鉄道大国インドに新たなルートが開通した。テレビニュースのAaj Takでは、『世界で二番目に高いところを走る鉄道』と紹介していたが、実のところはどうなのだろうか。
ともあれカシミール地方では初の鉄道となる。鉄道建設や中央政府首脳訪問に反対する勢力による大規模なバンドが実行される中、10月11日(金)の開通に際しての式典には、マンモーハン・スィン首相、ソニア・ガーンディー、ラールー・ヤーダヴ鉄道大臣といった要人たちが出席している。
2000年に建設開始したこのルートは、分離独立勢力によるものとされる攻撃等により、鉄道技師その他の犠牲者を出しながらもなんとかこの日を迎えることとなった。スリーナガル北西にあるラージワンシャルから南西方向に下ったアーナントナーグまでの66キロが開通。2009年中には、北はスリーナガル北西のバーラームーラーまで延伸し、南はカーズィーグンドまでの117キロをカバーすることになるのだという。
さらに時期はまだ確定していないようだが、やがて幹線に接続する予定とのことで、南はジャンムーまで延びることになる。従来のようにジャンムーから先はバスに揺られることなく、スムースにカシミールに足を伸ばすことができるわけだ。また天候の関係でスリーナガル発着の飛行機のキャンセルは少なくなかったが、より安定した鉄道という手段を得ることにより、インド北西部の他地域からの観光客を呼び寄せる潜在力は高いだろう。
機関車に除雪機能が付いているなど、特に冬季に対応した施設設備に力を入れているそうだ。また大型の窓ガラスを採用しており風光明媚なカシミールの景色を楽しむことができるように配慮されているというのもうれしい。
もちろん単に観光客の増加のみならず、鉄道という全国くまなく網羅する物流の大動脈と結合することによる産業インフラとしての高い価値はもちろん、インド内外から同州への投資を促す呼び水としても大いに期待されるところである。
もともと観光収入に依存する度合いが高かったカシミールだが、80年代末から激しくなった分離活動やそれにまつわる治安の悪化により訪れた『長くて暗い冬』のため、同地域の観光業は壊滅状態になっていた。ひところに比べると着実に治安の改善が見られる近年、ゆるやかに回復へと向かっているようだ。美しい盆地に恒久的な平和と、そこに暮らす人々の心の中に暖かい春が訪れることを願ってやまない。
しかし、この地域が鉄路の全国ネットワークに組み込まれることにより、中央のより強い影響下に置かれることを懸念する声もあるのだろう。『インドによる支配の象徴』と受け取ることもできる象徴的な面からも、不特定多数の人々が日々出入りするというガードの甘さからも、鉄道施設がテロの格好のターゲットとなることは容易に察しがつく。『いつ、どの駅、どの列車が狙われるか』と予想する向きもあるかと思う。
カシミール地方最初の旅客車運行ということだが、これまで長きにわたって鉄道が存在しなかったということには、その地形からくる制約等があったわけで、これを技術的に克服したインド国鉄は、栄光の歴史に新たなページを刻んだことになる。しかしながらカシミールという地域であるがゆえに、多難な前途もまた想像されるのだ。
Train to Kashmir (YouTube )
First train chugs into Kashmir (Telegraph)
※『流行のドバイの背景に?』は後日掲載します。
カテゴリー: column
-
カシミール初の鉄道開通
-
流行のドバイの背景に 1

何やらドバイがブームらしい。既存の書籍の改訂版やガイドブックの新年度版などを除いても、ここ数ヶ月の間で新たに出版された本だけでもずいぶんいろいろあるのだ。
ドバイにはなぜお金持ちが集まるのか
福田一郎 著 青春出版社
ドバイ発・アラブの挑戦―脱石油戦略は成功するか
