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カテゴリー: sports

  • メアリー・コム

    インドで強いスポーツといえば、クリケット、テニス、バドミントンなどが思い浮かぶことだろう。しかし女子ボクシングで世界最強レベルの選手がいることは日本ではあまり知られていない。

    インドで女子ボクシングが盛んかといえば、そんなことはないのだが、マニプル州出身のメアリー・コムの存在があまりに突出している。

    2012年のロンドン・オリンピックでは残念ながら銅メダルに終わったが、2002年から世界女子アマチュアボクシング選手権で5回優勝している。アジア域内では、アジア女子ボクシング選手権を含めた3つの大会で7回の優勝を経験している。

    以下リンク先のビデオはロンドン・オリンピック開催前、金メダルの期待がかかっていたメアリー・コムを取り上げたものだが、インタビューのやりとりとともに、彼女の家庭での様子(既婚で2児の母でもある)、練習風景なども紹介されていて興味深い。

    India – Five Times World Boxing Champion
    ‘Mary Kom’ WISH her for London Olympics, 2012
    (Youtube)

  • サッカーのミャンマー代表 9/23(日)にセレッソ大阪と親善試合

    このところJリーグは、アジア各国のリーグとの関係強化を図っているが、このところ経済方面で大きな注目を浴びているミャンマーとパートナーシップ協定を締結したという発表がなされたのは8月下旬であった。

    ミャンマーナショナルリーグ(MNL)とのパートナーシップ協定締結について (Jリーグ)

    そのパートナーシップ締結と直接関わりがあるのかどうか不明だが、9月23日(日)にセレッソ大阪がミャンマー代表との親善試合を実施する。セレッソのウェブサイトに書かれているとおり、ミャンマー代表は今年の東南アジアサッカー選手権大会(スズキカップ)へ向けてのトレーニングキャンプを日本で実施し、その一環としてこのゲームが組まれるとのことだ。

    ミャンマー代表と親善試合実施のお知らせ (セレッソ大阪)

    試合会場はJ-GREEN堺で、キッフオフは午後3時半。入場料は何と無料である。注目されることはなく、観客数も少ないことと思われるが、ミャンマーのサッカー事情に多少なりとも関心のある方はぜひ押さえておくべき一戦であろう。

  • 日本でクリケットが静かなブームに

    世界的にはサッカーに次ぐ膨大な競技人口を擁しながらも、なぜか日本ではとりわけマイナーなスポーツという地位に甘んじているクリケット。

    日本国内での競技人口はわずか1,500人と言われるが、それでも最近ではゆっくりではありながらも、着実にその人気は広がりを見せているらしい。

    首都圏や関西圏では、わずかながら少年のクラブチームがあるようだが、日本でクリケットを愛好する人々の大部分は大学に入ってから始めているといった現状らしい。おそらく現在までのところ、日本国内の中学、高校の部活動で「クリケット部」が存在しているのは、大阪の上宮学園だけということになるようだ。それがゆえに、U19、U15の日本代表として海外遠征を経験する生徒もいるとのこと。

    こうした具合であるがゆえに、このスポーツで日本の第一人者として活躍したい人にとっては好都合であるとも言えるだろう。日本クリケット協会のウェブサイトには、同協会に加盟している大学のクリケット部を含めた全国のクラブチームの名前が記されているが、その数55とかなり少ない。そのうち30のクラブが関東に集中している。

    これらの中には大学のクリケット部や大学のOBによるクラブ以外に、主に外国人メンバーで構成されるチーム、外国人学校のクラブもあったりと、なかなかバラエティに富んでいる。

    だが外国人プレーヤーもかなり含まれているということも差し引くと、やはり大学のクリケット部に籍を置くということ自体で、日本代表に選出されることは決して夢物語ではないということは容易に想像できるわけで、先述の大阪の上宮学園中学・高校のクリケット部と同様に、頑張れば日の丸を背負って国際試合を闘う日本代表メンバーとなることを意識しながらプレーできるということはずいぶん張り合いがあるはずだ。

    「世界的なスポーツでありながらも、何故か日本での競技人口は少ない」ということを大きなアドバンテージと捉えて、世界の舞台を目指してみるのもいいだろう。この競技を愛好する若者たちが大志を抱くことができる環境がそこにある。

  • 越境フットボーラー

    越境フットボーラー

    2000年代に入ってから、欧州のトップリーグで活躍する日本人サッカー選手がずいぶん増えた。日本代表クラスは言うに及ばず、日本の高校サッカーからJリーグを経ることなく、イングランドのアーセナルに加入した宮市亮選手のような例もある。

    彼はイングランドの査証取得の問題から、オランダのフェイエノールトに期限付き移籍、アーセナルに復帰後に再び期限付き移籍でボルトンにてプレーしている。日本人プレーヤー海外組の中で、今後が最も期待される選手のひとりだ。

    欧州のトップリーグでプレーする日本人選手の話題がいろいろ取り沙汰される中で、アジア各国のリーグで活躍する選手もまた少なくない。昨年、「MNL (Myanmar National League)に日本人選手」と題して取り上げた伊藤壇選手は、その中で最も知られているプレーヤーだろう。

    それらを含めた海外組の中で、一般的に自国のJリーグよりも格下とされているリーグで活躍している選手の動向は、日本にはあまり伝わってこないため、他にはどんな選手がいるのか、どういう環境でプレーしているのかといったことについては、ちょっと見当もつかないという人が大多数かと思う。

