旅行向きのモバイルPCは?

従来型のモバイルパソコンといえば、出先での作業はもちろん、顧客に対するプレゼンテーション、職場に戻ってからの業務等々、様々なビジネスシーンでの用途が前提なので、当然機能性重視。一部の例外を除き、A4サイズが基本形であった。
もっと小型で、まともに文字入力操作ができるピッチのキーボードを搭載しているモデルといえば、10.1インチ画面、B5サイズのモデルとなり、選択の幅がとても狭くなる。価格も20万円前後と高価で、デルやゲートウェイなどといった通販系の会社で、デスクトップあるいは主に据え置きで利用するタイプのノート型パソコンを購入するならば、かなり高性能な機種が購入できる価格。まさに『高級機』といえるものである。
ご存知のとおり、そうした携帯パソコンの分野で異変が起きている。近ごろネットブックと呼ばれるタイプの5万円前後で購入できる安価なモバイルパソコンが次々に発売されるようになった。その名の示すとおり主にインターネットのブラウジングのために用いるものである。高速なCPUは必要ないし、HDD容量だってそんな大きくなくて構わないだろう。日常的に外に持ち出して使うことを前提に作られているため、非常に軽量かつコンパクトだ。
そうしたモデルのほとんどが横長の8.9インチ画面。タテはギュッと縮めてあるものの、横幅は10.1インチのものと同等で、キーボードはまともに入力できる幅を確保してある。視覚的にも横幅がこの程度あれば違和感なく操作できる。利用目的がインターネットの閲覧中心といった場合、自宅でのメインマシンとしての用途を兼ねて購入する人も多いと聞く。
以前はずっと高かったモバイル機器が安く、しかもこんなにコンパクトになってくると、旅行の際に持参したという考える人も少なくないだろう。旅先でそのパソコンからインターネットにアクセスせずとも、日記など記録用に使いたいという人は多いだろうし、ガイドブックには出ていないような各地の情報を参照できるよう保存したり、交通機関の時刻表をダウンロードしたりといった用途も考えられる。またハードディスクに好きな音楽を入れておき、滞在先の部屋で好きなときに聴きたい、出かけた先で購入したDVDやVCDなどを再生したいということもあるかもしれない。
特に写真が好きな人にとっては、撮影データのバックアップ用としても重宝するだろう。従前から、パソコンを持参せずとも画像保存のためのハードディスクタイプのツールを持参している人は多い。パソコンのハードディスクではなくCDかDVDに撮影データをバックアップしたい(こうした小型パソコンの場合、再生ドライブはたいてい外付けとなる)という場合には、いわゆるネットブックというジャンルから少し逸脱するが、工人舎のSXシリーズなどがいいのかもしれないが。
デルASUSエプソンなど良さそうなものがいろいろ目に付く中で、ややアップマーケットな商品だが、ソニーからtype Pが販売されている。実勢価格9万円前後と、通常のネットブックの倍近くの価格帯ではあるが、キーボードピッチはしっかりと確保してあるのに、やたらとコンパクトでビックリする。わずか19.8ミリという薄さと588グラムというから驚きだ。かなり華奢なのではないかと想像していたが、実機に触れてみるとこれがどうして、なかなかしっかり感があっていい感じ。
ただし小型のモバイル機器として、従前から定評のあるパナソニックのレッツノートの中の最もコンパクトなRモデルのようにタフであることを売りにしているわけではないため、圧迫や衝撃といった外部からのショックの際の耐性はあまり期待できないのだろう。価格の差ということもあるかもしれないが、元々のコンセプトが違うので仕方ない。
ところで、ネットブックが5万円前後で購入できる時代に、2万円強という価格はどうなのかという疑問はあるが、折りたたむと文庫本サイズで、テキスト入力専用のワープロもある。KING JIMから昨年11月に発売されたポメラというのがそれだ。単4電池(世界中どこでも手に入りやすい単3電池でないことがネックだが)2本で20時間駆動、つまりACアダプタ不要で長時間使うことができる。しかも起動してからわずか2秒で入力可能という手軽さがウリである。
もっとも日本国内ならともかく、インドでいつでもどこでも好きなときに取り出してカタカタ打ち込む・・・という図はあまり考えられないので、結局宿の部屋で使うことを考えれば、メリットはどのネットブックよりもコンパクトなことと、価格が最も安いこと以外に見当たらないが、人それぞれこうしたモノを持つ理由や動機が違うので、いろいろ選択の余地が増えてくることはいいことに違いない。
ともあれいろいろと持ち物が増えると故障や盗難など、いろいろ気を使わなくてはならないこともまた増える。お互い気をつけることにしましょう。