宮田 律 著 NTT出版
アラブの奇跡 夢見るドバイ
むた あやの 著 産業編集センター
るるぶドバイ
JTBパブリッシング
地獄のドバイ―高級リゾート地で見た悪夢
峯山 政宏 著 彩図社
そういえば今年、日本では『七つ星ホテル』『世界一の高層ビル』『高級リゾート人工島』などをテーマにドバイを扱ったテレビ番組がいくつかあったらしい。世界最大級の産油国ながらも、経済面だけではなく、突如観光地としても赤丸急上昇というのはちょっと特異な現象かもしれない。
ドバイ首長国が自身を高級リゾートとして自国を売り込む戦略はもちろんのこと、近年の原油高を背景として潤沢なオイルマネーが流入し、その繁栄ぶりと変化のスピードに拍車がかかっていることから、ますます注目を浴びるに至っているのだろう。原油価格高騰は、これを輸入している国にとっては不利に作用するが、産油国自身にはまたとない好景気をもたらしている。
世界第四位の確認埋蔵量を誇るアラブ首長国連邦を構成する七つの首長国の中のひとつでありながらも、ドバイ首長国自体は『産油国』ではなく、商業のハブとして栄えている地域である。もちろんドバイへの投資もその繁栄もアラブ首長国自体の原油の魅力あってのことではあるが、脱石油依存ということで産業の多角化を推進してきており、その進展は他の中東産油国も大いに参考にしていることだろう。
日本でにわかに注目を浴びることになった『リゾート地』ドバイだが、インドでは昔から富裕層の海外旅行先として定番である。近年ボリウッド作品のロケも多いが、私たち日本人がドバイに対して抱くエキゾチックなイメージとは違って、もっと身近な感覚があるようだ。
ドバイは、内外に大いに繁栄ぶりが喧伝される大都会でありながらも総人口は140万人。なんだか少なく思えるかもしれないが、それでも1995年時点のちょうど倍であり、爆発的な拡張を続けている土地であることの証である。なにしろドバイの人口の9割近くが外国籍で、そのうち6割ほどがインドをはじめとする南アジア系の人々であり、主として仕事の関係で常に自国との間の往来が盛んに続いていることから、口づてなどでかなり事情のわかった近隣国という感覚だろう。
在住者が多いためThe Indian High SchoolやAl Majid Indian Schoolをはじめとするインド人学校もかなりあるようだ。YAHOO知恵袋の英語版YAHOO ANSWERSには、『Best Indian school in Dubai ?』という質問とそれに対する回答が出ている。

-
10ルピーで健康になろう

インドの数あるグルーミング用品の中でいろいろ気になるモノは少なくないが、とりわけそのまま日本に持ってきて大いに評判となりそうなアイテムがある。2年ほど前に『舌がキレイすっきり』として取り上げてみたタングスクレーパーがそれだ。
江戸時代の日本にも一部舌掃除の習慣があったそうだが、今の日本ではあまり一般的ではないようだ。でも歯ブラシやデンタルフロスで丁寧に歯の汚れを落としたところで、舌苔がびっしりとこびりついていたらどうなのだろう。虫歯や歯周病の原因になるだけではなく、口臭の大きな要因のひとつでもあるそうだ。
朝の込み合った電車の中で、口からドブのような臭いを発しているオジサンは珍しくない。過度の酒やタバコのせいだったり、胃腸にトラブルを抱えていたりということもあるかもしれないが、舌掃除を毎日励行するだけでずいぶん違うのではないかと思う。
またインフルエンザの季節になると、舌苔は要注意なのだそうだ。風邪に限ったことではないが、雑菌やウイルスが繁殖する温床となるらしいとのことで、やはり毎日取り除くに限るらしい。ひょっとしたら新型インフルエンザが流行した場合も、舌をキレイにしておくだけで感染のリスクが多少なりとも下がるのかも?
