ネパール映画上映「बाटोमुनिको फूल」邦題「道端の花」

बाटोमुनिको फूल 邦題:道端の花

2月26日(日)に、埼玉県川越市の市民会館大ホールにて、ネパール映画が上映される。

映画タイトル:बाटोमुनिको फूल (BATOMUNIKO PHOOL) 邦題「道端の花」(2010年公開)

地理的にも文化的にもインドの強い影響を受けてきたネパールらしく、この作品もインドの娯楽映画的なカメラワーク、演出、サウンド等々を駆使したものであり、亜大陸の映画文化圏の広さと懐の深さを感じさせるものがある。

内容は、幼馴染の男女ふたりをめぐるラブストーリーをベースにしているが、カースト差別による苦しみ、それを長年に渡り人々に強いてきた社会、変革を訴えてきた上位カーストの「活動家」の欺瞞等々を様々な角度から描いた社会派的な作品でもある。

ネパールは、小さな山国ながらも多民族・多文化・多言語が共存し、豊かな多様性に満ちた小宇宙のような広がりと奥行を持つ国だ。そうしたリッチな文化環境を育んできたのは、この社会を構成する沢山のコミュニティであり、それぞれの伝統が引き継がれてきたがゆえのことだろう。だが同時にそうした個々のコミュニティの確固として存在するがゆえに、差別というネガティヴな面も生み、その違いを固定化することにもつながる。

製作者は、ダリットをはじめとする低位カーストの人々に対する差別を、異なるカーストの男女の悲恋という形で映画に表現したが、これを持って言わんとしているものは、この国の社会に対するもっと大きな訴えであるように思える。

低カースト救済を看板にした欺瞞、カーストをベースにして社会を分断してしまう政治、あるイデオロギーのもとに低カーストの支持を集めて、そのイデオロギーの根源たる外国に対して自国を売り払おうとしているかのように見える勢力、混迷を極めて出口の見えない政争の世界・・・。

ダリット役の青年やその家族が、風貌も暮らしぶりも、とてもそれらしくは見えないとか、ストーリーの展開にやや唐突なものがあるとか、いろいろ感じることはあるかもしれない。これもまた、独自の事情や背景があってのことと受け入れて、じっくり鑑賞したい。

美しい映像を楽しむのもよし、悲恋のストーリーに涙するのもよし、胸の中で製作者の意図や社会的背景を思うもよし。私たちそれぞれが、個々の感性でこの作品を鑑賞したい。ネパール映画で初めて、日本語字幕スーパー付きでの公開であるとのことだ。

チケットについてのお問い合わせは、Asia Friendship Associationまで。

※『インパールへ4』は後日掲載します。

 

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