インド国鉄の予約システム

今さらながらではあるが、IRCTCの予約システムは大きく進化していて、簡単に予約できるようになっている。もはや他の旅行予約サイトを通じてブッキングする必要はないと言える。検索の際にいちいち予約クラスを指定せず、「すべてのクラス」で検索し、出てきた結果からそれぞれのクラスの空き状況を確認できるようになっている。

またそのものズバリの駅名を入れなくても近隣の駅を含めた検索をしてくれるし、選択した×××ジャンクション、×××カーント、×××シティーといった同じ街の名前が入っている異なる駅がひっかかってきた場合、「あなたの指定したのは×××シティー駅ですが、これは×××カーント駅です。それでもよいですか?」といった表示が出る。またこちらの指定した区間を直行する列車がない場合、いくつかの乗り継ぎを含めた提案をしてくれるのだ。以前はこんなことはまったくなかった。

当時のシステムでは、なんとか進んでいっても支払いのところまでたどり着いても、そこでエラーになり、ガックリさせられたものだが、操作の安定性の面からも信頼できるものとなった。

コロナ禍前の話になるが、鉄道予約の際には、IRCTCのサイトから直接購入するのではなく、Cleartripというインドの旅行予約サイトの鉄道予約システムが秀逸だったので、そちらを利用していた。Cleartripが独自の鉄道予約システムを持っているわけではなく、同社のシステムがIRCTCのシステムと連携して予約できるようになっていたのだが、そちらのほうが、おおもとのシステムから直接購入するよりも安定的かつスムースというのはおかしなものだと思っていた。また、PCサイトからだとインドの携帯電話番号の入力、インドの携帯に送られてくるOTPの入力といった、日本在住者にとっては困ったハードルがあったが、なぜかスマホアプリではそれが求められないので手軽に使えるという利点もあった。

・・・と過去形になるのは、Cleartripでは現在鉄道予約の扱いはなくなっており、一時期は取り扱いのあったバス予約もなくなり、そしてホテル予約システム自体は以前から貧弱であったため、後発のmake my tripその他、新興の予約サイトに押されて、もはやオススメできる予約サイトではなくなっているからだ。敢えて民間の旅行予約サイトでインド国鉄をブッキングしたいというのであれば、ixigoの評判が良いようだが、今やIRCTCのシステムがしっかりしているので、その必要はないだろう。

あと、進化といえば助かるのは、何かあった場合に問い合わせ先のメルアドに質問等を送ると、数時間から半日程度できちんと回答がきたり、ちゃんとした対応をしてもらえることだ。こんなことは当たり前のように思うかもしれないが、以前はメールしてもなしのつぶてということが多く、Skypeでインドのコールセンターにかけないといけなかったからだ。

ただいくばくかの不満もある。PCで閲覧するウェブサイトもスマホのアプリも、幾度からログインに失敗(なぜか続くことがある)すると、「アクセスが禁じられています」と表示されてしまい、しばらくしてほとぼりが冷めてからでないと、システムが不通になってしまうことだ。どうしてそうなるのか?

急いでいる場合は困るし、車内で検札がきた際にスマホアプリで見せるつもりがこうなったりするのも困るので、念のためeチケットは印刷しておいたほうが良いかもしれない。

機内の「スカイチャット」

タイ国際航空機内での画像だが、座席のモニターに「スカイチャット」なる機能がある。同乗の人と座席が離れ離れになってしまったような場合、これはなかなか便利かもしれない。

普段は常時ネット接続環境にあるため、電話でもSNSでも気軽に連絡を取ることができるが、機内ではそうではないため、直接言葉を交わすしか手段がないからだ。

ただし、これを使ってナンパを試みる者もいそうな気がするし、出張などでわずらわしさを避けるため、わざわざ同行者と離れた座席にしたのに、仕事のことで連絡が入ってわずらわしい思いをするというケースもあるかもしれない。