2年前にタングスクレーパーのおかげ?なのか、毎日朝夕に使い始めた四、五年前から風邪を引かなくなったし、虫歯も出来なくなったと書いたが、その後も風邪も虫歯もなしに過ごしている。やはり舌苔は毎日掃除したほうがいいのに違いないと私は思う。
一説によると、このタングスクレーパーはインド起源なのだとか。だが事の真偽はさほど大切なことではない。注目すべきはサイズ、形状ともに使いやすく、耐久性が高くて何年間でも使える良品が、インドのバーザールでわずか10ルピー程度でふんだんに売られていることだ。あなたも一度試してみたら、日本のドラッグストアで販売されている使い勝手の悪いプラスチック製のタングスクレーパーに手を出す気がしなくなることだろう。
やはりこの形状のタングスクレーパーの良さに気が付いた業者も少なくないようで、ネット通販などで銀製やチタン製といった高級品が販売されているが、舌掃除用具なんてステンレス製で充分だ。
でもよく考えてみると、こんなに安い品であるがゆえにわざわざインドから日本に持ってきて販売してみても手間の割にはあまり旨味がないということになるのかもしれないし、利用者側にしてみても一度購入したら何年間でも使える長寿命アイテム。だからちょっと高級素材のほうが満足感があっていいじゃないか、ということになるだろう。
ともあれ、こうした『ハイエンド』なタングスクレーパーであっても、形状はインドのステンレス製のものと同じ。バーザールの雑貨屋で、最高級品と同じ機能(・・・たぶん)が手に入るのだから、ずいぶんお買い得だ。10ルピーで健康になろう! -
西葛西でディワーリー
9月は『ブラジルフェスティバル』『スリランカフェスティバル』『ベトナムフェスティバル』等毎週末いろいろな大きなイベントが入り、その締めくくりとして『ナマステ・インディア2008』が最後の週末に開催されるなど、いかにも屋外イベントの季節といった具合で、東京渋谷の代々木公園は土日ごとに大盛況だったようだ。
10月は?といえば、代々木公園イベント&フリーマーケット&フェスティバル情報をクリックしてみればわかるとおり、次第に日が短くなっていき、朝夕が冷え込む時期ということもあり、『北海道フェア』『ベジタリアンフェスティバル』といった、落ち着いた感じのプログラムが続く。
他の場所に目を移せば、横浜の山下公園で10月18日(土)および19日(日)に、Diwali in Yokohama 2008が開催されることは先日書いたとおりだが、同25日はインド人居住者が多いことでよく知られる東京の江戸川区西葛西で『東京ディワリフェスタ西葛西』が開かれるとのこと。
外での催し物にはちょっと寒い時期かもしれないが、掌の中のチャーイのカップの温かみがことさら心地よく感じられ、出来たてホカホカの料理がこれまたおいしくいただけそうな季節である。 -
チャダって誰だ?

ナマステ・インディア2008の9月27日(土)のプログラムで、『インド人演歌歌手チャダ』なる人物がステージに登場。立派な体格のスィク教徒で、日本語も上手いが歌唱力の素晴らしさに驚いた。
雄々しい風貌、黒々としたヒゲ、ターバン、威風堂々たる体躯と似つかわしくない高音域の豊かな発声で演歌という一見ミスマッチながらも、妙に板についている。またステージで歌うこと、しゃべることに慣れている具合が何とも不思議だ。
最初は『え?何だって?』とキョトンとしていた観衆も、チャダが歌い始めるとそのプロフェッショナルな歌唱力に感じ入るとともに、彼の巧みなトークにスルスルと引きずり込まれていたようだ。その模様はYouTubeに投稿された動画で観ることができる。
将来の夢は『サルダールジーになること』だという小学一年生の私の息子は『おぉ!カッコいい!』と大喜びで、ステージが終わった後にフラフラと会場脇を散策していたチャダを見つけて握手してもらうとともに、一緒に記念撮影もしてもらった。
ところでこのチャダという人物、私はてっきり日系人でもある黒人演歌歌手ジェロの人気から『二匹目のドジョウ』を狙って出てきた新手の歌い手とばかり思っていたのだが、実は1975年に大ヒットを飛ばしており、歌手引退後はビジネスの世界に転進、貿易会社を営むようになったのだという。
そして今回はなんと30年振りの芸能界復帰ということになるらしい。先述のYouTube投稿動画を再生してみると、そのことについて司会者が触れていたが、私は息子とその場に居合わせていたにもかかわらず聞き漏らしていた。
