デリー近郊に日本人村建設?

こんな記事が目に付いた。
インド首都に「日本人村」 企業の進出促進、日印閣僚合意へ (NIKKEI NET)
『日本の中小企業などのインド進出を促すため、インドの首都ニューデリー近郊にマンション、ショッピングセンター、レストランなどを備えた「日本人村」をつくる』とのことで、日印の閣僚間で合意することになっているのだそうだ。
『工業団地や物流拠点だけでなく、日本人が現地で快適に生活するのに必要なあらゆる設備や店舗を集積した複合都市開発』とも書かれている。いったいどんなものができるのか?
マンモーハン・スィン首相は本日訪日、明日10月22日に予定されている麻生首相と日印首脳会談で、『産業大動脈構想』に正式合意することになる。この構想は、デリーとムンバイー間の産業基盤の整備をしようというもので、両都市間を結ぶ貨物専用鉄道の建設が最大の目玉。鉄道沿線には、24の開発地域を設けることも計画されている。
日本政府はおよそ4500億円規模の円借款を供与すること、工業団地開発などにインドと共同で約150億円の基金設立を予定するなど、総事業費10兆円規模の大型プロジェクトであるというから大変なものだ。
日印両国政府ともに、日本からインドへの投資拡大について非常に前向きの姿勢を続けているものの、日本の経済界から見たインドは、中国や東南アジアと違って、まだまだ距離感があるようだ。日本の対印投資は全体の0.3%に過ぎないという腰の重さは、まさにその証拠といえる。
そこで、日本の企業がインドでより操業しやすい環境を整えるとともに、インド側からの積極的な姿勢をアピールしようという目的で、日本人村の建設が企画されたのだろう。『中小企業などの進出を〜』とあるように、バブル前後からの日本の製造業を中心とした、中国や東南アジアに対する旺盛な進出や投資のありさまを研究したうえで、モノやサービスの貿易自由化するEPA(経済連携協定)交渉の大筋合意も近いインドの魅力と合わせてアピールしたいところだ。
『日本人村』では、在住日本人が必要とする様々なサービスを提供する手立てがなされる。日用品店、食料品店、レストランといった店舗が軒を並べるほか、在住日本人たちを相手とする学習塾、不動産屋、メディアその他さまざまな業種の人々もまた続々と上陸してくるとすれば、在留邦人4万人の上海、同じく3万人バンコク(ともに短期滞在者、出張者、観光客を含めると常時滞在している者を含めた邦人数は倍以上になるという)のようになる日はそう遠くないのかも??
両国政府や出資関係者の思惑どおり、急激に在留邦人が増えることが良いことなのかどうかはさておき、こうした情勢のもとで今後10年間ほどのスパンでデリーに在住する日本人人口がこれまでよりも更に速いスピードで増加することは間違いないようだ。その中でインドと日本の間での様々な関わりかたの選択肢が増えてくることは、私たち日本人にとっても、インドの人々にとっても、決して悪いことではないように思われるのだが、いかがだろう。

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