技術を学ぶ先としてのインド

アフリカ、中東、東南アジア、南アジアの周辺国等々の途上国および中進国からこの国へ経済、金融、医学、薬学等々のいわゆる実学を身に付ける目的でやってくる人々は多い。もちろん欧米に留学するよりも費用が少なくて済むということもあるが、ローカルな言葉をみっちり習得せずに英語で学ぶことができて、しかもあらゆる分野において高い水準の充実した大学・大学院が存在するという基盤の高さがある。
インドのライバル中国もまた留学生の受け入れには積極的で、コトバの壁はあれども中国が国費で招聘する者を含めたアフリカからの留学生もけっこう多いというと、意外に感じる人もあるかもしれないが、留学生受け入れは貴重な外交手段のひとつでもある。
それはともかく、先進国とひとくくりにされる国々からは、インドで言語、社会、文化、歴史、政治、美術、舞踊等々、この国固有の物事を学んだり研究したりするためにやってくる人々は多いが、仕事でおカネになる実学を学ぶ目的でやってくる人はそう多くなかった(あまり目立たないが、決していないわけではない)といえる。そうしたごく普遍的な分野のことを学ぶにあたり、わざわざインドまでやってくる動機に乏しかったからだ。
だが昨今はちょっと事情が変わってきている。IT関連を中心に、研修目的で若手社員を送り込む企業は多く、仕事に必要な技術や知識を身に付ける場所として認識されてきているインドだ。高いレベルの実務教育をリーズナブルな費用で受けることができるというコストパフォーマンスの高さという魅力は大きい。
ソフトブリッジソリューションズのウェブサイトを覗いてみると、IT関係の様々な実務教育のプログラムが紹介されている。インドとの関わり方も時代とともにずいぶん変わるものである。10年後、20年後のインドがどうなっているのか、日本とどういう風につながっているのか想像もつかないが、インド社会のどこかに視点を据えて定点観測していくと、とても興味深いものが見えてくるはずだ。

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