それでは彼は今幾つなのかといえば、1952年生まれで今年56歳になるとのことだが、あと4年で還暦とは思えない若々しい風貌と雰囲気だ。息子にとってチャダはすっかり『ボクのヒーロー』になっており、11月19日に発売されるチャダの『踊るマハチャダ/面影の女』を買うことになりそうだ。
『チャダ』公式ウェブサイト
チャダ:インド人演歌歌手 30年ぶり復帰
元祖外人演歌歌手チャダ、お披露目ライヴ・レポ
Let’s “一発屋”アゲイン -
10月18日(土)・19日(日)はDiwali in Yokohama 2008
9月27日(土)と28日(日)は東京渋谷の代々木公園でナマステ・インディア2008が開催されるが、10月にもインド関係のイベントが続く。横浜の山下公園おまつり広場で、『横浜インド祭Diwali in Yokohama 2008』が予定されている。
しばしステージで披露される舞踊等を楽しんでから港ヨコハマの風景を堪能すべく散歩するのも良し、元町でショッピングを楽しんだついでに立ち寄ってみるのも良し。イベントのインド料理屋台がどうのというわけではないが、すぐ近くに中華街があるのでおいしいランチをパクついてから向かうのもいいかも。
個人的には関帝廟真向かいの茘香尊酒家がとてもオススメ。本来ならばオマケのはずのスイート類まで充実しているバイキングは満足度が高い。お茶まで非常に美味で、とかく隙や手抜きのないサービスが嬉しい。
あるいはイベントのついでに山手の洋館めぐりもいいかもしれない。でもとかく気候の良いこの時期なので、山下公園のイベント会場の芝生の上でゴロンと寝転がり、空をゆっくり流れていく雲を眺めているにもまた気持ちがいいことだろう。 -
シグマDP2
シグマDP1の他と比べようもない圧倒的な画質にホレボレしつつも、メディアへの書き込みの遅さはもちろんのことながら、開放値でF4という暗さもあり、『楽しいんだけれども使いにくいなあ』と思いながら、まさに愛憎半ばする気持ちで使っているユーザーは多いだろう。
画質のために他のすべてを捨てた?カメラなので仕方ないとはいえ、そこは秒進分歩のデジタルの世界、再来年あたりに使い勝手をグンと向上させた次期モデルを出して欲しい・・・と思っていたら、すでにDP2の開発が発表されていた。
DP1は今年3月に発売されたのにもう後継機?と思いきや、35mm換算で41mmの画角となるモデルで、28mm相当の広角レンズを持つDP1と同じシリーズの機種として並存する形になるようだ。スナップなどに使いやすい画角だし、開放でF2.8と比較的明るいレンズ(DP1と比べるとはるかに明るい)であることから、書き込み速度や操作性といったメカニカルな部分が大幅に改善されていれば、非常に魅力的なモデルになるのではないかと思う。携帯性や趣味性からしても『インドでいかが?』というカメラになりえるかもしれない。
裏を返せば違うのは画角とレンズの明るさだけというカメラであれば、DP1を愛用している人であっても、『またアレでは・・・』ちょっと引いてしまうのではないかとも思う。現在、発売日・価格ともに未定とのこと。『買うぞ!』と思っているわけではないのだが、まだそれなりの価格で引き取ってもらえるうちに、DP1を手放してして現金化しておこうか、と思ったりもするのである。

-
大空からの落し物
千葉県山武市内の住宅地で、乗用車に航空機から落下したものと思われる金属片が衝突する被害が報告されたとの記事が出ていた。落し主はエンジントラブルで出発地の成田空港に引き返したエアインディア307便らしいとのこと。
機種はボーイング747-300だ。機齢は不明だが、1983年から1990年にかけてリリースされていたモデルであるため、18〜25年ほど使用されている高齢機であることだけはわかる。
もっとも飛行機からの落下物は特に珍しいものというわけではなく、数年前にも米国系大手航空会社のフライトの離着陸時にしばしば滑走路に『落し物』をしていたようで、当時の新聞にこれを懸念する記事が掲載されているのを見かけたことがある。
いずれにしても、フライト自体の安全な運行はもちろんのこと、空からの落下物により地上で惨事が起きたりすることがないよう願いたい。
空から金属片、車直撃 千葉、航空機のエンジン部品か (asahi.com) -
勝ち目はあるのか?