    今年1月に発行された「越境フットボーラー」という本では、そうした選手たちの生き様が描かれている。

    書名:越境フットボーラー

    著者:佐藤俊

    発行:角川書店

    ISBN:978-4-04-110074-5

    巻頭で取り上げられている、先述の伊藤壇選手は、1年1か国と決めて、アジアでこれまで12か国・16チーム目のネパールのMMC (Manang Marshyangdi Club)に在籍している。昨年は、ミャンマーのラカプラ・ユナイテッドFCにて、一昨年はインドのゴアを本拠地とするチャーチル・ブラザーズSCでプレーしていた。これまでほとんど代理人を使わずに、自ら現地に乗り込んで「道場破り」スタイルで道を切り開いてきた猛者だ。

    日本でJリーグに在籍したことがなく、高校フットサル部出身で、ペルーや欧州のマイナーなリーグで武者修行の末に、アルバニアでプロ選手になった中村元樹選手、日本サッカー界のいわゆる黄金世代に名を連ねた酒井友之選手は、インドネシアでプレーを続けている。JFLで戦力外通告を受けた星出悠選手は、トリニダード・トバゴで活躍した後、現在はフィリピンでプロサッカー選手生活をしている。

    日本のファンの注目を一身に集めることはないが、諸国のチームを渡り歩く選手たちの波乱に富んだサッカー人生は、チャレンジ精神と日々の精進、度胸と強烈なプロ意識の賜物だろう。非常に興味深く読ませてもらった。

    この本で取り上げられている4人以外にも、アジア各地でプレーする日本人は多い。インドのIリーグでも和泉新選手末岡龍二選手といったプレーヤーが在籍している。

    ところで、シンガポールのSリーグにありながらも、所属選手が全員日本人のアルビレックス新潟・シンガポールのような例を除けば、海外のリーグで、現在最も日本人プレーヤーの層が厚いのは、タイ・プレミアリーグだろう。

    今年1月に引退した財前宣之選手は、U17、U19時代には同世代の中田英俊よりも評価が高い時期もあったほど才能に恵まれたプレーヤーであったことを記憶している人は多いだろう。非凡な才能に恵まれながらも度重なる大きなケガに苦しみ、2009年にJリーグを離れた後、2010年にタイ・プレミアリーグのムアントン・ユナイテッドに加入。2011年に移籍したBECテロ・サーサナFCで選手生活を終えた。

    タイのサッカー界における日本人選手の貢献度もなかなかものものであるようだ。昨年のベストイレブンに2名の日本人選手が名を連ねている。

    タイ・プレミアリーグ2011 ベストイレブンに日本人2名選出!(wakusaka.com)

    先月には、ジュビロ磐田のDF本田選手がタイのクラブチームに移籍するというニュースもあった。

    磐田のDF本田、タイ・リーグへ移籍 (sanspo.com)

    日本でサッカーが国民的なスポーツとして定着して久しい。国内での競技人口の拡大とともに、経済成長目覚ましいアジア各国(残念ながら日本はその例外だが・・・)で隆盛する各地のリーグにて、プロとして活躍の場を求める日本人選手は今後さらに増えていくことだろう。ちょうど草創期のJリーグに欧州や南米からやってきた往年の名プレーヤーたち、まだ若く野心的な選手たちがキャリアアップのために上陸してきたように。

    今まさにその歴史が形作られつつあり、現在そうした国々のリーグで活躍する選手たちは、その先駆者たちであるといえる。自国内では無名だった日本人選手が、アジアのリーグから日本のJリーグに逆上陸して名を上げる日もやってくるかもしれない。

  • サッカー インド代表カメルーンを下し、ネルー・カップを制す !!

    8月22日から9月2日までデリーで開催されていたネルー・カップの決勝戦に駒を進めたインド代表は、大方の予想を覆して対戦相手のカメルーンと2-2のスコアのスコアで互角の試合運び。延長戦でも決着が付かず、PK戦にまでもつれ込んだ結果、5-4で勝利。この大会で通算3回目の覇者となった。

    この試合はネットでも中継されていたにもかかわらず、私自身は観ていないどころか、これに関するニュースが流れるまで、今回のネルー・カップにカメルーンが出場していたことさえ把握していなかった不覚を悔やんでいる。

    インド代表にとってホームで開催された大会、国際的な知名度の低いトーナメントであり、カメルーンが現時点における第一線級の選手たちを送り込んできたのかどうかわからないが、アフリカの強豪国を破っての優勝という素晴らしい結果を出したことは大きな賞賛に値する。個人的にも非常に嬉しく思っている。

    India beat Cameroon 5-4 to win Nehru Cup
    for third time
    (MID-DAY)

    India vs Cameroon Nehru Cup 2012 penalty
    shoot out
    (Youtube)

    ※インド勝利の瞬間!

  • サッカーボール Made in Pakistan

    サッカーボール Made in Pakistan

    ADIDAS、DIADORA、PUMA、NIKE等々、ブランドを問わず、サッカーボールに表示されている生産地は、パーキスターンとなっていることが多い。世界に出回っているこれらのボールのおよそ8割は同国で製造されているという。もちろんサッカー以外の種目においても、とりわけ縫いボールの場合はたいていそんな具合らしい。

    だがパーキスターン各地で広くこれらが生産されているわけではなく、パンジャーブ州のスィヤールコートに集中しているのは興味深い。縫いボールの工程が機械化されているところもあるらしいが、やはり主流は手縫いであるため、極めて労働集約的であることから、低賃金で作業する労働力が豊富にあるところということになる。するとパーキスターン全土はもとより、南アジア地域で普遍的にこの産業が盛んであってもいいように気がするのだが、そうではなく、一極集中しているのには何か理由があるに違いない。

