モーティハーリーからゴーラクプルへの鈍行列車

Bapudham Motihari Station

列車が入線してくるまで、プラットフォームでしばらく話をしたムスリムの紳士は、インドではなくネパールのタライ地域から来た人であった。ネパール側では「マデースィー」と呼ばれるインドの平地から移住した人たちの子孫だが、国境を接する地域では現在に至るまで、ネパール側とインド側での通婚は多いし、人々の往来も盛んだ。

日が暮れてから列車がゆっくりと入ってきた。人々でぎっしりすし詰め状態であることを想像していたが、案外それほどの混雑ではなかったのは何よりの救いだ。とりあえず座る場所だけは確保することが出来たのは幸いである。人々が乗り込んでしばらくすると、反対側からの列車が駅に入ってきた。やがて私が乗っている各駅停車は、車輪が軋む音を立てながら動き始める。

ゴーラクプルへ出発

時折、各種夜行列車が通過していく中で、最も優先度が低い鈍行のため仕方ないのだが、走行している時間よりも、停車駅で行き違いを待つ間のほうが長いように感じられる。出発してからだいぶして、夜11時くらいになって停車した駅の表示を見ると、ゴーラクプルまでの道のりの中間点よりも少し先のベーティヤー駅なので、がっかりしてしまう。席は確保できたとはいえ、座席は直角シートなので楽ではない。それでもしばしうたた寝していると、誰か席の無い者が、突然私の膝に座ってきて、痛くて飛び起きる。思い切り怒鳴りつけてやったが、まったく困ったものだ。

それにしても感心するのは、こうした片田舎を移動していても、線路両側にないもないところなのに、ちゃんと高速でネットが繋がることだ。ときおり圏外になったり、2G環境になったりするものの、概ねちゃんと高速通信だ。目が覚めてしまうと、とにかくヒマなので、こうして時間を潰したりするしかない。こうした中で、パソコンを取り出して日記を書くのは不用心でどうかと思うが、スマホならばフリック入力しながらその日の出来事をしたためることが出来る。

この時期の北インド平原部の夜はかなり冷え込む

少し大きな駅に着くと、乗客の入れ替わりがかなりある。周囲を見渡すと、モーティハーリーから乗車した人たち、乗車したときにすでに居た人たちの姿はほとんどなくなっている。車内の誰もがとても疲れている感じなのは時間が時間なので、こんなものだろう。だいぶ前に深夜を回っているのだ。

車内の皆さんはお疲れの様子・・・。

列車は夕方5時過ぎに出発したのだが、終点のゴーラクプルに着いたのは午前3時半。モーティハーリーからの距離は180km程度と思われるが、10時間もかかったことになる。各駅での停車時間を含めてのことだが、平均時速18km。やれやれ・・・。先日発表されたムンバイーからアーメダーバードまでの高速鉄道計画に新幹線の採用決定とは、いったいどこの世界の話?のインド国鉄である。

外に出てみるとかなり冷え込んでいる。疲労困憊している身体を引きずりながら、ゴーラクプル・ジャンクション駅の正面にあるホテルをいくつか当たるが満室と言われるが、ようやく新しめでキレイな宿があった。一泊800ルピー。朝からのひどい下痢とバス移動のため朝食はスキップ。宿が見つからなかったおかげで、遅い昼食と兼ねた夕食も抜くことになった。鉄道駅でビスケットを買って、車内で多少かじった程度だ。どの時間帯にも発着する列車がある大きな駅の目の前なので、こんな妙な時間帯でもお客が出入りしている食堂はいくつもあるのだが、さすがに疲れているし眠いしで、食べに出る気にはならない。ベッドに横になると、そのまま眠りに落ちていった。

本日(とうに日付が変わってしまっているので「昨日から」だが)は、すべてが裏目に出てしまった。収穫もなかったが、まあこういう日もあるというものだ。

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