テレビニュースを見ていたら、『ハウラー駅で爆発物』という速報が出ていた。ウェブサイト上でもこの件について以下のような記事が掲載されている。
Box with ‘explosives’ found in train at Howrah station (NDTV.com)
なんだか最近ずいぶん多いなと思う。
そういえば、お隣りパーキスターンの首都のイスラーマーバードでも、ほんの数日前に大きな爆破テロがあった。標的となったマリオットホテルはグローバルに展開するアメリカ資本のホテル。ニュースによると建物は全焼とのことで、ホテルとしての機能は停止している。メディアで報じられていたホテルエントランスのパーキングエリアに大きく空いたクレーター状の穴が爆発のすさまじさを物語っているようだ。
ホームページ上にも事件により無期限で休業する旨記されている。同サイト上に用意されているPhoto Tourで豪華な施設設備等が紹介されているが、首都一等地の特にセキュリティが行き届いているはずのエリアに立地する国際的なホテルがこのような攻撃に遭うこと、そもそもザルダーリー新大統領がテロ対策を交えた演説を行なった直後にこうした事件が起きることについて、こと治安に関する新体制の能力に大きな疑問を抱かざるをえない。
こうした中で、インドにとっては腹の底まで信用はできないものの、国軍の支持を背景に内政面ではそれなりの安定をもたらし、近隣国に対しても一定の筋が通った対応をしてきたムシャッラフ大統領の辞任後対する不安は、後任のザルダーリー氏の選出でますます先行き不透明なものになった。このたびのテロ事件は、同国の今後の迷走ぶりを予見するかのようで実に気味が悪い。
パーキスターンにおける近年の過激派の浸透には、ジア・ウル・ハク大統領時代にさかのぼるこれまで歴代の政権がとってきた政策に要因があるとよく指摘されている。利用するほうも利用される側も互いの利益のために手をたずさえていても、まさに同床異夢で腹の奥で考えていることは違う。風向きが変わればあっという間に縁遠くなってしまうどころか、敵対してくることだってありえる。『傀儡政権』だってスポンサーにいつまでも忠実というわけではないように。また国内において比較的リベラルな傾向のある東部と、より厳格な北西部の文化的差異に基づく地域対立の関係もあるようだ。
また政府自身についても、ISI(パーキスターン統合情報部)に対する文民統制の欠如が長年指摘されているところであるし、北西辺境州の中のFATA (Federally Administered Tribal Areas)のように中央政府の管理がほとんど及ばないエリアがあるというのも、パーキスターン国内的にはそれなりの歴史的経緯と合理性をもって認識されているとしても、外国から眺めれば明らかに治安対策上問題が大きい。
従来、インドではテロが起きるたびにパーキスターンの関与を疑い、これを強く非難してきたが、国内しかも首都の中心でこうした事件が起きることを防ぐことができない政権自体にそもそも当事者能力は期待できるのだろうか。
だが『外国による関与』のみらならず、今年7月にバンガロール、アーメダーバード、そして9月にデリーで起きた連続爆破テロにあたり、犯行の主体がインド国内にある地下組織のインド人メンバー、つまりテロの国産化が進む傾向が大いに懸念されている。
社会の様々な面でいやがおうにもグローバル化が進む中、過激な思想やテロはいとも簡単に国境を越えたネットワークを形成していき、既存の統治機構はいつも後手に回っているようだ。事件に対する対症療法に終始しているようだ。国境という境目ごとの『タテ割行政的テロ対策』ではもはや封じ込めることはできないのではないだろうか。
テロ対策、治安対策は厳格になっていくいっぽうだが、その反面誰もが『叩くだけではダメだ』ということはとっくに気がついている。なぜテロが起きるのか?彼らの行動をどうやって防ぐことができるのか? テロリストたちはどうやって生まれてくるのか? こうした人々が出てこないようにするにはどうすればいいのか? 私たち人類に与えられた試練といえるだろう。
現象面に限って言えば、インドもパーキスターンも国内で頻発するテロに苦慮している。
『敵の敵は味方』というわけではないが、テロという共通の敵に対して地域で『共闘』していく必要があるようだが、それをできない時点でテロリストたちに大きく先んじられている。進化を続ける21世紀の『都市型ゲリラ』であるテロリズムに対して、果たして政府はついていくことができるのだろうか? -
ミラーレスの超小型一眼レフ

旅行用カメラとしてちょっと気になるモノが登場するらしい。