    パーキスターン以外にも、サッカーボールを大量に生産している国は他にもいろいろある。中国製のボール、南米で作られたボールもあるし、価格帯は非常に高かったがかつては日本製も公式試合球(市場はほぼ日本国内に限られていたようだが)として販売されていた。

    パーキスターンでサッカーボールの生産が飛び抜けて多いことについて、歴史的な経緯という観点からは、サッカーの母国であるイギリスの海外領であり、家畜の屠殺が盛んであったということがある。ボールの外皮として使われる牛皮はもちろんのこと、現在使われているゴムチューブが普及する前までは、牛の膀胱が使用されていたため、ボール製造の材料の有力な供給地であった。

    牛皮といえば、今では本革のサッカーボールはほとんど見かけなくなった。かつてはサッカーボールといえば、当然のごとく革製品であった。皮革という性質上、同じメーカーの同一品番の製品であっても、かなりバラつきがあった。同じように使用していても、かなり寿命が異なった。動物の皮である以上、部位により厚みや硬軟にどうしても差異が出てくるため、ボールに空気が充満して表面が緊張した状態で放置すると、ゆがみが生じてくる。そのため、練習や試合で使う際にポンプで空気を入れて、使い終わったら空気を抜いて保存するというのが常識であった。これを怠ると、とりわけ安価なボールの場合、楕円形になってしまったり、縫い目が広がってチューブが外にはみ出してきたりすることがよくあった。

    主流であった本革から人工皮革へと素材が切り替わる大きな転換期は、1986年メキシコで開催されたワールドカップであった。サッカー選手としてピークにあったマラドーナが大活躍して母国アルゼンチンを優勝に導いた「マラドーナの、マラドーナによる、マラドーナのための大会」として広く記憶されている大会だ。彼の「神の手」によるゴール、伝説の5人抜きなど、後々に語り継がれるプレーを連発した大会だった。この大会で公式球として採用されたのは、ADIDAS社のAZTECAというモデル。ワールドカップ初の人工皮革製のボールだった。

    人工皮革のボールが普及し始めた当初、高級品を除けばまだまだ本革製品と質感が異なり、あまり積極的に手を出す気にはならなかったものの、クオリティの向上には目覚ましいものがあり、耐久性の面はもちろんのこと、サッカーの全天候型競技という性格からも、雨天でも水を吸収して重くなって反発性が失われるという本革特有の欠点とは無縁で、濡れた後の手入れの面倒もなく、素材の普及とともに高級品が低価格化していくという非常に喜ばしい展開が進んでいく。その結果、本革製品を市場からほぼ駆逐することになった。

    サッカーボールの人工皮革化は、テニスコートほどの広さのコート(体育館あるいは人工芝)で行う5人制の競技、フットサルの普及にもつながっている。もともと「サロンフットボール」ないしは「インドアサッカー」として知られていたものだ。これのラテン式名称の略語フットサルが定着した結果、競技の正式名称として採用されるようになった。このスポーツで使用されるボールのサイズは、成人のサッカーで使用される五号球であるのに対して、四号球とひと回り小さいだけでなく、外皮には低反発素材を含む人工皮革が使用されており、狭い場所での競技に適した反発性に仕上げてある。人工皮革素材の発展と普及なくして、この競技が現在のように広まることはなかっただろう。

    話はスィヤールコートのボール生産に戻る。3月24日(土)と25日(日)に東京渋谷区の代々木公園で開催された「パキスタン・バザール」に、日本の外務省招聘により、スィヤールコートの工場関係者たちが出展していた。ブースには工場の経営者とともに工員2名が詰めており、サッカーボールの手縫い作業を実演していた。初めて外国を訪れたという工員たちとも少し話をしたのだが、作業はなかなか時間がかかるもののようで、一個縫い上げるのに2時間くらいかかるとのこと。そのため1人が丸1日かけても、せいぜい4個か5個程度しか作ることができないらしい。世界の生産量の8割を担うというスィヤールコートで、どのくらいの人々がこうした作業に従事しているのか、ちょっと想像できない。

    一針一針丁寧に縫い上げていく慣れた手さばきはお見事!

    スィヤールコートという街自体は、人々の平均年収が1,370米ドルと高く、パーキスターン全土の平均値の倍ほどの収入を上げていることから、地域経済におけるボール生産業の貢献度は非常に高いものと思われる。

    とはいえ、こうした製品はMade in Pakistanとして消費者からの需要があるわけではなく、あくまでも生産委託元の外国ブランドの名前で輸出されるがゆえのことであり、内外の市場で通用する地場ブランドが存在していないことについては憂慮すべきものがある。同様に、スィヤールコートなくしてサッカーという世界的な競技が成り立たなくなっている現状にもかかわらず、相も変わらずパーキスターンはサッカー不毛の地であることについても、なんだかお寒い限り・・・としか言いようがない。

  • インド優勝 試合を分けた痛恨のPK 快進撃のアフガニスタン散る SAFF CHAMPIONSHIP

    インド優勝 試合を分けた痛恨のPK 快進撃のアフガニスタン散る SAFF CHAMPIONSHIP

    自国国家を斉唱するアフガニスタン選手たち

    開催国インドに挑むのは今大会で旋風を起こしてきたアフガニスタン。準決勝までとは打って変わり、ジャワーハルラール・ネールー・スタジアムには大勢の観客が詰めかけた。もちろん今日が日曜日ということもあるが、開催国インドが進出しての決勝戦なので、こうでなくてはならない。おそらく西ベンガル、カルナータカやゴア等、サッカー人気の高い州から駆けつけてきたファンも少なくないのではなかろうか。

