「一刻を争う」はずなのに…

 マディヤ・プラデーシュ州をバスで移動していたときのことである。車のいない道路を快調に飛ばしていたはずのバスが、突然の徐行運転。「事故かな?」乗客たちは首を伸ばして進行方向を眺めた。
 右斜め前方、不自然な向きで停止している青い小型バスが見えた。左前部が大きくつぶれ、前輪が軸から外れて上を向いている。路面にガラスが散り、おびただしい血糊が路面に流れている。すでに人影はなかったが、重大な事故が起きたことは一目瞭然だ。

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