ストリート・チルドレン 銀行での預金を呼びかけ

ストリート・チルドレンたちにユニオン・バンク・オヴ・インディアのカードを配布するスキームが行なわれる。
この試みを主導するのは、ムンバイーで路上生活をしていたり恵まれない境遇にある子供や若者たちを支援しているNGO、Shelter Don Boscoで、ディワーリーの時期に合わせて開催されるこうした子供たち向けのキャリアづくりのためのイベントUDAAN 2008にて、500枚のカードが手渡されるのだそうだ。
Union Bank issues free Saving Account cards for street kids (WEBINDIA123.COM)


上記リンク先記事にあるように、主催者側によれば3万人から150万人(これらの数字のあまりに大きな開きはよくわからないが)とされるムンバイーのストリートチルドレンの人数からすれば、焼け石に水といった具合かもしれない。それでも貯金することの意味を伝えること、公的機関にお金を預ける手段が提供されることは大いに意義があることである。
背景に政党、政治的団体の影がチラつく団体も少なくないものの、さすがは『NGO大国』と呼ばれるインドだけあって、ストリート・チルドレンに貯蓄の大切さを教える試みは他の団体もすでに幾度となく行なっているところのようだ。たとえばプネーにあるSarva Seva Sanghも積極的に啓蒙活動を行っているようだ。
INDIA Priests Teach Street Children Merits Of Saving Money (UCANEWS.com)
だがかなり気にかかる部分も少なくない。ストリート・チルドレンたちの生活ぶりはよく知らないのだが、彼らは普段どうやってお金を保管あるいは隠しているのだろうか。ふといくつかの映画のシーンが頭に浮かんだ。それはSalaam Bombayのひとコマにあった、住処にしている路上の背後の壁のレンガをひとつ外し、そこになけなしの小銭を貯め込んでいた子が、仲間の少年にそれを取られてしまう場面であり、Traffic Signalの物乞いたちと彼らの『仕事場』を仕切るチンピラたちとのかかわりでもある。
銀行のカードを手にした子供たちが、年長の子供たちや周囲に大人たちに悪用されることはないのか、はてまた地元のヤクザやチンピラたちに取り上げられて不正に利用されることはないのかといった疑問を抱く人は少なくないだろう。そのあたりの手立てはどうなっているのかぜひ知りたいところだ。
同時に、彼らがATMにアクセスする手段がちゃんと確保されるのか、警備員や他の顧客たちに追い払われてしまい、結局カードを活用できなかったということはないのだろうか、身元のはっきりしない子供たちがカード紛失した際の対応はどうなるのか、といったことも気なる。
このイベントの開催前、すでに200枚のカードが配布されているという。大胆かつ意義のあるスキームであり、このカード配布に関しての記事にあるように、ストリート・チルドレンたちに対する医療保険のアイデアも温めているようだ。当然相応のリスクも承知のうえでの挑戦だろう。
一定の期間が経過した後に、その成果についてはトラブルの事例や今後の解決に向けての具体的な対応策も含めて公表したうえで、社会の認知と理解をさらに深めていくことが求められるであろう。この新たな試みの今後ますますの発展を期待したい。

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