携帯電話への寛容度

バスの中でも電車の中でもスマホの動画サイトで好きな音楽にアクセスして大きな音量で流すインド人。もちろん電話での会話も当たり前。こういう鷹揚さは見習いたいところだ。

日本のように、静まり返った車内で誰かが携帯電話で話をすると、全員の耳と視線が非難という形で向かうというのはまったく健康的ではない。

車内での音楽はともかく、ケータイでの通話については、多くの国々で多かれ少なかれの許容性があるではないかと思う。

UBER

UBERのアプリは重宝している。オートやタクシーで移動する際、値段交渉する必要がないこと、客待ちしている運転手がひどく吹っ掛けてくる地域などで、これで呼べば適正な料金で移動できるということ、そして客待ちしていたり流しているオートやタクシーが見つからない場合に呼び寄せることができることなどもあるが、どこにいても目的地を入力すると、だいたいの相場もわかることもありがたい。UBERを呼ぶと、多少待つことになる場合が多いため、目の前に空車があれば、なるべくそれを利用したい。

ただし、やや困ることもある。運転手からかかってくることがある電話だ。ヒンディー語が通じる地域であれば、私自身は会話に困ることはないのだが、「今どこにいる?」と言われても、たまたま旅行で訪れた場所の道路の名前やランドマークなど知らないので、自分がどこにいるのか説明することができない。たいていの場合は近くにいる地元の人に「ちょっと運転手と話してもらえますか?」と頼めば済むのだが、夜遅かったり、早朝だったりで周りに誰もいないと、やや困る場合もある。もっとも運転手の側にしても、お客がどこにいるのか、運転手自身のスマホアプリに表示されているはずなのに、いちいち見るのが面倒くさいのか、あるいは地図を見るのが苦手なのだろうか。

アーメダバードでも繁華街で自分のいる場所がうまく説明できず、近くで店を商う人にスマホを渡して話してもらったが、その場所を「××通りの〇〇シネマ」と運転手に言っていた。だいぷ昔にその場所に映画館があったらしい。今は影も形もなく、いろいろな店が入居する商業ビルに建て替わっているのだが、「〇〇シネマ」という名前だけは残っているらしい。

また、アプリの問題なのか知らないが、なぜか乗車ポイントを任意の場所に指定できず、本当ならば乗りたかった地点から少し歩いたりすることもある。また、マッチングしたドライバーが近くまでやってきたと思ったのに、突然消えることがある。普通のオートリクシャーがUBERとしても営業しているため、こちらに来る途中にもっと割の良いお客が見つかったのだろうか?

ともあれ、移動手段に選択肢がいろいろ増えている今という時代はありがたい。

サフダルジャン廟

サフダルジャン廟

いまどきの都会の遺跡では、こんなものでチケットを買うものらしい。入口の看板にQRコードがあり、読み込んでスマホ決済するようになっていた。実にいまいましいことだ。ITなるものに振り回されている・・・と思ったりもする。

サフダルジャン廟の入口にあるQRコード支払いの案内表示

有人のカウンターに行ってチケットを購入すると、こんなレシートのようなものが渡された。入場料金20Rs、AC代が5Rsとあるが、廟の中や敷地内のどこかにエアコンの効いたスペースがあるわけではないため謎だ。

サフダルジャン廟。ムガル建築の傑作のひとつとして知られるが、葬られているのはムガルの一族ではなく、ムガル艇庫配下のアワドのナワーブで、帝国の筆頭大臣まで務めたサフダルジャン。廟の敷地内は見事なペルシャ式庭園になっている。

昔、下宿先からバスですぐそこだったので、幾度となく訪れては夕陽を眺めながら園内の芝生の上を歩いたりしていた青春時代の思い出の場所なのだが、今こうして改めて再訪すると感慨深いものがある。

ここを訪問するのはそれ以来というわけではないが、それでも最後に来たのはたぶん20年以上前。今回こうして建物の優美さや細部の装飾の素晴らしさなどを目の当たりにして、「ああ、美しいなぁ」と、あの頃とは違うため息をついている。