ハザーリーバーグ周辺の民俗画の村巡り④

一夜明けたこの日は、ベールワーラーへ。

ベールワーラーで、最初に訪問した家がパルヴァティー・デーウィーの家。この人の絵は他の人たちとずいぶん違い、色使いもタッチもアイデアも、要はすべてが素晴らしく、プロフェッショナルな感じだ。

ヴィラーサト・トラストは、これまで幾度も海外でワークショップを開催しているが、パルヴァティーさんは、まだそうした機会に参加したことはないとのこと。ひとたび欧州や、北米等で、彼女が人々の前で描く機会を得たら、一気にブレイクするのではないかと思う。寒村で自宅の壁に描くだけで終わってしまってはあまりにもったいない。

「いやーすごいですねー。こんな美しい絵は生まれて一度も見たことがありません。これからもないでしょう。まるで天国の夢を見てるみたいですよ!」と褒めると、ちょっと困ったような、そして恥ずかしそうな表情をする素朴な主婦であった。

こういう村で、人を介在することなく描き手と直接話ができるのは大変ありがたい。ヒンディー語圏ならでは恩恵をひしひしと感じる。パルヴァティーさん以外にも、他のムラで素晴らしい絵を描く人たちと会ったが、みんな絵を仕事にしているわけではなく、家の手入れと掃除の家事仕事の一部として描いているため、褒められても、割とポカーンとしているし、あまり多くを進んで語らないのは、やはり家事の一環としてやっているからなのだろう。

 

この年は未完成で放置された絵
この年は未完成で放置された絵

村の中にはいくつかこういう絵の描いてある家屋がある。このベールワーラーもクルミー族の人たちの村である。前年はとてもきれいに描いていた家でも。今年は壁を塗り替えただけで終わってしまっていたり、絵が下書きや途中で終わってしまっている家がけっこうあるとのこと。描くことの目的が祝祭の時期のためなので、このタイミングを外してしまうと、後から完成させることはないのだそうだ。そのような状態になっている村がここだけではないため、翌年は村々を回り一ヶ所1泊2日くらいでワークショップを開催したいとのことであった。

内容は新型コロナ感染症が流行する前のものです。

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