CHAI IN CHINA

 十数年前の話になるが、中国雲南省の瑞麗(ルイリー)という町を訪れたことがある。同省南西部、ミャンマー領にやや食い込んだ地形で、古くからここに住むタイ系の景頗族自治州の中心地だ。漢族は人口の半分にも満たないのだという。
 周囲を山岳地に囲まれ、他のさまざまな少数民族の出入りも多く、今ではすっかり有名な観光地になっている。しかし外国人の旅行にいろいろと制限が多かった当時、この町はようやく「開放」されたばかりであったと記憶している。
 国境貿易で栄えるこの町は、許可を得たミャンマー人の就労やビジネス等が認められており、なかなか国際的な土地柄でもある。
 タイやマレーシア製の生活雑貨や電化製品を中心に外国製品が氾濫し、路上では浅黒い肌の人たちがミャンマー特産のルビーだという触れ込みで怪しげな石を商い、夜になると国境の向こうからやってきた娼婦たちが出没するなどといった話を聞いた。地元の人たちに紛れてミャンマー側の町を訪れた(警察に捕まるとちょっと厄介なことになるが)という旅行者にも会った。
 何かと中国らしからぬ雰囲気に満ちているこの町ならでは、インド系の人たちが経営する店がかしこにあるともいう。ミャンマー、特にその都市部ではインド系人口が多いので、こういうところに出てくる人だって少なくないのだろう。ちょっと興味を引かれた。

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メディカル・ツーリズム 日本人も視野に

 インドはいまや、格安料金で先端医療を受けることができる人気の国。特に近隣国、中東方面から臓器移植などの大がかりな手術を目的に訪れる人は少なくない。
 昨年パキスタンとの陸路往来が再開されたとき、ラホール―デリー間の最初のバスに乗って両親と一緒にインドへやってきた少女ヌール・ファティマーは、デリーから飛行機でバンガロールへ飛び同市内で入院した。彼女の心臓手術は、印パ関係改善の象徴であったが、同時に医療分野におけるインドの優位性を内外にアピールしたともいえるだろう。
 この国にそうした先端医療がちゃんと存在することは間違いないが、だからといってこの国が「医療先進国」であるとは言えない。あくまでもポイントは「低コスト」であり、対費用の効果が大きいがゆえに注目されるのである。
 インドではひところ臓器売買が社会問題になった。(規制は強まったようだが、多分今でも…)
 倫理的な問題はあるが、切羽詰った患者にとっては貴重なチャンスである。費用さえ準備できれば、ドナーが比較的見つかりやすい現状は否定できない。
 インド政府観光局の日本語パンフレット(2004年9月発行)では、メディカル・ツーリズムに焦点を当て、新しいインドを紹介している。「バンガロール〜ガーデン・オブ・ライフ〜」というタイトルの小冊子には、同市内のマニパル・ホスピタルや、サーガル・アポロ・ホスピタルといった有名大病院の簡単な紹介と連絡先などが記載されている。いよいよジャパン・マネーがターゲットとなりつつあるようだ。
 近年のヒーリング・ブームで、アーユルヴェーダ体験ツアーの広告をよく見かけるようになったが、本格的な近代医療ツアーはまだ耳にしたことがない。だが、この調子だと近い将来、通訳つき医療ツアーも始まるかもしれない。
 多くの日本人にとって、いくら格安で先端医療を受けられたとしても、外国の病院ともなれば、言葉の問題もあり、お国事情もわからない。しかも大きな手術を受けるようなことになれば、なおさら不安は募る。直接コンタクトすることをためらうのが普通だろう。
 すでに政府関係機関がこんな冊子を準備している裏には、利にさといインドのツアーオペレーターたちが、自国の先端医療機関と手をむすび、着々とツアーの準備を進めているのかもしれない。
 普通の旅行と違い、まさに生命にかかわることだし、費用も観光の比ではない。こうした手配でトラブルが起きることのないよう、窓口機関などの整備をインド政府に期待したいところだが、ちょっと(かなり?)危険な匂いを感じるのは私だけだろうか。

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ミティラー地方へ!

