マニプルへ6  マニプリー・ターリー

市内中心に戻り、カングラー・パレスに行く。1891年のアングロ・マニプリ戦争で破壊されるまでは、マニプルでマジョリティを占めるメイテイ族の王の宮殿であったのだが、今は特に見るべきものは残されていないようだ。

背後はただの廃墟であった。

民族文化の象徴的なものであるはずのこの場所だが、荒れ放題の宮殿跡地、近年造られたらしいコンクリート造の寺・・・。あまりの無頓着ぶりに、地元の歴史や文化に対する政府(中央政府も地元政府も同様に)の姿勢が垣間見えるような気がする。インドにしても、中国にしても、突出して巨大な文明圏の周辺地域の文化は、往々にしてかように軽視されていくことになるのだろうか。市井の人々にも、それらを保護して育てていく力も経済力があるはずはないので、仕方ないことかもしれない。

マニプルに来るまで知らなかったのだが、メイテイ族独自の文字がある。私たちにとって見慣れない文字だ。インドにあっても、州外でこれらを目にする機会はまずないだろう。

本日の観光とはあまり関係ないのだが、インパールではガソリン等の燃料の供給が不足しているらしく、ガソリンスタンドはどこも長蛇の列であった。

ガソリンスタンドは長蛇の列

夕方、ホテルのレストランでマニプリー・ターリーを食べた。通常の外食では、地方料理はあまり出していないようである。ここでも前日から注文しなくてはならなかった。どんな食事かといえば、結局は品数がターリーである。遠目にはインドでよくある料理風なのだが、近寄って眺めるとこの地方独自のアイテムが沢山あることに気が付く。汁物が竹の葉を折って作った容器に入って出てくるのも風雅な感じで良い。

見た目美しく、味わいもまた美味なマニプリー・ターリー

特徴的なのは、料理に使われている油の量が少ないこと、味付けに豆や魚を発酵させたものが使われていることである。乳製品はおそらくあまり使用されていないのではないかと思われる。インドらしからぬ味覚で、東南アジア的、あるいは東アジア的ともいえる臭みのある食事については、韓国人のL君と日本人の私にとっては判りやすい味であったが、地域外からやってきたインド人や西洋人は苦手かもしれない。ともあれ、私たちにとってはグルタミン酸たっぷりの素晴らしい味わいであった。

あまりに美味であったので、これからインパールを訪問される方があれば、ぜひお試しいただきたい。レストランは、インパール一番高級、すなわちマニプル州でも最高級(それでも二人で宿泊して3,000Rs)と思われるHotel Classic内のClassic Caféというレストラン。サービスもとても良いが、午前中から夕方までの時間帯には、『ミス・ノースイースト』と形容したくなる絶世の美女がフロアに出ている。

マニプル発のニュースは、インド国内でも州外ではほとんど見かけないので、日々どんな事柄がトピックになっているのか、なかなか知る機会がない。それでも、やはりインドなので英文メディアには事欠かず、インターネットでも日々発信している。

以下、マニプルの英語メディアの代表的なものである。

E-PAO

The Sangai Express

HUEIYEN LANPAO

Imphal Free Press

Kangla Online

マニプル州に多少なりともご関心のある方は、時々覗いてみるといいかもしれない。

<完>

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です


上の計算式の答えを入力してください