オリンパスとイーストマンコダックが提唱してきたフォーサーズシステムは、オープン規格としてカメラメーカー等の業界団体に対しNDA(Non-Disclosure Agreement)ベースで公開されており、他のメーカーの参入を可能としている。フォーサーズにおいてはメーカーを問わずレンズやボディ間の互換性が保たれる。
メーカー固有のものではないユニバーサルマウントであることから、キヤノン、ニコンを追う第三の勢力にのし上がる可能性も感じさせたフォーサーズだが、提唱者であるオリンパス以外には、パナソニックから一機種および同社OEMによるライカの一機種以外には後に続くものがなく、お寒い状態が続いていた。
そのフォーサーズに『小型化』を武器にする新たな規格が登場した。『高画質スリム一眼レフのための新規格』をうたうマイクロフォーサーズシステムで、ミラーレス構造、つまり一眼レフの光学ファインダー方式に必要な、ミラー、焦点板、ペンタミラー、位相差AF用測距センサー、AE用測光センサーをなくすことで、ボディの小型・軽量化を実現しようという発想。これにともない交換レンズも相当小型化される。
一眼レフカメラの構造そのものを変えた画期的なアイデアだ。光学ファインダーに相当する部分は、ライブビューファインダーとなり、背面の液晶モニターと併用されることになる。こちらもオープン規格として賛同メーカーが名乗りを上げることができるようになっている。従来のフォーサーズレンズもレンズはアダプタを介してマイクロフォーサーズのモデルボディに装着可能だ。だがその逆は不可。
そのマイクロフォーサーズの記念すべき第一号モデルがパナソニックから発売されるG1だ。お洒落な三色から選べるという家電的な手法とともにバリアングルモニターとライブビューで、小型軽量である点と合わせて、一眼レフカメラの使い方の幅が広がりそうだ。
ファインダーが光学式ではなく液晶のライブビューファインダーになっている部分については、ピントだけではなくホワイトバランスの確認もできるというメリットはあるものの、起動時や連続撮影時のレスポンスに不安がある。少なくともスポーツの撮影には向いていないのではないかと思う。
『メーカーを問わない互換性がある』とはいえ、生まれたてホヤホヤのこのシステムによるカメラはパナソニックから10月に発売されるG1以外世の中に存在しない。レンズその他アクセサリ類がまだまだ・・・というよりも、将来性に大きな不安がある。もちろん従来のフォーサーズのレンズを流用できるとはいえ、そこは『小型軽量』が最大のメリットであるマイクロフォーサーズ規格のもので揃えることができなければ、このカメラに存在意義さえないだろう。
とりあえず今の状態では、他社のカメラを使用している人が『G1に乗り換えよう』と考えることはまずないように思う。発売時に入手可能なレンズのラインナップの範囲で、『レンズ交換可能な高性能なちょっと大ぶりなコンパクトデジカメ』を買うつもりで手を出してみようという人は少ないないかもしれないが。
しかし初物ということもあるし、多くはこのシステムを生んだ本家のオリンパスのモデルが出てくるまで様子見・・・という向きが大半なのではないだろうか。コンパクトデジカメからステップアップしてみたいけれども、それほど本格的なものでなくてもいいのだ、という人にとっても小型軽量という部分がアピールするかもしれない。
良くも悪くも家電メーカーらしく、G1のウェブサイトを見てもいったい誰に売ろうとしているのかよくわからない。万人受けをねらっているのかとは思うが、かなり趣味性が高い商品なのである程度的を絞ることも大切なのではないだろうか。
・・・とはいうものの、小型軽量・バリアングルという機動性の面では『旅行カメラ』として高いポテンシャルを感じる。ボディに高倍率レンズを付けっぱなしという場合はもちろんのこと、同じ重量でより多くの機材(主にレンズ)を持参することができるわけだ。G1というモデルに高い関心はないのだが、マイクロフォーサーズという規格にはかなり興味をそそられる。を採用したモデルがどこまで軽量化するか、どれほど多くのコンポーネンツを揃えてくるのか、今後も注目していきたい。

-
雨の日に良さそう

せっかく旅行に来たのに雨のためあまり写真を撮らなかった、そもそもカメラをあまり取り出さなかった・・・ということはよくあるだろう。コンパクトデジカメならともかく、一眼レフとなればなおさらのこと。うっかり濡らして壊れたら困る。
ビニールのシャワーキャップを被せてみても、雨の中あちこち動き回りながらシャターを押すのは面倒になってくる。やっぱり傘が邪魔だ。長いレインポンチョを着れば両手は開くものの、カメラがダメにならないか心配。
