丘陵地の上に広がり、緩急さまざまな坂道が多いシローン。リクシャーやオートは見当たらないが、黒と黄色に塗り分けられたスズキのマルチを用いた小型タクシーが非常に多い。
市内各地のタクシースタンドで客待ちしているもの以外にも、同じ方向に向う客を沿道で次々に拾っていくシェア・タクシーとして沢山走っている。ある程度決まったルートを巡回しているようだ。次から次へ、ブイブイとエンジンを唸らせながらやってくるタクシーを眺めていると、まるでカナブンが大群で押し寄せてきているかのようでもある。
それらを待っている様子の人が道端で立っていると減速し、その者が大声で叫ぶ目的地を通るものであれば停車して拾っていく。ちょうどミニバスのような役割だろうか。街の地理をよく知らないと利用するのはちょっと難しそうだが、とても徒歩で回りきることのできない広大な高原の街にあって、とても便利な交通機関だろう。

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意外に多い『外国の人たち』
シローンで両替するため銀行を訪れた。カウンターの中で働く人々の中にはモンゴロイドやモンゴロイドの血が混じった顔立ちの人は多い。目の前奥のデスクの課長さん?みたいな雰囲気の人は、私たち東アジアの人間と変わらない顔立ちと肌色だ。『橋本さん』と呼んだら『はい』と返事してくれそうな感じの顔立ちと立ち居振る舞いで、訳もなく親近感をおぼえる。コンピュータは入っているが、相変わらず分厚い帳簿がデスク間を行き交っているし、とにかく時間がかかる。昔々のインドの銀行そのままといった感じだ。
とにかくヒマなので、両替カウンター前に並ぶ人々の間でとりとめのないおしゃべりが始まる。私以外の十数人の客たちは皆インド系の顔立ちであったので、どこから来たのかと思えば、アメリカやイギリスといった欧米在住のNRIやPOIの人たちばかりでなく、隣国バングラデシュの中産階級旅行者もけっこういた。国境を越えれば目と鼻の先にあるシローンやダージリンといったヒルステーションはなかなか人気なのだという。インド旅行のリピーターも相当多いらしい。この国からインドにやってくる不法移民等が大勢いる理由のひとつは交通のアクセスの良さ。すると同様に観光客も多く訪れるのは当然のことだ。
多少のお金を換えるだけで2時間以上待たされた銀行を後にした直後、宿泊先のホテルのすぐそばに民間の両替商のカウンターがあることに気がついた。でもしばし私と同じく『外国から来た人たち』とおしゃべりを楽しむことができたので、まあ良しとしよう。
シローンへ
バスはグワーハーティー駅周辺の大渋滞に揉まれながらG.S. Roadを南下していく。混雑もだいぶ緩和されてきたあたりでは道路の両側にちょっと良さそうなレストランや巨大なショッピングコンプレックスがいくつもある。はるか前方には何棟もの高層コンドミニアム群が見える。グワーハーテイーのように郊外へ発展する余地がある街でもこういうタイプの住居が売れるのは、こういうタイプの住宅の利便性や都会的な雰囲気を求めてのことだろうか。建築現場でこうした建物の『構造』を眺めていると空恐ろしくなる。大地震の到来は言うまでもなく、どんどん増殖中のこれらが老朽化して居住するのが危険な状態になったとき(そう遠くない将来であるように思える)には、大きな社会問題になるだろうし、そもそもどうやって取り壊すのだろうか。
周囲の混雑もかなり緩和され、車掌による懸命の客引きのおかげで車内はほぼ満員になる。ここから一気に加速して一路シローンへ。国道37号線をナーガーオン方面に進む途中、同40号線との三叉路を折れると、ここがちょうど州境になっている。メーガーラヤ警察のチェックポストがある。ポリスたちが乗り込んできて車内を見渡して検査は終わり。ここから急に坂道が多い山岳地帯に入った。
メーガーラヤ州に入ってから沿道の景色はガラリと変わった。地形もさることながら地元のカースィー族の家屋らしき木造の壁に浮き出た黒い梁が特徴的な家がいくつも見られる。州都のシローンなどでよく見かける教会は、こうした地元の建築から意匠を取っているような気がする。いくつかの町や集落を通過していくが、モンゴロイド系の顔立ちがよく目立つ。
ウミアム湖の美しい景色を眺めつつ、バスはダムの上を走っていく。この湖は人造湖らしい。付近には空港があり、州内のトゥラー、アッサム州都のグワーハーティーなどを結ぶヘリコプターの便が発着している。
グワーハーティーを出てから4時間あまりでメーガーラヤ州都シローンに到着。坂と緑が多く爽やかな空気の高原都市だ。行けども行けども続く丘陵地の上に広がる街中に商業地、公園、公共施設、住宅地などが散在している。街の郊外にも規模の小さな茶畑がいくつも見られる。『メーガーラヤ茶』なんて聞いたこともなかったが、気候的にも地形的にも栽培には向いているのだろう。
街中で最も密度の高い市街地のひとつ、ポリス・バーザール界隈の宿に泊まることにした。観光局、バススタンド、銀行、食堂などがあり、どこに出るにも何かと便利そうだ。

