アフガニスタン・インドともに快勝 SAFF CHAMPIONSHIP

SAFF CHAMPIONSHIP INDIA 2011

12月5日のSAFF CHAMPIONSHIPのグループA第一試合はスリランカvsアフガニスタン。大会開幕以前、Aグループの1位通過は順当にいけばインドで2位通過はスリランカ、場合によってはその逆もあり得ると誰もが予想していたことだろう。 ところがこのグループの初戦でインドと1-1で首尾よく引き分けたアフガニスタンが、ブータン戦を終始支配して3-0で退けたスリランカを相手に劇的な勝利を収めた。私自身、インド戦で『意外に侮れない』と感心していたアフガニスタンだが、南アジア諸国を相手にするこの大会において、その強さは本物だった。

前半の早い時間帯に、スリランカはモハマド・ザイーンのゴールで先制したものの、その後はサイドからの折り返しをサンジャール・エヘマディーに強引に押し込まれて同点に追いつかれる。サンジャール・エヘマディーはさらにもう1点追加。後半にはアター・モハンマド・ヤムラーリーが左からのセンタリングを豪快なヘッドで叩き込む。このあたりで勝敗はほぼ決まった。

アフガニスタン代表チームの登録メンバーの中には外国でプレーしている選手が8名もあり、それらの中には欧州・北米のクラブでプレーしている者が多く、母国の土をほとんど踏んだことがない選手もあると聞く。そのため、単純に『長らく続いた内戦からの復興の中で頑張っている』チームとは言い切れないものがある。 放送の中でインド人アナウンサーは、今大会におけるアフガニスタンの活躍を歴史的な快挙であるといった調子で伝えていたが、このチームは間違いなく優勝をさらう可能性もあるチームである。インド戦での引き分け、スリランカ戦での快勝ともに奇跡でも快挙でもなく、実力があるチームであるがゆえの相応な結果だ。

とりわけ背番号10番と9番、サンジャール・エヘマディーとバラール・アールズーは今大会最強のツートップではないだろうか。両選手ともに南アジアのレベルを凌駕するFWプレーヤーだ。ゆえに前者はドイツで、後者はノルウェーのクラブチームでプレーしているわけだが。 本日の試合で2点を決めたサンジャール・エヘマディーに対して、先のインド戦を引き分けに持ち込む貴重なゴールを奪ったバラール・アールズーはスリランカ戦では得点がなかったものの、やはり幾度も好機に絡んでいたし、前半には右サイドから流し込まれた低い弾道のパスをゴール右側からインサイドで後方に流しての難易度の高いシュートを試みるなど、観る者を唸らせる素晴らしい見せ場を演出していた。

アフガニスタンの次のゲームは、12月7日にブータンを相手に行なわれる。アフガニスタン、インド、スリランカ、ブータンから成るAグループの上位2チームが、12月9日の準決勝に進出する。ぜひインドとともに駒を進めて欲しいと私は願っている。

この日の第二試合で、インドが日本人の松山博明監督率いるブータンと対戦するカードは、両者のレベルがあまりに違いすぎて楽しむことができなかった。スコアは5-0でインドの大勝。得点者は『インド版メッシ』と形容されることもあるドリブルの名手、サイヤド・イブラヒーム・ナビーが1点、クリフォード・ミランダーとスニール・チェートリーがそれぞれ2点ずつ記録した。

インドvsブータンの試合を観戦していた方々は、主審が大柄なスィク教徒であることに気が付いたことだろう。その当人、スクヴィール・スィンはシンガポール国籍で、他の国際試合がどれもそうであるように、試合当事者たちと無関係の『中立国の審判』であることは間違いない。だがインドに対する個人的な思い入れが深いであろうと邪推されかねないため、今後もインド戦でホイッスルを吹くことがあれば、対戦国が力の拮抗した相手であったり、準決勝、決勝に駒を進めたりした場合、自国開催のインドに有利に働く可能性があると批判を浴びる可能性は否定できず、決して好ましいことではないだろう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です


上の計算式の答えを入力してください