気になるモノを見かけたら、迷わずバスを降りよう!

グジャラート州でラージコートからブジへと移動中、この建物が見えたので「一目惚れ」してバスを降りた。インドの公営中距離バス料金は高くないので支払い済みの運賃をフイにしても痛くない。そして目にした建物は壮麗で、やはり素晴らしかった。

1936年に完成した建物だそうだが、そんなに時代が下ってからもこんな大がかりな建物が在地の王侯によって建てられていたというのは、ちょっとビックリだった。

建物は「マニ・マンディル」。王が妻であるマニ・バーイーに捧げて建てたお寺とのこと。一般客が参拝する寺院には見えないので、おそらく王家専用のプライベートな寺だったのだろう。昔のインドの諸侯、貴族や豪商の宮殿や館には、そうしたプライベートな寺というものはよくあった。そうした「寺」に専属の僧侶や司祭が常駐しているということも珍しくなかったようだ。

カースト上は最上ということになっている「ブラーフマン」という僧侶・司祭階級の人たちだが、世俗の社会の中で支配者となるのは稀で、タークルその他、在地の支配階層、あるいは成功した商業カーストの人たち、つまりカースト上はブラーフマンよりも下で、社会を支配していた層の人たちの庇護のもとで日々の糧を得ていた人たちが多い。これはプライベートな寺に限った話ではない。

そのマニ・マンディルだが、訪問時は残念なことに改修工事中で、中に入ることはできなかった。

それでも、ここを通過する前に渡った川に架かる橋の手前にもヘリテージな感じの建物が垣間見えていた。せっかくバスを降りたのだから、とテクテク歩いて戻ってみると、さすが旧藩王国の王都だけあって、見事なゲートの先には王都時代の建築物が多く残る旧市街があるとともに、見ごたえのある王宮も見学することができた。

インドのバス旅行では、こうした「寄り道する」楽しみがある。これもまた「一期一会」の風景との貴重な出会いである。もちろんバスの運行頻度が高い場所であって、午後遅い時間帯ではないという条件が必要だが。

これは市内移動でも同様で、何か気になる建物や眺めがあったら、そこで降りて確かめてみるという楽しみがある。こちらは市内移動なのでフイにする料金は痛くも痒くもない。せっかく気になる眺めがあっても、日没近かったり、乗り継ぎがあったり、時間を遅らせることができない理由があることも少なくないだろう。

そんなときでも、建物を画像で残しておくという意味ではなく、場所を記録しておくため、ガタガタ揺れる車内からスマホシャッターを切っておくと、位置情報を利用して後日容易にその場所を再訪することもできる。

いい時代になったなあ、と思っていたら、新型コロナによるパンデミックのため、しばらくインドを訪問できずにいる。これほど、様々な技術が進んで、世の中が「無機物化」しているような気がしていたが、こうした病原ウイルスに対して人間界は極めて弱いのは昔々から変わらず、やはり私たちは自然界の中の一部なのだなぁ、と変に感心してしまうのであった。

Manimandir, Morbi – the love symbol (Youtube)

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