ミャンマーは今後どうなるのか?

「内戦の危機なんて、まさか?」とも言えないように感じている。

アラブの春の一連の動きで、シリアで民主化要求運動が高まっていったころ、誰が内戦など想像しただろうか。アサド政権による厳しい管理社会に多数の武器や弾薬がどこかに隠匿されていたわけではなく、思惑をそれぞれ持つ各国がいろんな勢力に肩入れしていった結果、あのような泥沼になってしまった。

ミャンマーにおいて、国軍による苛烈な弾圧と市民の抵抗という二極化した形で描かれる現在。これは大変なことなのだが、さらに悪い事態もあり得るのではないかと思う。国軍が割れて、つまり現在の主流派と対立する派閥が浮上して、非ビルマ民族の軍閥組織、近年、多くは政府と手打ちをしたり、武装解除したところも多いとはいえ、これらがそれぞれ利害関係でいずれかと手を組むようなことが。

そのような事が起きた場合、ミャンマーに大きな権益を持つ中国が主流派を援護し、軍の第二勢力を、東南アジアとの接続のハブとして自国北東部で、道路やインフラの開発を盛んに進めているインドが支援するような構図が生じたりしないだろうか。

自国北東部から見たASEAN世界の入口であるミャンマーには、親インド政権を樹立してもらいたいわけで、中国になびかない側に肩入れするのは自然な流れである。

もちろん国防上の理由からも、ミャンマーがさらに中国へと傾斜するのとは是が非でも避けたい。主流派を見限って独自の動きをしようという第二勢力が国軍の中に出てくるようなことがあるとすれば、彼ら自身にとっても、やはり手を組む相手、救いの手を差し伸べてくれる国は、インドをおいて他にない。

ちょうど、かつての東パキスタン内戦、つまりバングラデシュ独立運動が最高潮に達したときが、これに少し似た構図だった。西パキスタンからすると、東西に分かれていたパキスタン国内の東部での内乱であり、東の東パキスタンにしてみれば独立闘争、そしてインドにしてみると、東パキスタンを潰し、そこに親インド政権をそこに樹立したかった。国外から見ると、東パキスタンをめぐってのインドによる代理戦争。

インドの思惑とは裏腹に、バングラデシュはインドの傀儡国家とはならなかったものの、反パキスタン国家となり、それ以前は東西を敵対国に挟まれていたインドにとって、自国東部の安全保障上の懸念は消滅した。独立後のバングラデシュは経済、水利、不法移民等々の問題は抱えているものの、自国に脅威を与える存在ではなくなり、東パキスタン内戦に介入した甲斐は大いにあった。あの抵抗はバングラデシュにとっては大きな成功であるとともに、インドにとっても「大成功した戦争」であったということになる。

今回のミャンマー、経済制裁や周辺国等による説得により、国軍が自制して再び民主化へと舵を切るようになれば良いのだが、国内諸勢力や周辺国をも含めた複雑な対立による炎が燃え上がるようなことになると、取り返しのつかないことになるのではないか、と危惧せずにはいられないのである。

ミャンマー騒乱を深刻化させた4つの理由――忍びよる内戦の危機 (YAHOOニュース)

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