ラマユルを後にして、リゾン・ゴンパに向かう。アルチーに向かう幹線道路から外れて、川沿いの細い道を上っていく。ラダックの山肌を眺めていると、ここでもそうだが、地層の褶曲の凄まじさに目を奪われることがしばしばある。
もちろんそうした激しい褶曲はラダックに限ったことではないはずであることは言うまでもない。山肌に木々が生えていると見えなくなるため、ヒマラヤ全域においてこのような具合であるはずなのだ。
まさに木々が極端に少ないがゆえのことだが、地滑りはかなり多いようだ。とりわけこの地域では多くない雨が降ったりすると、保水力を欠くがゆえに崖崩れは頻繁に起きてしまう。
いずれにしても、このように乾燥した高地にはあまり馴染みがないがゆえに、どこに行っても景色がとても物珍しく感じられる。
リゾン・ゴンパに到着。乾燥した山々に囲まれたこの場所の周囲には、集落らしい集落も見当たらず、まさに人里離れた修行の場という感じがする。こうした寺院で起居している僧侶たちはもちろんのこと、ラダックでは村の人々の間でも、高齢者でなければ普通にヒンディーが通じることを期待できる。言葉に対する柔軟性が高い民族であるということもあるのだろうが、J&K州の公用語のひとつが話し言葉はヒンディーと近い関係にあるウルドゥーであり、誰もが学校で学んでいるということが大きいだろう。
リゾン・ゴンパを後にして、しばらくジープ道を下っていくと、運転手のナワンは道端の人影に何やら呼びかけて停車。「なぜかウチの村の人たちがいた!」とのこと。彼らはザンスカールのナワンと同じ村の出身だが、今はカールギルで暮らしているという。
彼らは家族連れで、木陰に敷物を敷いてコンロで煮炊きをしていた。ちょうど昼ご飯を食べていたため、私たちもご相伴に預かることになった。
〈続く〉