    インドとアフガニスタンは、12月3日に行われたグループAでのリーグ戦で最初に対戦して1-1で引き分けた同士だが、やはり今日の決勝戦もタフな試合となった。前半戦は両チームとも互角の闘いを展開。どちらかというとロングパスを多用するインドに対して、アフガニスタンは中盤で細かいパスをつなぐテクニカルなサッカーが持ち味だ。

    前半は決定的な場面を作れなかったインドだが、アフガニスタンにはぜひ決めておかなくてはならないシーンがあった。自陣に攻め込んできたインド選手たちをほとんど置き去りにしてのカウンター攻撃で、最前線へのパスを受けたFWバラール・アールズーがペナルティエリア内に持ち込み、GKカランジート・スィンと1対1の状態で放ったシュートが正面に入ってしまい弾き返された。

    一昨日のネパール戦での不調がまるで嘘のように、本来の調子を取り戻したアフガニスタンは攻守ともに充実していた。両チームともに無得点のまま前半を終了してハーフタイムに入った。

    後半戦も互角のゲームが展開されていた。心情的にはインドに期待しながらも、大躍進を見せているアフガニスタンのMFイスラフィール・コーヒスターニーの豊富な運動量とチャンスメイキング、左サイドバックのハルン・ファクルディーンの旺盛なオーバーラップ等々、観ていて楽しいのはアフガニスタンのほうであった。

    だが試合が大きな波乱を迎えたのは後半20分。インドのサイヤド・ラヒーム・ナビーが前線に送ったボールをFWジエジエがペナルティエリア内で受ける際にアフガニスタンDF選手と交錯して倒れた瞬間、主審のスクヴィール・スィンが笛を吹いて判定はペナルティキック。これに対して抗議をしたのはアフガニスタンGKのハミドゥッラー・ユースフザイ。これに対して主審は即座にレッドカードを出して退場を命じた。拮抗した試合の中で、ほんのわずかの時間に思いもかけないハプニングが起きてしまった。

    今後、アフガニスタンは11人のインドチームに対して、10人という数的不利の中で闘わなくてはならない。ましてや相手のペナルティキックというこの試合最大の危機を迎えることになってしまった。退場となったハミドゥッラー・ユースフザイに替えて控えGKのワシール・エヘマド・ダマンがゴールを守ることとなり、MFのグラーム・ハズラト・ニヤーズィーを下げることになった。

    PKはインドのエース、スニール・チェートリーが冷静に決めた。もっとも蹴る前にインド選手の1人がフライングしてペナルティエリアに入ってしまい、ペナルティキックのやり直しを命じられるというハプニングがあったのだが。スニール・チェートリーは今大会通算7点目をマークした。

    GKの退場劇とペナルティキックの成功で、試合の流れがすっかり変わった。すっかり勢いづいたインドは、自らとは対照的に浮足立ったアフガニスタンに対して、後半33分にスニール・チェートリーが中央から右に流したボールを受けたクリフォード・ミランダーが、ディフェンダーを1人かわして切り込んで豪快なシュートを叩き込んだ。

    そのわずか1分後には同じくスニール・チェートリーが左サイドからドリブルで持ち上がり、中央にいるジエジエに速いパスを送り、これを見事にアフガニスタンゴールに突き刺す。これで3-0となって試合は完全に決まったのだが、その後スシール・クマール・スィンの強烈なミドルシュートによる4点目が入った。

    後半中途まで、あれほど拮抗した試合を展開していながらも、GK退場劇とそれによるプレイヤー人数減、ペナルティキックによる失点というハプニングの後、総崩れになったアフガニスタン代表の有様は不憫でさえあった。実力的には互角でどちらが勝ってもおかしくない試合であったが、件のペナルティキックの判定はかなり微妙なものであることに加えて、アフガニスタンGKの抗議に対して即レッドカード(何か非常に汚い言葉を吐いたのでもなければ、あまりに唐突であった。)という判断も合わせて、インド人でもなくアフガニスタン人でもない第三者から見ても何とも言えない部分がある。

    このことについては、アフガニスタン・インドともに快勝 SAFF CHAMPIONSHIPでも触れたように、微妙な判定が勝敗を左右した場合、見た目からしてインドとの縁が深いと邪推されかねないスィク教徒が主審というのはどうも収まりが悪い。シリア、韓国、マレーシア他から、立派なキャリアを持った審判員を招聘しているのだから、敢えてインドの試合、しかも決勝戦での主審という役目をスクヴィール・スィン(国籍はシンガポール)に負わせるのは、適切な判断であったのだろうか。

    スクヴィール・スィンは、今大会で幾度か主審を務めており、現在28歳とまだ若いものの的確かつ冷静なジャッジングをする審判員だと私は思っていた。だが本日の決勝戦での微妙な判定とそれに続いてのGKの抗議に対する一発退場については、とりわけ『極めてインド寄り』の外観から『インド側と事前に何か打ち合わせがあったのかも?』という疑念を生じさせるのに不足はない。ましてや今大会の開催地はインドである。

    大会始まってすぐからインドとアフガニスタンの決勝進出を予想していたが、これが現実となって非常に嬉しく思っていた。サッカーのスタイルがまったく異なるが、チーム力の差はほとんどないため、緊張感あふれる好カードになるに違いないと期待していた。確かに後半途中まではそうであったのだが、試合の流れを完全に変えてしまった判定については、第三者的な視点に立てばやはり疑問符を付けずにはいられず、何とも後味の悪い結果となった。今大会のインド優勝を素直に喜ぶことができないのが悲しい。

