シェムレアップのインドレストラン➁

前夜に通りかかり「もう閉店です」とのことで諦めたパンジャービーの店のターリー。これはダメだった。昨日は混み合っているように見えたが、たまたまインド人のグループが入っていたのかもしれない。

チャパーティーかと思ったらパローターで、大量のマーガリンを練り込んであった。サブズィーはとても甘く甘く(やや大げさに言えば、お汁粉くらい甘い)、皿の左手はなぜかジャガイモのクリームシチュー。左上にはこれまたなぜか南インド式のチャツネかと思いきやゴマペーストで酢をたっぷり加えている。なぜこうなるのか?「カンボジアナイズ」したのだろうか?

個人的には「もう二度と行くもんか!」レベルだが、Uberの類似サービスからけっこう注文が入っているようで、私がいる間に3度もドライバーがピックアップにきていた。案外引き合いがあるらしい。

年配のスィクの店主(髪と髭は切っている)の娘くらいの世代のカンボジア女性(従業員?奥さん?)が彼と一緒に厨房に入ったり、客の相手をしたりしているが、ここで出される料理には、彼女の趣向が強く影響しているのかもしれない。店内のお客さんたちも地元民が多いようであった。

年配の店主はクメール語がとても流暢。顧客がカンボジア人以外の外国人中心で、現地従業員を雇わず、味もクメール化させない昨日のガチのインド料理の「ナマステ・ヒマラヤ」とは路線が大きく異なるようだ。

同日、また別のパンジャービーが経営するインドレストランにも行ってみた。こちらは前日のものと同様にオーセンティックなものが出てきた。どこの国においてもそうだが、やはり店によって現地化を進めるところもあれば、本来のやり方や味にこだわる店もあり、実に様々である。

メニューに値段がリエルのみで書かれているのは、この手の店としては珍しいのだが、客層はインド人を含めたほぼ外国人に尽きるとのこと。ローカル客はいなくもないが、「100人来て2人くらい。ほとんどいない。」とのこと。どのあたりを客層と想定するかによって、味付けやサービスの仕方が異なるのは当然で、同じパンジャービーが経営する店でも大きく異なるものだ。

シェムレアップのインドレストラン①

本日の夕飯のために入ってみた。奥から出てきたのは、色白だが目鼻立ちの濃い感じの男性で、尋ねてみると、やはりガルワーリーであった。

店に入ってきて料理を注文したばかりの日本人に、「あんたガルワーリーだね?」などと言われて、最初は面食らっていたが、彼と同郷だという相棒と一緒に入り、よい香りと心地よい音を立てて、手際よく作って運んできてくれた。

彼らはここで雇われているわけではなく、どちらもインド国内及び国外でも経験を積んだ料理人とのことだが、思いきって独立することにしたのだという。

これに先立ちバンコクで店を持っていたとか、カンボジアのプノンペンかどこかで同様の店を開いていたわけではないようだ。インドからそのまま来て、ここで開店したというのだが、どうもそのあたりがよくわからない。なぜシェムレアップを選んだのか、開店したのは2021年というまだコロナ禍が収まらない時期。カンボジアの観光業自体も停止していた頃に始めたのだという。こちらは一見の客に過ぎず、しかも会ったばかりでもあり、なかなか突っ込んだ質問をしにくいものがある。

ここに来る前にシェムレアプのインド料理屋が他にあるのか下調べしておいたが、軽く20軒以上あるらしいことに驚いた。いずれも街の中心部にあり、ツーリストゾーンかそれに隣接するエリアにある。

店の顧客は大半が外国人旅行者とのこと。今回バンコクからのフライトでインド人旅行者(紺色のインド旅券所持者)がずいぶん多かったが、そうした自国民旅行者の利用も多いとのこと。

初対面であまり根掘り葉掘り聞くのも気が引けるので、ほぼ雑談に終始したが、ガルワールの人らしく、丁寧で感じはよいが、あまりオープンな感じの人ではなかった。私たち日本人もそういう感じなので、「やっぱりそうだよね」と思う。

店を出てから、googleマップでいくつか表示されるインド料理屋がいくつかあるため、散歩がてら覗きに行ってみた。「インド料理屋」といっても、洋食中心のツーリストレストランでインドアイテムも置いてあるといった極めてフレキシブルな店もあれば、店の名前が「モーディー・ジー」というガチなグジャラートのピュアヴェジを名乗る店もあり、南インド料理屋もあるなど、なかなか興味深いものがある。

