地震情報

今年3月11日の東日本大震災の揺れが発生したとき、私は東京都内のビルの中にいた。

突然、耳慣れない音声と電子音が聞こえてきた。「あと××秒で強い揺れが来ます。注意してください。あと××秒で強い揺れが来ます。注意してください。予想震度5」という機械的なアナウンスに続いて警報音、ふたたび同様のアナウンスが流れるといった具合だった。

最初は何かの訓練かな?と思った。それを耳にしている周りの人たちもキョトンとした様子でポカンと宙を見つめている人たちもあれば、そうしたノイズに気を取られず、あるいは気が付かずに自分の仕事らしきものに没頭している人たちもあった。

「あと10秒、5秒・・・」

音声は続いた。

それが終わらないうちにカタカタと小さな振動が始まっていたことで、ようやく私はさきほどの「予想震度5」というアナウンスが、訓練ではなく本当の警報であったことに気が付いた。

この予想どおりの震度であれば、倒壊する建物はほとんどないにしても、私はこれまで体験したことのない規模の揺れだ。小さな振動は急激に大きな揺れへと展開していき、建物の下の階にいたものの、ここにいて大丈夫なのか?と不安を覚えた私は即座に外に出た。

周囲の建物はグラグラと揺れている。大きな木々だってまるで根本から巨大な手で揺さぶられているかのようにユラユラとしなっている。 立っている私も酔ってしまいそうだ。

大地の震動が収まり、ホッと一息ついて建物の中に戻ると、先ほどの警報が鳴ったので再び外に飛び出す。まもなく同じくらいの規模の地震が来た。

揺れがあった時点では、震源地がどこであるかわからず、まさか東北地方の東沿岸を中心に大きな津波被害が出ているなどということは想像もしなかった。

津波はともかく、地震については、それがやってくる数十秒前、あるいは10秒ほど前でも判ればだいぶ被害を減らせるのではないかということはわかった。最初の揺れのときには警報が一体何だかわからなかったものの、2回目のときには即座に対応できた。例え逃げ場のないところに居たとしても、最悪の被害を回避するために相応の努力はできるのではないだろうか。

日本の携帯電話やスマートフォンで、地震を事前に知らせる機能が付いているものは多い。またSignalNow Expressのように、パソコンにインストールできる無料ソフトもネットで配布されている。

ところで、南アジアにも地震多発地帯は少なくない。近い将来、巨大地震が来ることが予想されている地域もある。そうしたエリアの中でもとりわけ地震の多いヒマラヤ沿いの地方において、インフラ事情は日本とは比較にならないとはいえ、携帯電話の普及については先進国並みであったりする。スマートフォンをはじめとする高性能機種も広く使われているとはいえ、庶民の間では通話とSMS送受信しかできない廉価な機種を持つ人が多いという点はネックではある。

それでもネット経由で地震発生を事前に知らせるネットワークがあれば、たとえ限られた層のユーザーであっても、強い揺れの到来を事前に知らせることができれば、それなりの高い効果が期待できるに違いない。

このシステム、地震多発国で共有できないものだろうか。もっとも震源があまりに近いと予報が間に合わないことがある、つまり直下型地震の場合は震源地の人々の間での有用性があまり期待できないという欠点はあるのだが。

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