    SAFF優勝に沸くインド代表チーム
  • インドとアフガニスタンが決勝進出 SAFF CHAMPIONSHIP

    インドvsモルジブ

    12月9日の準決勝第1試合はインドvsモルジブ。両チームとも良い立ち上がりを見せ、序盤から互いにゴールを脅かすシーンが幾つか見られた。均衡が破られたのは、クリフォード・ミランダの右からのクロスをジィェジィェが頭で合わせたボールを、サイヤド・ラヒーム・ナビーが強引に押し込んだゴールだ。

    実力が拮抗している両チームだけに、これで試合がそのまま決まるはずはない。ハーフタイムの後、後半10数分の時間帯で、モルジブのシャムウィール・カースィムが見事なミドルシュートを決めて同点に追いつく。シャムウィールは、アリー・アシュファクと並んで、南アジアを代表する優れたサッカー選手だ。このゴールで試合の流れが変わり、優勢に転じたモルジブにインドが苦しめられるシーンが続いた。

    だがインドに起死回生のチャンスをもたらしたのは、FWでエースのスニール・チェートリーだった。ドリブルによる強引な切り込みが相手のファウルを誘いPKを得た。これをよく落ち着いてゴール右隅に蹴りこみ、再びインドが勝ち越す。

    小国ながら技術・戦術ともにレベルは高いモルジブの中盤は、今大会参加チームの中で最高レベルだろう。幾つもの好機を演出しながらも、ゴールを挙げることができないままに、時間が経過していく。終盤では守備を1人減らして、オフェンスの選手を投入しての猛攻が続く。

    なんとかインドが守って逃げ切ってくれ!と祈るような気持ちで観戦しているうちに、時計は90分を回った。ロスタイムは3分くらいだろうか?と思ったあたりで、長いドリブルで持ち上がったFWのジィェジィェからのパスを受けたスニール・チェートリーが冷静にゴールを決めた。このあたりの安定感はさすが『バイチュン・ブーティヤーの後継者』である。今日の2ゴールで、今大会通算6ゴールで得点ランキングトップに立った。

    この試合でもたびたび決定的チャンスを生み出してきたジエジエの名前も記憶しておいたほうがいい。ミゾラム州出身でまだ19歳。非常に才能に恵まれた選手だ。これからのインド代表の歴史は彼とともにあることだろう。

    準決勝なので当然といえば当然の話だが、今大会これまでの試合の中で最も見応えあるゲームであった。

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    アフガニスタンvsネパール

    続いて準決勝第2試合はアフガニスタンvsネパール。今大会で旋風を起こしているアフガニスタンだが、南アジアの雄、ネパールを前に押し込まれるシーンが続く苦しい立ち上がりだった。グループのAでの華やかな試合運びがまるでウソのように、防戦一方の展開が続く。この日の中盤の出来は最悪で、前半戦はFWのバラール・アールズーが大きく引いてカバーに回るシーンが散見された。

    劣勢に終始したアフガニスタンにとって、初めてのチャンスは前半の30分過ぎに訪れた。左からのクロスをゴール右に走り込んだ選手が頭で落として、ゴール前のバラール・アールズーに合わせるといった絶好の機会であったが、バラールはこれを確実に決めることができなかった。ネパールに圧倒されて非常に苦しい中、数少ない好機をモノにできないとどうにもならない。バラール・アールズーは、そのしばらく後も右サイドからのフリーキックを頭で合わせたものの、ボールはゴールのクロスバーを叩いてしまい得点ならず。今日はどうもツキに見放されているようであった。

    後半に入ると霧が濃くなってきた。嵩にかかって攻めたてるネパールに対して、散発的にカウンターを仕掛けるアフガニスタン。圧倒的にネパールが支配している試合だが、実のところごくわずかな攻撃の機会ながらもきっちりと決定的な場面を作ることができているのはアフガニスタンであった。中盤を支配しても、アフガニスタンの最終ラインを崩せずにいるネパールに不安なものを感じたのは私だけではないはずだ。

    ついに0-0のままでタイムアップ。短い休憩を挟んで延長戦に入る。ここでもやはり豊富な運動量とパスワークでゲームを支配するネパールに対して、防戦一方のアフガニスタンがときおりカウンターを仕掛けるといった具合だ。それにしても今日のアフガニスタンの中盤の不甲斐なさといったらない。90分終了してからもまったくスピードが落ちないネパールのタフさには感心するものの、アフガニスタンの手堅い最終ラインを崩すためのアイデアがない。ワンパターンの攻撃を仕掛けては弾き返されている。

    そんな膠着状態の中、ネパール選手たちが自陣深く入り込んだところでボールをインターセプトしたアフガニスタンは、一気に最前線に繋ぐ。バラール・アールズーが飛び出した。追いすがるネパールのディフェンス選手たちをかわして、後方に置き去りにし、放ったシュートがネパールのゴールに鮮やかに刺さる。まさに一瞬の出来事であった。

    これで試合は決まった。この後、ネパールはボールを支配しながらも、アフガニスタンのゴールを襲うことができない。今日のアフガニスタンの出来は最悪であったが、バラール・アールズーという切り札のここ一番での活躍により、8割方支配されていた試合を勝利で飾ることができた。

    準決勝第1試合のインドvsモルジブのような充実した内容はなく、あまりに雑で退屈な試合であった。唯一の見せ場が延長戦でのバラール・アールズーのゴールだ。バラールは、これで通算6点目となり、先の試合で2ゴールを決めたインドのスニール・チェートリーに追いついた。

