ナガランド1 コヒマ到着

インパールのClassic Hotelにて、利用した部屋の二人利用での宿泊費は、種々の税金が加算されておよそ3,000Rs(約4,700円)なのだが、この価格帯のホテルとしてはあり得ないほど、サービスやマナーが優れていた。いくつかのタイプの部屋があり、料金はこちらをご参照願いたい。

同行しているL君は「インパールで一番のホテルということは、政治家や実業家その他の要人の利用も多いんじゃないかな。だから従業員への教育がしっかりしているんだと思う。」と言う。まさにそのとおりなのだろう。宿泊、食事は言うに及ばず、立派な会議室や宴会場も用意されている。2009年開業と新しく、客室が快適であることはもちろんのこと、階下のレストランもリーズナブルかつ美味でとても良かった。今、私の記事を読んで下さっているあなたが、インパールを訪れることがあれば、ぜひこのホテルに投宿されることをお勧めしたい。辺鄙な地方ではあるものの、『州で随一』のホテルが、この程度の料金で利用できるというのも、あまりないことである。

朝食を済ませてから、ホテルの界隈から出発するナガランド州都コヒマ行きのバスに乗り込む。バスは宿近くの交差点あたりから午前8時発の予定であったが、乗客が集まって発車したのは結局9時くらいになった。周囲を山に囲まれた盆地にあるインパール市内を出たところで、時間的には出発から20分ほどのところで、バスはいきなり休憩時間に入り、運転手や乗客たちが食事を始めてしまったので、ちょっとびっくりした。これは朝食ではなく、中途で食事できる場所がないため、これは昼食なのだという。この場所には二軒のレストランがある。

市内を出たと思ったらいきなり昼食休憩

この日、コヒマまで6時間ほどの行程の中で、他州と違って街道沿いにいくつか食堂が軒を並べているような場所はなかった。私とL君は、乗車前にインパールのホテルの朝食バフェでたらふく食べてきたばかりであったので、やけに早い昼食をパスした。

40分くらい停止した後、バスは出発する。運転手が食事を終えて、チャーイをすすって、タバコに火を点けて紫煙を燻らせて満足したあたりで、運転席のドアをガチャリと開けて、クラクションを鳴らして『出発するぞ!』と乗客に招集をかける専制君主的な態度は、全インド共通のものである。

今回、ひとつ気掛かりなのは、『専制君主』が手慣れた感じのオジサンではなく、そもそも免許取得年齢に届くかどうかといった外見の、非常に若い運転手であることだ。今日のバスは、インパール始発、コヒマ経由でディマープルまで行くものだ。

この食事の場所から山地に入る。しばらくは上り坂だ。道路はかなり悪く、揺れが大きい。ときおり軍用車両を見かける。複数の車両が固まって走っており、兵士たちは防弾チョッキを着ている。また銃を背負うのではなく常に前に構えており、走行中の車両から複数の兵士が天井の窓から上半身を出して、銃を外に向けて警戒していることなどから、他州の軍駐屯地ののんびりした雰囲気とはまったく違う。

どこまでも続く丘陵地

山間の道をバスは進んでいく。ヒマーチャル・プラデーシュ州のような急峻な崖を想像していたが、もっとゆるやかな丘陵地であった。だが道路の交通量は、ヒマーチャルに比較して格段に少ない。途中の町々は、やや大きめのものはあったものの、相対的に発展から大きく取り残された貧しい地域であることは明らかだ。スィッキムやヒマーチャルと地理条件には少々似たものがあるとはいえ、ずいぶん遅れていることが見て取れる。沿道には、 長距離バスが停車して食事を取るような安食堂さえ見当たらない。

どのあたりからナガランドなのかと思っていたが、マニプル州都のインパールからナガランド州都コヒマまでの全行程6時間のうち、ナガランドの州境を越えたのはコヒマ到着の1時間前であった。チェックポストがあり、「ナガランドへようこそ」と書かれたゲートがあった。そこからしばらく走るとコヒマの街が斜面に見えてきたのだが、コヒマ到着まで1時間近くかかった。山間部なので道路が大きく迂回しているためだ。

コヒマはかなり大きな街だ。ここに来るまでの山間部では他のインドの地域とは異なる感じの家々があった。・・・と言っても、ナガ族独特のスタイルの家屋があったわけではなく、木造の三角屋根の建物という意味)が大半であった。だが街に入ってくると、シムラーやダージリン等、他のヒルステーション同様の街並みとなる。現代のインドの建材と工法で建てるので、結局そういうことになるのだろう。

ホテルはRazhu Pruという、何と発音するのかよくわからないホテル。ナガの言葉はローマ字で表記されるが、ウムラウトが付いていたりすることから、発音はなかなか複雑なのかもしれない。68年前に建てられたというクラシカルな洋館である。

ロビー周りはなかなかいい感じに飾ってある。

チェックインしてから部屋に荷物を置いて外出。斜面を下るとマーケットがある。しばらく散策しているうちに日が沈み、辺りは暗くなってくる。そして周りはすっかり真っ暗になってくる。つまり街灯がないからだ。まだごくわずかに開いている店では蝋燭を点している。どこも行くところがないし、帰り道もわからなくなるので、そそくさと宿に戻る。

街の中心近くだが、街灯はほとんど無いため、陽が沈むとそのまま闇に包まれてしまうのが困る。

宿ではナガ式の夕食を注文する。ブタとチキンの煮物、そして何か発酵調味料のはいっているスープ、ご飯とデザート。発酵した味の正体が何だかよくわからない分、旨いのか、そうでもないのか、ちょっと微妙な感じだ。

ナガ料理の夕食

夕食前にはネットが繋がっていたものの、その後はまったくダメになった。Vodafoneの3G通信のUSBスティックを持参のノートパソコンに挿しているのだが、州都でありながらもまったくもって不安定である。その後、長い停電があった。窓の外に見える向こうの斜面の街並みでは煌々と灯が点いている。翌日歩いてみてわかったのだが、政府機関、軍施設、有力政党の事務所等がある地域であった。

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