シローンの教会
いま何が起きているのか?

プールヴァーンチャル・プラハリーपूर्वांचल प्रहरीというヒンディー語紙がある。アッサム州都グワーハーティーを本拠地とする会社が出している新聞で、他に英字新聞も出している。
Times of Indiaのような英文全国紙やデーニク・ジャーグランのようなヒンディー語による広域紙と違い、かなり地元密着型の新聞であるため地元ニュース満載なのがうれしい。しかもごく狭い地域で販売されるようなタブロイド版で印刷の質も悪いローカル紙よりも紙面が多くて各々のニュース記事の精度も高い(?)と思われるのもありがたいし、地元アッサム語あるいは同様に広範囲で使われているベンガル語ではなく、ヒンディーで書かれているのもうれしい。インド北東部の進歩的ヒンディー紙を謳うだけあり、本拠地のアッサム州外でもメガラーヤ州、トリプラ州その他でも売られている。
手が空いているときには何か読むものがないと落ち着かない。それに訪れた先で今何が起きているのか常々興味のあるところだ。そんなわけで、朝食のときに広げて読むことのできる新聞が見当たらない土地ではどうも消化不良気味になってしまう気がするし、逆にこのような地元紙があると食もどんどん進むのである。
近郊の広場でのメーラーの開催が書かれていれば、『行ってみようか』ということにもなるなど観光にも役立つこともあるが、数日間紙面を眺め続ければその土地で今何が問題になっているのかについておおよその輪郭を掴むことができるのがいい。
まさに混沌
朝7時すぎに鉄道駅前のパルターン・バザールの宿を出て、このエリアから南方向へ向かうG.S.ロードに出たところでちょうど私の目的地に向かうバスがつかまった。
通りには沢山の民間バス会社がオフィスやチケット販売窓口を構えている。州内外の各方面に向かう無数のバスがそれらの前から発着しているのだ。 『今日は幸先良い』と得した気分になったが実は決してそんなことはなかった。まだ空席が目立つこのバスはG.R.ロードをチョロチョロと徐行しながら客集めにいそしんでいる。開け放った扉から車掌が身を乗り出して、あるいは道路に降りてノロノロ進む。その後とりわけ人通りの多い一角で路肩に寄せて停車。更に多くの客が乗り込んでくるのをひたすら待っている。
またバス会社があちこちに散在しているというのもかなり不便だ。どこの会社がどの時間帯にバスを走らせているのか、それらがどこから発着しているのかについて俯瞰できないと、よほどこの街に通いなれていないと見当もつかないだろう。 複数のバス会社のチケットを取り扱うエージェントも軒を並べていたりするのだが、バスによって『××時ごろ前を通る』とか『××にあるオフィスに行け』などとまちまちなので利便性はすこぶる悪い。 この街に住んでいる人だって、街からあまり出ることがない人ならば長距離バスの 『システム』がどうなっているのかよくわからないのではないだろうか。
こんな具合なのは何も私が乗ったバスだけではない。もとより長距離バスの往来が多いこの時間帯、目抜き通りの両側はバスの洪水になっており、空席を抱えるそれらの車両が客をひとりでも多く乗せようと躍起になっている。そのため本来の交通量はそうむやみに多いようには見えないのだが、これら沢山の大型車両が障害物となってひどい渋滞を引き起こし、結果としてクルマを捨てて歩いたほうがよほど早いくらいだ。
駅前南側が広いエリアに渡り、『商店、ホテル、一般車両などの障害物で遮られ機能不全となった巨大バスターミナル』とでも形容できるだろうか。もちろんバス会社の関係者や利用客以外の人々からしてみれば、これらのバスこそが大変な障害物である。