュニティはどうなっていくのだろうか。

インドをはじめとする在外チベット人コミュニティをまとめあげる存在の代替わりは、それがたとえ次に転生するダライラマであっても、俗人の中から選ばれた人物がその役割を担うことになっても、相当な混乱が生じることは間違いない。中国当局による工作の可能性はもちろんのこと、彼ら自身の中にも野心を抱く者たちの存在があり、激しいさや当てが繰り広げられることは避けられない。

また、現在のチベットの情勢が変わる見込みもないわけだが、万が一、将来何か思いもよらないことが起きて、彼らが帰還することが可能になったとしても、すでに数世代に渡り生活基盤を築き上げ、それなりに安定した生活を営む現在インド在住のチベット人たちの果たして何割が戻ろうと決心することだろうか。

遠くない近未来には、彼らインド在住のチベット人たちがインドに帰化することを求めなくてはならず、そしてインド政府もそれを受け容れなくてはらない日がやってくることは想像に難くない。

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