ヤンゴンの空港のレンタルSIM

ミャンマーでもこのところ一気に普及してきている携帯電話。その中に占めるスマートフォンの割合も高く、商店街ではいくつもの携帯電話屋が軒を連ねている。

数年前までは、SIMカード自体が非常に高額な商品であったため、携帯電話を所持する人は周辺諸国に比べて極端に少なかったものだが、まさにその遅れを一気に挽回しようとでもしているかのような勢いだ。

今に、インドのようにサイカ―(客の座席がサイドカーになっているサイクル・リクシャー)の運転者や道端の野菜売りのおばちゃんなどが持つのも当たり前のこととなり、文字通り誰もが自前の携帯電話回線を所持しているという環境になる日も遠くないだろう。

そんな具合ではあるものの、現在までのところ、旅行で訪れる外国人にとっては、SIMカードを購入するのはなかなか敷居が高い。不可能というわけではないが、めでたく開通するまでに数日かかってしまうようだ。

そのため、不本意ではあるものの、ヤンゴンの空港にカウンターを構えているレンタルSIMの業者を利用することにした。以前も2012年、2013年にお世話になったことがある。

到着ロビーにあるBlue Ocean Mobile Rental Serviceというカウンターがそれで、いろんな日数でのプランがあるが、概ね1日あたりのレンタル料金が約12ドルもする。だがこれに通話料金やデータ通信料は含まれておらず、別途10ドル程度のチャージをする必要が出てくるため、かなり割高である。インドでSIMを購入して通話とデータ通信を行なうのとは、コストの面で雲泥の差となる。また、日本から海外用のインターネット接続ルーターをレンタルするのと変わらない料金(ミャンマー用のは他エリア用のものに比べて割高だが、現地レンタルのSIMがそれと同程度のコストとなってしまう)となるのはなんとも悩ましいところだ。

だが、私自身、ミャンマー滞在中に仕事関係の連絡が入らないとも限らず、また最近は私自身がどこを訪れてもスマホ環境があるというのが当たり前のことになってしまっているため、ずいぶん損な感じはするものの、やはり借りることにした。

利用することになるネットワークは、国営のMPTの回線となる。ヤンゴン市内はもとより、地方に行っても通話自体の品質や繋がり具合には問題ないようだ。しかしデータ通信の部分においては、ヤンゴン市内にあってもかなり不安定で、途切れ途切れ通信できるという感じ。おそらく回線のキャパが利用者数によるニーズに追いついていないことが原因であると思われる。そのため、利用者が少ない深夜や早朝は安定して動作してくれるのだ。そのような時間帯ではスカイプの利用も可能であった。

地方では、データ通信環境が3Gではなく、2Gであったりすることもあるため、ヤンゴンでのような比較的スムースな通信環境は望めないが、メールなどは「なんとかゆっくりと繋がる」というような具合であるが、やはり込み合う時間帯はなかなか難しいようで、「ここはデータ通信の圏外なのか?」と思っていると、やはり深夜や早朝にはちゃんと通じたりする。

料金が高い割には環境が貧弱なため、トホホな感じではあるものの、近々複数の海外企業もミャンマー国内の通信事業に参入する予定であるという話も耳にする。今後、短期間のうちに通信環境が劇的に向上するかどうかはさておき、料金面では競争による大幅なコトスダウンを期待したいところである。

決して高い評価をつけるわけにはいかない現状においても、ほんの数年前までレンタルSIMさえ存在せず、電話は町中の「電話屋」から発信するだけ、ネットは数あまり多くないサイバーカフェで、昔の日本のダイヤルアップ環境よりも体感速度ははるかに遅いスピードで、ウェブメールやニュースサイトは政府による閲覧制限がかけられていたりした頃に較べると、格段に向上したといえる。何しろこれらが自分の好きな時に、自分の掌の中で実行できるのだから。

いずれにしても、現状がボトムレベルであるだけに、今後の伸びしろは相当大きいはずだ。半年後、1年後、2年後には、この記事を書いた2014年5月時点とは大きく異なる状況になっていることだろう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です


上の計算式の答えを入力してください