    12月11日にインド時間午後6時試合開始の決勝戦では、インドとアフガニスタンの勝敗とともに、得点王がどちらの手に渡るかという個人タイトルの面からも楽しみだ。今大会、インドにとってグループリーグでの初戦の対戦相手がアフガニスタンであった。スコアは1-1で引き分けている。南アジアにおいてトップレベルの代表チームを相手に互角に戦った見事な試合だった。

    今日のアフガニスタンは散々な出来だったが、決勝戦はベストの状態でインドと当たって欲しい。南アジアのサッカー界の頂点のプライドと地元開催の名誉にかけてインドが勝利をモノにするのか、あるいはこの地域のサッカーの世界の勢力図を塗り替えて大きなサプライズを呼んだ新鋭アフガニスタンが、自ら王者となって更なる驚きと衝撃を南アジアサッカー界に与えるのだろうか。

    南アジアのサッカー関係者たちにとって、今大会の決勝戦はまさに『時代が動く』瞬間かもしれない。

  • グループAからはアフガニスタンとインドが準決勝進出へ SAFF CHAMPIONSHIP

    グループAからはアフガニスタンとインドが準決勝進出へ SAFF CHAMPIONSHIP

    インドvsスリランカ 試合開始直前

    12月7日のカードは、第1試合アフガニスタンvsブータンと第2試合インドvsスリランカ。アフガニスタンはブータン相手に8-1と大勝。両チームの力量の差が甚だしく、一方的な展開に終始したため、試合経過については特にコメントするつもりはない。

    だだし、注目すべきは、この試合での8得点中、4点は背番号9を付けているFWのバラール・アールズーによるものであることだ。これによって、初戦のインドとの試合での1得点と合わせて通算5ゴールと、今大会の得点ランキングのトップに躍り出た。目下、これに続くのはインドのFWで『バイチュン・ブーティヤーの後継者』とされるスニール・チェートリーが4得点。2得点では、モルジブのアリー・アシュファーク、アフガニスタンのサンジャール・エヘマディーが並んでいる。

    今後、準決勝、決勝で対戦する各チーム同士の力の差は小さいので、ゴールが量産される試合はないだろう。ゆえに得点王はアフガニスタンのバラール・アールズーとインドのスニール・チェートリーの間で争われることになるだろう。

    グループAのトップには、アフガニスタンとインドがともに2勝1分けで並ぶが、得失点差により前者が1位、後者が2位での通過となる。そのため12月9日の準決勝で、アフガニスタンはグループBで2位のネパール、インドはグループB1位のモルジブとの対戦となる。

    どちらのカードもグループAから進出するチーム、つまりアフガニスタンとインドのほうが戦力は上のようだ。だがスケジュールがタイトなこの大会において、懸念される要素がひとつある。昨日最終戦を終えて中2日休むことができるグループBのネパールとモルジブに対して、アフガニスタンとインドは中1日しか休養できないことだ。そのあたりを考慮しなければ、準決勝は順当に行けばグループA通過のアフガニスタンとインドがそれぞれ勝利して決勝に駒を進めることなると予想される。

    いよいよ大詰めを迎えつつある今大会だが、準決勝進出を決めるため地元開催のインドにとって大切な一番であったにもかかわらず、スタンドはガラガラであったのが気になるのは私だけではないだろう。南アジアにおいて、インドに限ったことではないが、サッカーのレベル向上のためには、足しげくスタンドに足を運ぶ大勢のファンたちの姿が必要だ。ゲームを観る人の数は、そのスポーツに対する人々の愛着の深さや関心の高さを如実に反映し、同時に競技人口の多寡を示すものでもある。

    こうした寂しい状況下でも、情熱的にこの競技に打ち込んでいるプレーヤーたちに敬意を表したい。同時に、スタンドに足を運んでいるファンたちのハートに共感を覚えずにはいられない。

    最後にひとつ付け加えたい。昨日12月6日にカーブルで発生した爆弾テロ事件により、アフガニスタン代表MFのムスタファ・マダル選手の親族4名が亡くなっている。これにより帰国することなく、自国代表の戦列に留まっているムスタファ選手の胸中を想像すると、やりきれない思いがする。スポーツの世界は、政治やテロ等と無縁であって欲しいものだが、なかなかそうもいかない現実がとても残念である。

  • グループBはネパールとモルジブが準決勝進出 SAFF CHAMPIONSHIP

    本日のSAFF Championshipは、第一試合のネパールとパーキスターンのゲームは1-1の引き分け。第二試合はモルジブがバーングラーデーシュを3-1で下した。最初の2試合をはともにドローであったモルジブだが、南アジアにおいてはそれなりの存在感を見せている対戦相手を完膚なきまでに叩きのめしたゲームであった。ネパールとモルジブは、ともに1勝2分けで勝ち点5。だが得失点差でわずかに1点上回る後者が1位、前者が2位での準決勝進出となる。

    明日、12月7日にグループAのアフガニスタンvsブータン、インドvsスリランカが行われる。インドとアフガニスタンはともに1勝1分けで、前者はブータン戦での大量点が効いて、得失点差でアフガニスタンを3点上回り、現在は首位立っている。すでにグループリーグ敗退が確定しているブータンとの対戦において、アフガニスタンの圧倒的な優位は揺るがないはずだ。準決勝進出は間違いないだろう。だがインドについては、実力的にそう大きな差はないと思われるスリランカが相手だ。最低でも引き分けで通過できるので楽観したいところだが、うっかり負けてしまうようなことがあると、勝ち点で逆転されて、地元開催ながらもグループリーグで敗退という屈辱が待ち受けている。

