鮮度が命 ヤンゴンのダウンタウンで新規オープンの宿

つい数年前まで、つまり「ミャンマー・ブーム」が到来する前までは、ヤンゴンでの宿泊施設はかなり手頃であった。一流ホテルを除けば、エコノミーな宿から中級のホテルくらいまでは、かなり安めであったと思う。

エアコンが効いて、清潔な部屋を十数ドル程度で利用することができたし、30ドル、40ドル出すだけで、かなり良いところに宿泊することができた。

空港正面にあるSeasons of Yangonという、元米国資本のラマダホテルで、90年代に撤退したことを受けて、オーストラリアのホテルグループがミャンマー政府と合弁で営業しているものだが、これが25ドルとか30ドルという料金で利用することができた。

だがそのホテルも現在の宿泊料金は70ドルになっているし、ヤンゴンのダウンタウンで、十数ドル程度で宿泊できたところも40ドル、50ドル取るようになってしまっている。

宿代が高騰している背景には、突然やってきたブームのために、宿泊施設が不足しているという背景があるためで、おそらく目端の利く人たちは、しばらく前にそれを見込んで先行投資していたに違いない。だから市内各所で新しいホテルの建設が進行中なのである。

「宿といってもどうせ夜寝るために戻るだけ」という向きには、大変ありがたくない話だろう。旅行者として滞在するならば、やはり便利なダウンタウンで、わざわざ安旅行者のための宿泊施設を運営するというのは、非常に付加価値が高くなっているこのエリアにおける不動産の有効な活用方法とは思えないので、いくらブームとはいえこの地区で新しい宿泊施設がどんどん出来てくるということはなさそうだ。

だが、嬉しいことに、あまり効率的とはいえないやりかたをしている例もまったくないわけではない。スーレー・パゴダ・ロードから西側3本目の路地、Bosunpat Street、具体的にはスーレー・パゴダ・ロードに面して建つスーレー・シャングリラ(旧トレイダーズ・ホテル)からそのまま西へ移動したところには、ごく最近、古い建物を改装してオープンしたピカピカのゲストハウスが2軒並んでいる。 ボーヂョー・アウンサン・マーケットから目の前の大通りを渡ってすぐ左手の路地を入ってすぐ、というロケーションだ。

そのうちのひとつは外国人を宿泊させないため言及しないが、もうひとつの宿、Yangon Guest House(所在地:317-323, Bosunpat Street, Pabedan Township, Yangon 電話:01-252420, 01-252632)は私たち日本人も宿泊できる。ここのフロントは電子メールを利用していないため、予約は電話でのみ可能。宿泊費は2014年5月現在で15ドルである。エアコン付きのシングルルームとしては、一番安いカテゴリーということになるが、内装をフルに新しくしてオープンした宿なので、かなりのお得感があるだろう。

この宿で面白いのは、ひとつの建物を縦にふたつに分けており、道路から向かって右側がミャンマー人用、左が外国人用となっていることだ。部屋の造りや施設は同じだというものの、入口も別々になっている。何かと外国人料金の適用が多いこの国らしく、宿泊費もミャンマー人と外国人とでは異なる。先述のとおり外国人は15ドルだが、ミャンマー人は6,000チャットである。

地元の人用の料金に比べてずいぶん高いとはいえ、このエリアにある外国人向けの宿に比べるとかなり安めであるため、ここが旅行者たちに知られていくにつれて、周囲の相場に合わせて料金を上げることが容易に予想できる。

そもそも、エコノミーな宿は新規オープン時にのみ、エクストラな価値があり、こうした宿の宿命である標準化の段階に入る前には、ひとクラス、ふたクラス上の快適さがあるものなので、こういう物件が新鮮なうちにはぜひ利用したいところだ。

もちろん、これから半年、1年経過したあたりでの利用については、メンテナンスの欠如や周囲の相場に合わせて料金が上昇することは目に見えているため、お勧めしない。だが2014年5月、6月あたりにヤンゴンのダウンタウンでエコノミーな宿を探している方には、「ちょっと部屋を見せてもらうだけでもどうだろう?」と提案したいところである。少なくとも開業間もない今の時点では、とても好条件な宿であるはずだ。

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