「旅行向きのモバイルPCは?」への6件のフィードバック

  1. ogataさん、ナマステ!
    一日に電気が来るのが数時間!というカトマンズです。3年半使ってきたノートのバッテリーガヘタり過ぎて、結局、長時間駆動バッテリー付き、省電力消費のモバイルノートを、サブマシンとして買う羽目になりました。
    検討した機種と、今回の記事紹介機種がほぼ一致していたのには、苦笑です。計画停電下で、カトマンズ生活のネット使用やワードソフト使用業務は、旅行用モバイルPC選択との共通点が実に多いです。最近のカトマンズではネパールの人たちも、デスクトップを買う人が非常に少なくなっており、ノート全盛です。これまた、停電の影響。
    で、私は、仕事場で据え置きでも使うため、デルの液晶12インチのモノにしました。来週、日本から知人が抱えて持ってきてくれま〜す。筐体の丈夫さにちと不安ありますが、WiFiが普及しているカトマンズで、いろんな場所に持ち出したいと計画中です。

  2. カトマンズはWiFiが普及しているとは知りませんでした。なかなか良いモバイル環境でしょうね。
    やはりモバイルノートはサイズ、重量はもちろんのこと、バッテリーの持ちも肝心です。
    省電力タイプのものを・・・と思うと、やはりビスタは動きが鈍くなることから、旧OSのXPが意外に長く支持されているのは、やはりネットブックが売れているおかげでしょうか。
    不況下でもこのタイプのパソコンは飛ぶように売れているとのことですが、思うにクルマでいえばターターが昨年の今ごろ発表した格安小型車NANOに例えることができるのかもしれません。
    2台目としての需要もさることながら、主に途上国でこれまでパソコンを所有することにはいまひとつ手が届かなかった層の人たちの中での需要を喚起する存在になるのではないかと思います。おっしゃるとおり電気事情に問題があるところならばなおさらのことかもしれないですね。
    デジタル・デバイド解消のため、いつだか広く提唱されていた『100ドルパソコン』の登場もそう遠くないのかもしれません。

  3. カトマンズやパタンのカフェでは、無料・有料のWiFiを提供する場所が増えました。ただし有料版の場合、Mac環境ですと、パスワードの認証が難しいことが多いと聞きます。
    また、インドにもあるCDMAシステムの無線ブロードバンドは、テレコム公社のものであれば、ネパール全国郡庁所在地その他で、かなり便利に使えます。カトマンズ盆地はもちろん、ポカラ、チトワン、ルンビニなどの観光地でも問題なし。特に重いウエブサイトや大容量のダウンロードでなければ、何とか許容範囲のスピードです。ただし、SIMカードの入手が、コネのある居住者でないと無理。
    最近、インド系の民間UTL社も同様のサービスはじめました。こちらであれば、多少のコミュニケーション能力あれば、旅行者でもSIMが買えるでしょう。ただしカバーエリアは、首都圏をはじめとする全国都市部のみ。http://www.utlnepal.com/
    SIMをいれ、USB接続で使うCDMAデータモデムは、街中のPCショップで中国製のものが買えます。
    是非次回は、モバイルPCご持参で、カトマンズにもお越しくださいませ。

  4. なるほどなるほど。
    役に立つ情報ありがとうございます。ネパールに行く際には、モバイルPCを活用しようと思います。

  5. ogataさまへ
    DELLのMini12が届き、実際に使っています。XPモデルにしたので、結構普通に、据え置き時々持ち出しPCとして快適です。外付けキーボードつけずとも、ストレス少ない本体キーボード。画面も大きくて、ナイス。
    でも、これを「常時」持ち歩くのは、ちょっと大変なサイズでした。ただし、Mini9などでは、キーボード配列に問題ありすぎ。この点、Vaio/TypePは良さげですね。
    さて、本題とはズレますが、興味深い記事です。http://www.myrepublica.com/…
    ネパールに限らず、インドでも、年齢の問題は、結構大変なこともあるのでは?いやはや。

  6. あ、Mini12ですか。いいですね。私も常々気になっていた機種のひとつです。
    ネットブックもこのところ凄い速度で進化中なので、常時持ち歩きとしてお気に召すものが出てくることでしょうね。
    リンクの貼ってあった先の三浦雄一郎さん、私も驚きました。あの方は特別とはいえ、確かにちょっと見回してみるだけで、日本の高齢者の方々の中には精神力と体力に満ちた人が多く見受けられるように思います。

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