    首尾よく、インド・アフガニスタンともに12月9日の準決勝に駒を進めることとなれば、グループAを1位通過したほうがネパールと対戦、2位通過したほうはモルジブと戦うことになる。今日のところまでの全試合の中継を観戦して受けた印象を踏まえて、12月11日に行われる決勝戦に進出するのは、総体的な選手層の厚みを持つインドと華やかな海外組メンバーを抱えるアフガニスタンではないかと予想している。その両者のうち、晴れてSAFFカップを手にするのは、心情的には『インド!』と叫びたいところだが、欧州等のクラブチームでプレーするメンバーが多いアフガニスタン代表チームが要所要所で『魅せてくれる』プレーのほうに気持ちが移ってしまう。

    アフガニスタンのサッカー事情に詳しくはないのだが、選手層は決して厚くはないはずで、海外組の選手たちもアフガニスタンで上手くなって外国クラブに引き抜かれたというわけでもない。多くは生まれてから祖国とあまり縁の無い生活を送ってきた人たちらしいので、将来の更なる発展につながるようなものではなく、現在の高いチーム力は今回限りの一過性のもののようでもある。そうしたチームが『南アジアのワールドカップ』とも言われるこの大会を制覇することにでもなれば、この地域のサッカー界、とりわけ南アジアを代表するトップリーグ、I-Leagueを擁するインドの面目は丸潰れだ。

    それでもアフガニスタンを贔屓したくなるのは、内戦からの復興途上であるとか、弱小国の快進撃などといったものではなく、この大会で現在までのところ最もスペクタクルな試合見せてくれるチームであるからだ。ぜひ栄冠をカーブルに持ち帰ってもらいたい。

  • アフガニスタン・インドともに快勝 SAFF CHAMPIONSHIP

    アフガニスタン・インドともに快勝 SAFF CHAMPIONSHIP

    SAFF CHAMPIONSHIP INDIA 2011

    12月5日のSAFF CHAMPIONSHIPのグループA第一試合はスリランカvsアフガニスタン。大会開幕以前、Aグループの1位通過は順当にいけばインドで2位通過はスリランカ、場合によってはその逆もあり得ると誰もが予想していたことだろう。 ところがこのグループの初戦でインドと1-1で首尾よく引き分けたアフガニスタンが、ブータン戦を終始支配して3-0で退けたスリランカを相手に劇的な勝利を収めた。私自身、インド戦で『意外に侮れない』と感心していたアフガニスタンだが、南アジア諸国を相手にするこの大会において、その強さは本物だった。

    前半の早い時間帯に、スリランカはモハマド・ザイーンのゴールで先制したものの、その後はサイドからの折り返しをサンジャール・エヘマディーに強引に押し込まれて同点に追いつかれる。サンジャール・エヘマディーはさらにもう1点追加。後半にはアター・モハンマド・ヤムラーリーが左からのセンタリングを豪快なヘッドで叩き込む。このあたりで勝敗はほぼ決まった。

    アフガニスタン代表チームの登録メンバーの中には外国でプレーしている選手が8名もあり、それらの中には欧州・北米のクラブでプレーしている者が多く、母国の土をほとんど踏んだことがない選手もあると聞く。そのため、単純に『長らく続いた内戦からの復興の中で頑張っている』チームとは言い切れないものがある。 放送の中でインド人アナウンサーは、今大会におけるアフガニスタンの活躍を歴史的な快挙であるといった調子で伝えていたが、このチームは間違いなく優勝をさらう可能性もあるチームである。インド戦での引き分け、スリランカ戦での快勝ともに奇跡でも快挙でもなく、実力があるチームであるがゆえの相応な結果だ。

    とりわけ背番号10番と9番、サンジャール・エヘマディーとバラール・アールズーは今大会最強のツートップではないだろうか。両選手ともに南アジアのレベルを凌駕するFWプレーヤーだ。ゆえに前者はドイツで、後者はノルウェーのクラブチームでプレーしているわけだが。 本日の試合で2点を決めたサンジャール・エヘマディーに対して、先のインド戦を引き分けに持ち込む貴重なゴールを奪ったバラール・アールズーはスリランカ戦では得点がなかったものの、やはり幾度も好機に絡んでいたし、前半には右サイドから流し込まれた低い弾道のパスをゴール右側からインサイドで後方に流しての難易度の高いシュートを試みるなど、観る者を唸らせる素晴らしい見せ場を演出していた。

    アフガニスタンの次のゲームは、12月7日にブータンを相手に行なわれる。アフガニスタン、インド、スリランカ、ブータンから成るAグループの上位2チームが、12月9日の準決勝に進出する。ぜひインドとともに駒を進めて欲しいと私は願っている。

    この日の第二試合で、インドが日本人の松山博明監督率いるブータンと対戦するカードは、両者のレベルがあまりに違いすぎて楽しむことができなかった。スコアは5-0でインドの大勝。得点者は『インド版メッシ』と形容されることもあるドリブルの名手、サイヤド・イブラヒーム・ナビーが1点、クリフォード・ミランダーとスニール・チェートリーがそれぞれ2点ずつ記録した。

    インドvsブータンの試合を観戦していた方々は、主審が大柄なスィク教徒であることに気が付いたことだろう。その当人、スクヴィール・スィンはシンガポール国籍で、他の国際試合がどれもそうであるように、試合当事者たちと無関係の『中立国の審判』であることは間違いない。だがインドに対する個人的な思い入れが深いであろうと邪推されかねないため、今後もインド戦でホイッスルを吹くことがあれば、対戦国が力の拮抗した相手であったり、準決勝、決勝に駒を進めたりした場合、自国開催のインドに有利に働く可能性があると批判を浴びる可能性は否定できず、決して好ましいことではないだろう。

  • Karbonn SAFF Championship India 2011をネット観戦しよう!

