朝食と喫茶

アングロインディアンな朝食は、亜大陸どこに行っても普遍的で、それこそペーシャーワルだろうが、ダッカだろうが、デリーで食べるものと大差ない。

おまけに英領下ではなかった(とはいえ深い縁を持つこととなった)ネパールでも普通にあるし、まだ訪れたことはないがブータンでも同様だろう。加えて、英国が短期間ではあったが影響下に収めたアフガニスタンでもごく普通にブリティッシュな朝食はあるのだろう。少なくとも街なかでは。

それにしても朝食アイテムばかりが、やけに広く普及して現地化するというのは面白いが、喫茶の習慣とセットで捉えるべきかもしれない。立場、地位の異なる人が会食する習慣のなかったインドで、チャーイを入れる店先で様々な人々が集い、議論が生まれた。

英領末期のカルカッタでは、当時まだ珍しかったカフェで、紅茶カップを片手に人々が社会を語り、それはインド独立への大きなうねりを後押しするとともに、そうしたインテリ層の中からは後に貧農たちと手を携えて闘おうという左翼革命思想も台頭し、その流れのひとつがナクサライト(マオイスト)勢力となった。

喫茶の習慣は、階層間の対話と議論の場を提供し、インドを大きく変えた・・・と言っても大げさではないだろう。

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