店により様々で、インド人経営者自ら店頭に立ち、インド人スタッフが席の間を飛び回るような店もあれば、メニューでは「グジャラーティーのピュアヴェジ」をアピールしつつも、店頭で案内をしたり、注文を聞くのは現地スタッフという店もある。

これほどインド料理レストランが多いことの背景には、インド料理が「民族料理」の範疇を越えて、ちょうど西洋にはいろいろ異なる食文化がある中でそれらを包括した「洋食(western food)」というジャンルが確立したように、「多くの異なる食文化をとりまとめてのインド料理がグローバルに定番化した」ことの証かもしれない。

そんなことを思いながら歩いていると、間口の狭い店だが、日焼けで顔を真っ赤にした色白のパンジャービーと思われる中年男性が目に入る。すでに満腹だが、何か軽いものを食べながら話を聞けたらラッキーと思い入ろうとすると、「いやー、ごめんなさい。ラストオーダー終わって、これから閉店なんですよ」と丁重に断られたものの、しばらく立ち話に応じてくれた。陣頭指揮を取っているが、お店の経営者だそうだ。こういう話好きな人からいろいろ話を聞きたいが、小さな店ながらも繁盛している感じなので、翌日再訪してもなかなか話を聞くどころではないもしれない。

シエムレアップのケーキ

宿から近いエリアにパステル調のメルヘンチックなケーキ屋さんがあった。残念ながらカットケーキはないので賞味できず。他の店もいくつか見たが、やはりホールでしか売っていなかったのが残念。

旅行先で「3時のおやつ」(別に時間にはこだわらない。午前中でも良い、夕飯後だって構わないのだが、ケーキを楽しみながら紅茶やコーヒーを楽しむ時間帯が好きだ。

インドだと大手チェーンの書店に喫茶と軽食を出す店が併設されていることが多いので、よく利用している。

そのためせっかく良さげなケーキがあるのに、楽しむことができないのは心残りなのである。

シェムレアップ到着

シェムレアップの空港からは宿が差し向けたオートが待機していた。ここから市内に向かうのだが、まず空港エリアから大通りに出たところで驚いてしまう。片側3車線の見事な道路だ。市内へ進むにつれて、大きな建物が増えてきて、ずいぶん昔のことを言っても仕方ないのだが、かつて木造の家屋ばかりが並んでいたころとはまったく異なる。

宿に着いてチェックイン。知らなかったがここは日本人が経営するホテル。ブッキングコムで予約したら日本の方から連絡がきた。日本人スタッフがいるとは珍しいなと思ったら、日本の個人が所有するホテルとのこと。カンボジアで会社登記しているそうだ。

宿の隣の食堂メニュー。カンボジアの旅行事情はよく知らないのだけれども、旅行者ゾーンとはいえ普通の食堂に見えるのに、すべてドル表示というのはすごくなぁ。

こういうところで地元の人たちはいくらくらい払っているのか知らないけど、外国人旅行者たちにとって、日本の外食はずいぶん割安だなぁと今更ながら思う。もちろんカンボジアのほうがトータルなコストは安いのだけれども。

ドンムアンの朝

バンコクのドンムアン空港向かい、ワット・ドンムアンの斜向かいにあるゲストハウスを利用したが、ここからすぐ近くに早朝まだ暗いうちから賑わうマーケットがあるのが嬉しい。夜が明ける前からいろんな生鮮食品類が売られており、マーケットの中でもすぐ外でも、そこで働く人たちやお客さんたち目当ての露店や食堂がすでに商っている。

市場の露店の肉と野菜のぶっかけご飯は美味しそうだったし、すぐ外の店の何種類かの串焼き肉も良さげだったが、心地よいガス臭に誘われて行った先には、「銘菓ドリアン」があった。これから空港に行くので切り身でないといけないため、このくらいでちょうど良い。殻を切り開いて順に取り出した果肉を分けているはずなのだが、房のひとつひとつで味わいが異なり、同じ房でも部位により、微妙に味覚が異なるのがドリアンの面白いところ。

市場の片隅にスペースを見つけて食べる。本日の朝食はドリアン、つまり果物という名の洋菓子である。カスタードクリームと生クリームが不揃いに混ぜてあるムース、それでいて繊維感もあり、洋酒の香りとオニオンの臭みをかけあわせたハーモニー。

ドリアンを食べてからしばらく続く、この安堵感と恍惚感。いわゆる「ナチュラル・ハイ」である。この「ハイ成分」の正体が何であるのか、今に解明される日がやってくるに違いない。