    Karbonn SAFF Championship India 2011をネット観戦しよう!

    今回のSAFF (South Asian Football Federation)  Championship 2011の開催地はインド。デリーのジャワーハルラール・ネルー・スタジアムで全15試合が行われる。2009年にバーングラーデーシュで開催された前回大会で優勝したインドは自国での大会に臨んでいるわけだが、これまで5回という最多優勝国としてのメンツもあり、前回に続いての連覇が期待されるところだ。

    グループA(アフガニスタン・インド・スリランカ・ブータン)とグループB(ネパール・モルジブ・パーキスターン・バーングラーデーシュ)に分かれて、それぞれ総当たりのゲームが実施される。ふたつのグループのそれぞれ上位2チームが決勝トーナメントに進出する。グループAの1位とグループBの2位、そしてグループAの2位とグループBの1位が準決勝を戦い、それぞれの勝者が決勝戦で対戦するといった具合。

    Ustreamがこの大会のゲームをライブ配信することについては、当サイト右側にあるツイッター記事にもあるとおりだが、同様にYoutubeでも専用チャンネルを設置して中継映像を流している。すでに終了した試合を視聴することも可能だ。

    12月2日、開幕戦のBグループパーキスターンvsバーングラーデーシュは、0-0の引き分け。同じくネパールvsモルジブも1-1で引き分けた。昨日12月3日は注目のインドの初戦で、相手はアフガニスタン。前半の早い時間帯で、中盤選手がのバックパスを受けたインドの左サイドバックのマヘーシュ・ガウリーのお粗末なボール処理により、アフガニスタンのエース・ストライカーのバラール・アールズーにインターセプトされて先制点を決められてしまう。しかしその後、スティーヴン・ダイアスが蹴った左コーナーキックをスニール・チェートリーの見事なヘディングによる同点弾がアフガニスタンゴールに突き刺さった。

    先制点を決めたアフガニスタンのバラール・アールズー

    概ねインドは優勢に試合を進めていたとはいえ、明らかに格下であり、しかも国内事情がスポーツの育成という状況ではないアフガニスタン相手に引き分けというふがいない結果になった。だがサッカーのアフガニスタン代表チームを見る(中継ではあるが)のは初めての私は、アフガニスタンは意外に侮れないという印象を受けた。

    世界的に見れば低い位置につけているとはいえ、南アジアのサッカー界では大きな存在感を持つインド相手に遜色ないゲームを見せてくれた。先制点を決めたFWで背番号9のバラール・アールズーは幾度も好機に絡む活躍を見せていたし、同じくFWの10番付けたサンジャル・エヘマディーも見せ場を作っていた。攻撃の起点として活躍したMFで7番のイスラフィール・コーヒスターニーも良かったし、DFで16番を付けた長髪のジャラルッディーン・シャリアテャールも巧みに最終ラインを指揮していた。

    これら4名のうち3名は国外でプレーしている選手だが、アフガニスタンのサッカー事情を紹介しているFOOTBALL AFGHANISTANというサイトによると、代表チームの中に占める国外クラブでプレーしている選手の数は、インドのI-League所属の選手も含めて8名とかなり多い。今回の試合で特に印象に残った4名以外においても、アフガニスタン選手たちは総じて技術的にはかなり高いものを持っており、体格面でも恵まれておりフィジカルも強い。サッカーという競技における素質の高さを感じさせるものがある。

    将来、国内が安定して競技人口も増えてくると、またジュニア世代から適切な育成がなされる時代がやってくるならば、地域の強豪国として台頭してくるのではないかと思う。インド戦で垣間見せたゴールへの旺盛な意欲は、隣国イランの華やかな攻撃スタイルを思い起こさせるものがある。たぶんアフガニスタン選手たちにとっての『お手本』とは、地域的にもイランのそれであることは容易に想像できるが。インドの初戦勝利を期待していたものの、結果は引き分けでちょっとがっかりしたのだが、その反面アフガニスタン代表の意外な善戦により、最後までゲームを楽しく観戦することができて良かった。

    インドvsアフガニスタンの後に行なわれたスリランカvsブータンは3-0で前者が圧勝。続いて12月4日のバーングラーデーシュvsネパールは、0-0のままタイムアップになろうかという間際に、サーガル・ターパーの芸術的なフリーキックによる得点により、ドラマチックなエンディングを迎えた。今、この記事はパーキスターンvsモルジブを観戦しながら書いている。試合はすでに後半に入ったが、スコアは0-0のままだ。

    パーキスターンvsモルジブ

    明日、12月5日はアフガニスタンの第2戦目。相手はスリランカだが、ここでもアフガニスタンの活躍を期待したい。この試合の後にインドがブータンと対戦する。引き分けでスタートしたインドは、これを確実に勝たなくては非常に苦しい。

    今後、12月5日、6日、7日にグループリーグのゲームが行われ、12月9日に準決勝、12月11日に決勝戦となる。準決勝までは第1試合は午後3時から、第2試合は午後6時からとなる。決勝戦は午後6時キックオフだ。いずれもインド時間なので、時差3時間半先行している日本在住者には観戦しやすい時間帯だ。もしご興味があれば、SAFF Championshipのネット観戦はいかがだろうか。