シグマDP1 3月3日発売

Sigma DP1
常々気になっていたシグマのDP1が3月3日に発売となる。欧州でのエキシビションに出展して話題を呼んでからはや1年半。ずいぶん時間がかかったな、という印象を受けるのだが、この間にさまざまな試行錯誤が行なわれていたのだろう。


日本国内のカメラ専門店等ではすでにかなりの予約が入っており、初回出荷分ではとうていまかないきれず、しばらく入荷待ちの状態が続くだろうとのことである。たぶんすこぶる魅力的なカメラなのだろうと思うが、何しろ初物なのでどうかな?と思ったりもする。大手のレンズメーカーであり、一眼レフのボディなども製造する企業ではあるが、コンパクト機を開発するのは初めてだ。
キヤノン、ニコンその他のメーカーとは一線を画し、Foveon X3という規格のセンサーを搭載する。本格的な総合カメラ製造メーカーとして飛躍することをも目論んでいるのであろうシグマの野心作が『肩すかしだった』なんてことはないと思うが、かなりアクが強いモデルであることは間違いだろう。
レンズメーカーとしては、大手メーカーの商品と似た仕様のものをリーズナブルで提供したり、多くのユーザーたちが『こういうのが欲しい』と願う売れ筋を敏感に察知しては、純正製品にはない個性的なモデルせっせと市場に送り出したりする顧客迎合型である。しかしそれとは裏腹に、カメラ本体製造の部分では、自らの哲学を貫き、『気に入らないなら買うな』といわんばかりの頑固一徹さを感じるのだ。
シグマが初めて世に送り出したSD9、それに続いてSD10はRAW画像記録専門機だった。つまり撮影後にパソコンで現像して仕上げることを前提とするこだわりのカメラである。SD10の後継機であり、現行機種のSD14には、さすがにJPEGで記録することもできるようになったが、基本的にプロフェッショナルな用途に偏重した仕事用カメラということなのだろうか。
さて話はDP1に戻る。『一眼レフと同じ。ただボディが小さいだけ』と謳い、APS-Cセンサーを持つ一眼レフとの違いは、光学ファインダーがないこと、レンズ交換できないこと、高速連写機能がないことの三点のみだとアピールしている。まさにそういうカメラを待っていた人は多いだろう。
でも『一眼レフ』的なモノとしての広角単焦点で開放値がF.4というのはかなり暗く感じるし、従来のコンパクトデジカメはマクロに強いのが当たり前で、最短撮影距離がわずか1cmであったりするのだが、DP1にこうしたマクロ機能はない。撮像素子が大きさに比例して焦点距離が長くなるため、最短撮影距離は30cmとなる。すると草花や手元にあるモノなどを撮ったりするのはむずかしい。DP1の開発が発表された時点で、シャッタースピードが最高1/4000であったものが1/1000となったことについては、このカメラの性格を考えると、もともとそんなに速いシャッターが必要とは思えなかったので特に構わないのだが。
とにかく実機に触れて使ってみないとよくわからないし、新規に発売されるモデルなので旧機種と比較して『ここがこうだったら・・・』ということもできない。初物であるがゆえに操作体系がこなれてスムースなものになっているかどうかという部分も気になるところだ。
もともと一般向けに幅広いユーザー層を対象に開発したものではなく、いわゆる玄人向けで、しかも『アンタが気に入るなら買えば?』的なスタンスであろうことから、過度な親切設計を期待してはいけないだろう。また既存モデルの改良版ではなく、まったくゼロから開発を進めたものであるだけに、『これってプロトタイプ?』と思うような不備な点も少なくなかろうと予想している。
それでも前例のない一眼レフで用いられるサイズのセンサー搭載、しかもFOVEON X3というレアな規格であることから『オンリー・ワン』な魅力に溢れていて、その誘惑に抗うことができるかどうか自信がない。
価格は9万円前後と、他のコンパクトカメラと比較にならないほど高い。でも6、7年ほど前、デジタル一眼レフの低価格化が始まる前に店頭に並んでいた『ハイエンド』クラスのコンパクトデジカメはこのくらいの価格だった。それに現在6万円強で販売されているGR-Digital?(初代GR-Digitalの発売開始時の価格は確か8万円台後半であったと記憶している)とともに、プロが仕事で使ったりもするレベルのカメラがこの程度の価格で購入できるというのは、充分リーズナブルなプライスではないかと見方もできる。
・・・と、ここまでやや気持ちが昂ぶっているものの、今の私のフトコロ具合と相談してみると価格はかなりキビシイ。発売後しばらく世間の評判を耳にしながら、価格がこなれてくるのを待つことにしようと思う。でもこのモデルと競合する機種が他社から出てくる(そういうことがあるのかどうかわからないが)のを待ったり、さらにはDP1が次世代になってから検討という具合にはいかなそうな気がする。
果たして、DP1は『インドでオススメの一台』たりえるのだろうか??そのポテンシャルはとてつもなく大きいのではないかと私はとても期待している。

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