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 インドのポピュラーな観光地を取り上げる旅行雑誌は多いが、今月下旬発売の季刊旅行人ではインドの民俗画の特集が組まれるそうだ。
 ワールリー族やサンタル族の絵とともに、日本全国で出張展示会を繰り広げるミティラー美術館でもおなじみのミティラー画も紹介されるとのことだ。
 今年の雨季、ビハール州は洪水に悩まされミティラー地方周辺でも相当な被害が出た。現地取材はちょうどそのあたりの時期に重なったようだがどんな感じだったのだろうか?
 ミティラー地方は現在のインドのビハール州北部とネパール南部の平原部にまたがっており、ここの民俗画は地域の中心地の名前をとってマドゥバニー・ペインテイングとしても知られている。
 マドウバニー市近郊のジトワールプル、ラーンティーといった村々には、国内外から買い付けに来る人たちも多いようだ。リクシャー引きの男に「村まで」と声をかければ、有名な描き手の名前を早口でまくしたて「あんた、誰のところに用事だ?」とアゴをしゃくることだろう。
 来日したときに会ったことのあるお婆さん画家はあいにく『外遊中』のため留守であったが、国外でも名前を知られる描き手の家は村内にある他の家屋に比べてずいぶん立派なものだった。田舎の村とはいえ著名なミティラーペインティング製作者たちの間では海外渡航経験のある人は少なくないようで、彼女の家の近所でそうした幾人かと出会った。
 絵描きの人たちの家はアトリエ兼倉庫になっている。実際に描かれていく様子を目の当たりにできるし、画家本人とおしゃべりに興じながら気に入った絵柄のものをいくつも広げて「どれにしようか」と品定めしていると、あっという間に時間が過ぎていく。
 本来は新婚家庭や年中行事の折に主婦たちによって家庭で描かれてきたものだが、今ではこうした習慣が衰退気味であるともいう。やはりそれも時代の流れかと思えば、「布や紙に描けばお金になるじゃないか」という単純明快な答えが返ってきた。
 家庭の中での信仰とともに描かれてきた神々(題材は神ばかりではないが)が、人々に現金収入をもたらしてくれるようになったのだから実にありがたいものである。
 インド・ネパールの素敵な民芸アイテムのひとつとしてすっかり定着したミティラー画は、それまで農作以外にこれといった産業のなかったミティラー地方で、いまや「基幹産業」のひとつみたいなものかもしれない。そのため従来は女性の縄張りであったこの仕事に進出してくる男性も増えてきているという。

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「インド子連れ旅」に思うこと

おもちゃのオートリクシャー
 もうじき三歳になる息子と妻と三人でインドを訪れた。出発前にはいろいろ不安もあったが、交通機関、宿泊、食事などそれなりに気を配れば大きな問題はないことがわかった。もちろん、幼児を連れて旅をすると、大人だけ旅とは異なり、いろいろ注意すべきことがあるのにも気がついた。
 見るからに危険な外の往来はさておき、幼児にとっては、中級クラスのホテル内にも思わぬ危険が潜んでいる。
 まず日本とは建築の基準が違う。階段の手すりの欄干の間隔が、子供がすり抜けられるくらい広い。階と階の間に転落防護ネットのような気の利いたものはない。ベランダの柵もやけに低いことがあるから気を抜けない。
 また、小さな子どもはたいがい寝相が悪いもの。室内の床がコンクリートや大理石板であれば、就寝中に転落して頭を打つことがないよう気をつけなくてはならない。
 食事については、特に辛いものでなければ大丈夫だった。ただ、最初はおとなしくしていたものの数日経って雰囲気に慣れてくると、料理に飽きてきたのか駄々をこねるようになって閉口した。こんな時は、高級ホテルでなくとも利用できるルームサービスに助けられた。
 毎日の昼寝も欠かせない。日本であれば、外出時に幼児用バギーに座らせておけば済むが、インドでは都市といえども、路肩は未舗装だったり、歩道があっても段差が大きく、凸凹だったりするためまず使えない。そのため外出先で寝てしまうと目が覚めるまでずっと抱っこするはめになる。
 だがインドでは徒歩やバスではなく、オートやタクシーで移動できるので、ほとんど歩かなくて済むという点は救いだった。

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AIR DECCANで飛ぼう!

AIR DECCAN
 バンガロール・シティ駅からプリペイドのオートリクシャーに乗った。チケットには「エア・デカン」の広告が掲載されており、裏返してみるとルートごとの料金が掲載されていた。
 「エア・デカン」はバンガロールを中心に展開する格安航空会社。まだ新しくて小さな会社ゆえ、飛行ルートは限られているものの、料金は他社フライトよりも格安、ほぼ半額から六割程度。鉄道のエアコン一等クラスと比較しても、充分競合できるリーズナブルな運賃である。
 ほんとにそんなに安く飛べるのか…?と同社のウェブサイトにアクセスしてみると、「INTERNET FARES Starting from Rs.500 (+Rs.200 PSF)」という刺激的な見出しとともに、各フライトの驚くべき低価格運賃が並べられていて、思わず目を疑った。


MUMBAI→AHMEDABAD/VADODARA/BHAVNAGAR/KOLHAPUR
……Rs.700
BANGALORE→GOA/COIMBATORE/HUBLI/MANGALORE/HYDERABAD/BELGAUM
……Rs.700
GOA→MUMBAI/BANGALORE
……Rs.700
CHENNAI→BANGALORE/COIMBATORE/MADURAI/HYDERABAD
……Rs. 700
HYDERABAD→TIRUPATI/VIJAYWADA/VIZAG
……Rs. 700
BELGAUM→HUBLI/KOLHAPUR→BELGAUM
……Rs. 960
KATRA→VAISHNODEVI
……Rs. 2000


 これは本当に飛行機の料金か!?と目をこすったが、よく見ると事前予約が早ければ早いほど「早割」が効いて安くなり、その最低料金が上記にある「MumbaiーAhmedabad Rs.700」となるとのこと。

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