ラダックで「海外用WIFIルーター」を使ってみた

以前、海外用WIFIルーターで取り上げてみたが、実際に使ってみた感想を述べることにする。

このルーターを利用することにしたのは、仕事等の関係で、ときどき重要な連絡が入る可能性があるため、可能な限り毎日朝と夕方にはメールをきちんとチェックしておきたいと思うこと、またそうした連絡に即座に対応できるよう、常時接続のネット環境が欲しかったためである。

通常、インドでSIMを購入すると、全国どこにいっても通話やインターネット等のネットワークサービスを利用できるので、こうした点では基本的に問題ない。少なくとも平地部とりわけ都市部では非常に安定して速度と接続性が確保されている。もちろん山間部等では電波の入りがかなり悪い場合もあるのだが。

だが問題は、ラダックのあるJ&K州では、州外で購入したプリペイドのSIMを使用できない(J&K州で購入したプリペイドSIMは、州外で使用できない)措置がなされており、またJ&K州内で外国人が現地のプリペイドSIMを購入するのも制度上かなり困難を伴う。

そのため何かいい方法はないかと思っていたら、レンタルの海外用WIFIルーターの広告が目に付いたので利用してみることにした次第である。1日当たりのレンタル料金が700円(キャンペーン利用で630円)と、インドでSIMを購入するよりもずいぶん高くついてしまうが、仕事の関係もありやむを得ないのでこれを利用してみることにした。現地で利用することになるネットワークはAirtel社の回線であるとのこと。

「レンタルのルーターの場合はポストペイドの扱いとなるため利用できる」というレンタル元の会社の回答を真に受けていた私だが、実際にデリーから飛行機でレーに到着してみると、州外発行のプリペイドSIMのJ&K州内のローミング規制という問題以外に、ラダックにおける通信環境上の問題があることにも気が付いた。

同地域ではまだ3Gによるサービスは開始されておらず、2G環境にあるとはいえ、これがまた実に貧弱な回線であることから、深夜と早朝にごくわずかに通信可能となることを除き、日中はまず使えることがない。機器のディスプレイ上の表示ではアンテナが立っていても、メールさえ開くことができない。その割にはフェイスブックの新着情報だけはときおり入ってくるのは不思議だったのだが。

規制がかかって通信できないのではなく、回線の容量があまりに貧弱であるがゆえに、ごく細々としか繋がらないという状況のようだ。ゆえに午前1時から午前5時くらいまでの時間帯だと、多少は接続できる可能性があったりする。インドで購入したAirtel社のポストペイド契約をしているSIMを持っていても同じ状況であることだろう。

そんなわけで、結局はWIFIのあるカフェ等で接続してメールをチェックするというのが賢明な方法であることが判った。しばしば回線がダウンしていたり、停電も多かったりするのですぐに接続できるとは限らないのだが。停電といえば、昨年のこの時期に訪れた際にはレーの町でも給電は午後7時から午後11時までであったが、現在では基本的に24時間体制となっているのには少々驚いた。

レーの周辺部を出ると、Airtelの電波は入らないこともあり、レンタルしたルーターはほとんど役に立たない。やはりこの地域ではまだ携帯電話もネットもBSNLの天下ということになるようだ。規制が多いことに加えて、マーケットも小さいため、民間の通信会社はこの地域への進出や事業拡大については消極的であるという話も耳にする。

もちろん飛行機でレーへの出発前のデリーでは、日本と同じ通信環境を確保できたが、これについてはわざわざ高いレンタル料金を支払って、日本出発時にレンタルするまでもなく、インドでプリペイドSIMを購入すれば、同じ環境が得られるためメリットはない。

この海外用WIFIルーターのラダックでの使用は、結論を言うとまったくダメであった。現在の通信環境が変わらない限り、ネット接続はレー市内やインダス河沿いの周辺地域ではWIFIのあるレストランあるいはネットカフェでの使用、それ以外のエリアでは諦めるというのが今のところ取り得る手段なのではないかと思う。

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