聖地BATU CAVES

聖地BATUCAVE
 マレーシア在住のインド系ヒンドゥー教徒の聖地、BATU CAVESを訪れてみた。市内中心部から北の方角にクルマでおよそ30分走ると見えてくる断崖絶壁。その中に聖なる洞窟があり、いくつかの祠とお寺がある。
 車道に面した大きな門をくぐり、見えてくるのは崖の中腹にポッカリ開いた大きな穴と、奥へ続く長い階段。有名どころの割には、金属探知機どころか制服のガードマンさえいない。こんなところはインド本国ではまず見当たらない。ちょっと哀しくなる。
 ところどころに参拝者たちに対する注意書きの看板があるが、タミル語に加え、マレー語と中国語でも書かれているのはいかにもマレーシアらしいところだ。足が半分しかのらないような狭いステップを上がっていくと、体中から汗が吹き出てくる。最上段まで上りきって後ろを振り返ってみると、クアラルンプル市内が広く見渡せる。いい眺めだ。
 巨大な洞窟からは、無数の鍾乳石が垂れ下がっている。天井の最も高い部分は40メートルほどあるだろうか。ところどころ穴が開いており、差しこむいく筋もの光が幽玄さを感じさせる。まさに「神的空間」である。それとは裏腹に入口のところから奥のほうにかけて点在する極彩色に塗られた像や祠は、まさに神々を象徴するものでありながらも、やけに世俗的に見えてしまう。
 タイプーサムの大祭のときには、信者たちでごった返すというが、私が訪れたときはまったくガラガラであった。近隣在住と思われる人がときおりブラブラ入ってくるのを除けば、私ひとりでこの聖域を貸切にしていたようなものであった。
 暗い中で目を凝らしてみると、灰皿があり、吸殻がいくつも残されている。どうやらここで一服つけても構わないようだ。聖地にしてはずいぶん緊張感に欠ける。ちょうどこのとき洞窟内の建物の改修工事が行われていた。これは工事夫たちが残したものだと思うことにする。
 このバトゥー・ケイヴス。階段上り口の手前には礼拝堂、信者たちのための集会ホールなど色々そろっており、宗教施設としてはかなり規模が大きい。
 移民先で信仰の対象となる聖地を見出すということは、まさに「滞在」から「定住」へと進む中で重要なプロセスのひとつなのではないか。インドから人びとが移民した先にこうした「聖地」がはたしてどのくらいあるのか知らないが、いつか機会があればこれらの「発見」と「発展」の過程を追ってみたいと思う。
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