お隣の国へ 2

朝一番にリクシャーで鉄道駅に向かい、明日のラージシャーヒー行き急行列車を予約する。ちゃんとコンピュータで発券されていた。
シヴァ寺院
宿に戻ってみると、路地挟んで向かいにあるシヴァ寺院ではバジャンの音が聞こえてきており、まだインドにいるような気分である。宿泊先の界隈はヒンドゥーが多いようで、神具を売る店がいくつも並んでいるとともに、その他の商店もそれとわかる名前が付いているものが多く目に付く。
ループシャー・ガートの渡し場
ループシャー・ガートへと向かい、河を越えた対岸にあるバススタンドからバーゲールハート行きのバスに乗る。15世紀にカーン・ジャハーンにより建設された壮麗な遺跡群があり、中でもシャイト・ゴンバド・マスジッドは世界遺産登録されており、この国最大の見どころのひとつに数えられる。
シャイト・ゴンバド・マスジッド


遺跡群は、バーゲールハートの町に入る少し手前の道路沿いに散在している。このモスクは入口手前が広大な庭園となっており、唯一入場料を取るスポットでもあり、きちんとした門構えになっている。バスの中からでもすぐにそれとわかるので、ここで下車して観光を始めるのがいいようだ。
カーン・ジャハーン廟
インドの西ベンガル州のガウルからさほど遠く離れてはおらず、時期的にも建設時期が近いためもありよく似ている。少なくとも素人目にはほとんど同じように見える。かなり広範なエリアに建築物が散っているようだが、主要なものはシャイト・ゴンバド・マスジッド周辺とそこから東に進んだところにあるカーン・ジャハーン廟周囲に固まっている。
後者については、廟以外のものは近隣の農村に散在している。何がどこにあるか少々判りにくかったりもするが、村ののどかな風景を満喫できる緑豊かな環境にあり、散策すること自体もとても楽しかった。ただし蛇も多数生息していそうな環境なので、足元には少々注意が必要かもしれない。
来たときと同じルートでクルナー市内に戻る。この国で三番目に人口が多い街だというが、その目抜き通りでも主な『交通機関』はサイクルリクシャー。自家用車やバイクは少なく、道路を渡るのが実に楽である。そういえばずいぶん昔のインドの田舎町はこんな感じだったなぁと思い出す。バーザールを散策してからニューマーケットという大きなコンクリート造の商業ビルに足を向けてみる。
コールカーターに電話をしようと思ったのだが、国際電話をかけることができるところが見つからない。インドならば田舎の街道沿いにでさえ『ISD, STD』の看板を掲げた店があり、簡単に国際電話ができるというのに。私のエアテルはこの国では使えない。携帯電話を持っているのが当たり前になっているので、これがないとずいぶん不便に感じる。
宿に帰ると部屋で電話が鳴った。昨日バススタンドからホテルまで送ってくれたイクティヤルさんという男性である。昨日『明日の夕飯ウチでどうですか?』と誘われていたのだが、彼自身のことをよく知らないこと、また家が少々遠いようであること、私自身何時ごろ観光を終えてホテルに戻ってくるかわからないこともあり、丁重にお断りしておいたのだが。限られた時間で駆け足での旅行では、早朝から夜9時すぎまで外で徘徊しているのが常ということもある。
再び夕飯のお誘いであったが、今度は『夕方8時ごろそちらにおじゃましていいですか?』とのこと。なんでも奥さんが自慢の手料理を用意してくれるのだとか。わざわざそれを宿まで持参してくれるというのだから、もう断る理由がない。彼の子供たちも一緒に来てくれるのだとか。なんだか申し訳ないことになってしまった。
午後8時半ごろ『ビビーッ』と部屋のベルが鳴り、彼と12歳の息子さん7歳の娘さんの姿があった。手料理はビーフ、卵、野菜など何種類かのカレー、ご飯は人に貸している水田で採れた『自家製』の米、そしてデザートのハルワーであった。彼ら家族が『美味しいですか?』と注視する中で一人モリモリと食すのは気が引けるが、とても素晴らしい味付けで量も食べきれないほどふんだんにあり、彼ら三人と和やかに過ごす楽しい夕方となった。
イクティヤルさん親子
結果的には最初から彼の招待を受けて自宅を訪問すれば良かったということなるが、旅先で自分の身を守ることができるのは他ならぬ自分自身。それなりの警戒心を持ち、何か親切な申し出をしてくれる未知の相手をよく観察をすることは大切だ。
ともあれ、私はイクティヤルさんのご好意にはとても感謝しており、可愛いお子さんたちともまたいつの日か再び会いたいと切に思う。

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