ジュガール

今年11月にこういう書籍が出版された。

書名:大富豪インド人のビリオネア思考

著者:サチン・チョードリー

出版社:フォレスト出版

ISBN: 9784894515390

大富豪インド人のビリオネア思考

サブタイトルに『富と幸福を約束する「ジュガール」』とあるように、この本では「ジュガール」による無限の可能性とイノベーション、個々に隠された能力の開発と幸運の呼び込み等を説いている。

だが、そもそも「ジュガール(जुगाड़)」という言葉に、そんな深淵なエッセンスが含まれているのかといえば、なんとも言えない。工面するとか、手立てする、準備する、用意するといった意味があるが、「手に入る限りでなんとか都合する」「利用可能な範囲でなんとかやりくりする」といった具合で、要は得られるリソースの範囲内で、機転と創意工夫によりなんとかするといったことだ。

そんなわけで、インドに限らず多くの途上国では、都市部・農村部を問わず、いろいろとジュガールを効かせた乗り物や作業機器を目にすることになる。バイクを改造したテンポーなどはその典型と言えるし、違法ではあるが送電線から盗電した電気を自宅に引き込んでいるのもまた同様だ。

日々を生き抜くため、そしてよりベターな暮らしをするために、多くの人々がジュガールを効かせた日々を送っているのだが、その即興性とは裏腹に、物事の根本まで突き詰めて考えず、とりあえず目的が達せられれば良しとする、その場限りのやっつけ的な要素もあるので、必ずしもこれが手放しで賞賛できるものではないようにも思うが、この本の中で説かれている「ジュガール」とは、より広義の解釈による発想の転換とポジティブな思考の提案ということになるのだろう。

この本で、「ジュガール」は「日本と日本人を蘇らせるソリューション」であると書かれているが、同書を読んだ私も確かにそうかもしれないと思っている。だが、それ以上にこの「ジュガール」をインド古来の問題解決ソリューションであるとして本を著し、セミナーを開いたりする機転と着想、行動力とバイタリティこそが見習うべきものではないかと思う。まさにそういうマインド、思考、行動こそが、著者が主張するところの「ジュガール」ということになるのであろう。

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