何か適当なものはないだろうか、雨天のために・・・と思っていると、ちょうど良さそうなものがあった。アウトドア用品のFoxfireから発売されているフォトレックポンチョデジというレインポンチョがそれだ。
カメラ用レインカバーと人間が着用するレインポンチョが合体したものだ。胸ポケット部分に透明なビニールの窓(洗濯等の際に取り外し可能)があり、前裾の部分に複数付いているボタンを閉じてズームレンズ先端だけを外に出して撮影できるようになっている。

本来は三脚に据えたカメラとそれを扱う人を雨から守ることを想定しているのだが、カメラを手に持ってテクテク歩きながらの撮影にも充分対応できそうだ。

背中に機材を背負うこともちゃんと考えてあり、後裾がかなり長めにとってあるのは、他のアウトドア系のレインポンチョと同じだ。そのため普通に旅行用として使用しても何ら問題ないだろう。実際に店頭で試着してみたが、素材・形ともになかなかいい感じであった。
ただしこれは安くない。何と16,590円もするのだ。今のところ他に例を見ないアイデア商品で競合する商品が不在のため、アウトドア系各社から出ている通常のレインポンチョの2倍くらいの価格だ。でもビニール窓と前裾のボタンさえ追加すれば良いので、ぜひとも他のメーカーもこのアイデアに飛びついて類似品を量産して欲しいものだ。もっとも器用な人は手持ちのポンチョをササッと加工して同じようなものを作ってしまうかもしれないが。 -
エア・デカンいまやキングフィッシャー
キングフィッシャー・エアラインスは、昨年12月にエア・デカンの吸収合併を決定し、今春以降は事実上同一企業体ながらも両ブランドが並立していた。従業員のユニフォームやブランドのロゴを共通化し、一体性を感じさせるものにはなっていたものの、予約やカスタマーケアのチャンネルも別々であった。キングフィッシャーのフライトとエア・デカンのフライトがそれぞれコードシェア便の扱いであったため、どちらのサイトからでも予約できたものの、少なくとも顧客側から見れば事実上『ふたつの異なる航空会社』であった。だがこのたび『エア・デカン』ブランドの消滅により、両社が名実ともに一体となり、ウェブサイトもhttp://www.flykingfisher.com/で統一された。
合併当初は、ビジネスその他高品位サービスのキングフィッシャーと低コストのエア・デカンというふたつの異なる色合いを持つブランドとして継続させるプランもあったようだが、結局のところブランドの統一という形で落ち着いたようだ。
エア・デカンといえば、インドの格安航空会社のさきがけ。2003年に運行を開始し、当初は主にインドの南半部を中心にフライトを飛ばしていたが、徐々に北インドへも手を広げて、全国規模の航空会社に成長した。その間スパイス・ジェット、キングフィッシャー・エアラインス他の多くの後発会社が市場に参入してくる中、先発のエア・デカンがこのジャンルの国内航空会社最大のネットワークを誇っていた。
注目を浴びた新しいビジネススタイル、めざましい躍進とこの新たな業界の牽引、後発会社(の親会社であるUBによる)買収による合併でブランド消失等々、エア・デカンをめぐり数多くのことがわずか5年間で起きた。実に浮沈の大きな業界だ。
昨今の燃油高騰の関係もあり、多くの会社が苦戦を強いられているようだ。格安航空業界各社から今後さまざまなニュースが伝えられることになるのかもしれない。だが他の多くの国々でそうであるように、新しいタイプの航空各社が既存のエアラインに与えた影響は大きい。単にチケットのコストのみならず、ブッキング、顧客サービス、運行その他あらゆる面での合理化を推進させることとなった。老舗会社がわざわざ格安専門の子会社を設立する例もかなりある。
今後も既存会社vs新興格安会社という構図の中で、クラス別の棲み分けがなされていくのだろうか。それとも既存会社の業務合理化、新興会社の中でもまた他社との差別化が進み、高級化の路線を歩むところが出てくることなどから、双方の差異が限りなく小さくなってくるのだろうか。
一般的に『格安』という手段は、既存の出来上がった市場に新規参入するためのひとつの手段に過ぎないようだ。ひとたびそれなりのシェアを占めると、自らのサービスの中であるいは同業他社のサービスとの間に差別化を図り、より収益の高いところに到達する努力にとりかかるのは、ビジネスとして当然のことだ。鉄道やバスよりも速く大きく変化し続ける空の旅客輸送の世界である。5年後、10年後にどんな様相になっているのか皆目見当もつかない。
