ネオ・クラシック

上は街なかで昔ながらの素焼の器でチャーイを売る店。下は空港内に出店しているカフェのチェーン店のチャーイ。

前者は、以前はガラスのコップで商っていたようだが、このところ素焼の器が人気であること、それを背景に供給も安価かつ安定的になされるようになったことから、利用するようになったらしい。そして後者は「昔風」を現代式に解釈した回顧趣味。こちらはずいぶん肉厚でしっかりしているので、捨てるのにしのびなくなる、しっかりした素焼きの器だ。

1杯70ルピー。「中身のチャーイは要らないから器だけくれ」と、「器のおかわり」を注文したくなるほどだ。

昔々は、ごく当たり前だった素焼の器は、時代の変遷とともにガラスや陶器の器が利用されるようになったり、紙コップやプラスチックのコップが使われたりするようにもなった。さらに時代が下り、2004年にラールー・プラサード・ヤーダヴが鉄道大臣(2004年から20091年まで)となった際、鉄道施設内でのチャーイの販売において、環境保護と地場産業の振興の観点から、素焼のカップを利用するようにと号令をかけたことがきっかけとなり、素焼の器の感触、匂いが郷愁を呼び起こすとともに、鉄道施設外でも改めて見直されるきっかけとなった。

素焼の器を利用する背景にあった本来の理由、経済的合理性、他人と器を共有しないという浄不浄の観念とは異なる観点からの「ネオ・クラシック」な需要となっている。

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