ガントクと周辺を見物2

前日の夕方、A先生のお宅を訪問する前にも少し調べてみたのだが、スィッキム州東部の高地にあるチャングー湖に行こうとしている外国人のグループがないか、付近のホテルや旅行代理店を回って尋ねてみる。

もちろんクルマのチャーター料金が他の人とシェアして安く済めばそれに越したことはないのだが目的はそれではない。そこを訪れるにはパーミットの申請が必要になるのだが、外国人の場合は最低2人のグループであることが必要となっているためだ。

念のため、MGマールグにあるスィッキム・ツーリズムにて確認してみると、やはりひとりでは申請できないことになっているようだ。パーミットを発行するのは、まさにこの事務所であるのだが、個人での申請は不可で、必ず旅行代理店経由で行なうことになっている。煩雑な事務を避けるためのアウトソースということもあるだろうが、こうした行政関連サービスの分野における一種の民営化という側面もあるのだろう。

一軒だけ、「ひとりでも申請できる」という代理店があった。手元にもうひとりの外国人の書類があり、とりあえずはその人と行くということで申請をして、当日はひとりで出発して、チェックポストでは「連れは急病で来ることができなくなった」と言えばよいなどと言うが、追い返されたりはしないだろうか。他のところはすべて「他に誰かいないと受け付けません」ということであったためやめておくことにした。

数日後にチャングー湖に向かうというカップルには出会ったものの、私にはそれを待っている時間はない。雪の積もった高地で水面が凍結した様子はさぞ美しかろうとは思うのだが、この湖に固執する必要はなく、他にも訪れてみたいところがいくつもあるため、気分を変えて、ジープスタンドに出向いて、翌日ペリンに向かうシェアジープを予約することにした。

昼過ぎに、A先生とガントクの北郊外で待ち合わせする。本日連れて行っていただいた先は、州政府エンポリアムに併設されているクラフト博物館と、各種伝統工芸の職工の訓練も実施されているワークショップ。博物館では、伝統的な工芸品、家具に衣装等が展示されており、興味深かった。この州に暮らしているブーティヤー、レプチャー、タマン、グルン、シェルパーその他の民族の生活ぶりが再現されている。

ワークショップでは、木彫、タンカ描き、カーペット織り、機織り、竹細工その他、いろいろな工房がある。工芸の種類にもよるが、目が見えなかったり、足が不自由であったりと、様々な障害を持つ人の姿も少なくない。ここで得た技術で人々が自立して稼ぐことができるようになることを目指しているわけだが、ここで製作された工芸品もエンポリアムにて販売されている。

機織り
タンカ描き

夕方、A先生と別れて街の中心のほうに戻る。宿泊先はガントクの中心部にしたのは正解であった。食事どころ、コーヒーやビールなどを楽しむ場所が宿のすぐ近くにあって便利だ。

急坂ばかりの街なので、オートリクシャーのような気軽な乗り物がない。乗合で運行しているタクシーは、ルートを知っていれば便利なのだろうが、ほんの数日間のみの滞在で、土地勘のない身にはちょっと難しい。

<完>

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