夜遅く着いたときの宿

こんな思いをしたことのある人は少なくないだろう。

路地裏にあるホテル、夜遅い時間帯に戻ろうとすると、行く手を阻む野犬集団。通りかかる人があれば、テキトーにくっついてやり過ごしたいところだが、あいにく誰もやってくることなく時間が過ぎていく。

そんなこともあるので、あまり路地裏深くにある宿はなるべく利用しないようにしている。できれば表通りにあればなお良い。クルマの騒音だの街のざわめきなどというのはまったく気にならないほうだ。普段生活している環境がいつも騒々しいからということもある。

遅い時間帯に鉄道やバスで到着した場合、駅やバススタンドすぐ近くのエリアの宿が取れるといいのだが、これらがひどく街外れに立地していることだってあるので、いつもそうとは限らない。

ちょっとした大きさの鉄道駅の場合、「リタイアリングルーム」が利用できるとたいへんラッキー。今は空きがあればネット予約することも出来るため、鉄道に乗って目的地の宿をまだ決めていなかったら、ウェブで確認してみると良いかもしれない。最大48時間しか滞在できないとはいえ、鉄道好きな人にとっては「駅に宿泊」というのもなかなか良いものだし、深夜あたりになって到着してクタクタの身にはとても助かる。

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ハザーリーバーグの食事処

ハザーリーバーグの食事にはまったく期待していなかった。宿泊施設はとても快適なところが当たり、こういうホテルならば旨いものを出すレストランは併設していても、ここは田舎町なので外にはダーバーしかないだろうとタカをくくっていた。

ホテルの隣にある「ムグライ・ミルチ」というレストラン

 

「時間がないので、すぐに出てきて食べられるものを」と注文したライスとダルフライ。これだけで大変美味しかったので料理の腕・質ともに高いことがわかった。
夜も再訪した「ムグライ・ミルチ」

ところがどうして、ホテルから徒歩圏内にいくつもちょっとアップマーケットで美味しいものを提供するレストランが複数あるのだ。嬉しい誤算だ。

「NEW FRONTIER BAKERY」の上にある「Frontier’s Cafe」も良かった。
田舎町にはそぐわない感じの洒落た店内
チキンロールがオススメとのこと。
宿泊費に込みのホテルの朝食。シンプルだがとても良質であった。

また美味しいケーキを作って販売している店もあり、食後の散歩がてらデザートを買いに出るのも良い。店番をしている女性もフレンドリーで世間話をするのが楽しい。

ケーキの製造・販売をしている店。開いているときに撮影しておけば良かった・・・。

田舎町なのに、食事情もなかなか好ましいハザーリーバーグである。

 

内容は新型コロナ感染症が流行する前のものです。

ハザーリーバーグの快適なホテル

ジャールカンド州のラーンチーからバスで3時間ほどでハザーリーバーグに到着。

サイクルリクシャーで、ガーンディー・マイダーンの端にあるHotel A. K. Internationalに向かう。1泊あたり3332Rs。(税込・朝食付)と高いだけあって、とてもキレイだ。

Hotel A.K. International
ロビー
エレベーターもこんな感じ

とにかく新しくてピカピカ、設備もモダンだ。手入れは行き届いていてスタッフのサービスも良い。普段の私の居住空間でも仕事空間でも、こんなに清潔で快適な場所はない(決して大げさではない)ため、滞在していて快適の極みである。

客室内

ときにこういう贅沢をしてみるのも良い。こんな田舎町に、こういう良いホテルがあるというのは幸運なことだし、田舎であるがゆえにこのクオリティながらもずいぶん割安になっているともいえる。いまどきインドの都会であれば宿泊費はかなり上がっているため、このくらいの料金でラグジュアリーな体験をというのは、無理な相談であるからして。

ここは大当たりなホテルである。

内容は新型コロナ感染症が流行する前のものです。

ラーンチーを出発

8時過ぎに宿をチェックアウト。バススタンドは歩いてすぐのところにあった。

チケットをカウンターで買って乗り込むと、ほどなくバスは出発した。ラーンチー市街地を出るまでがかなり渋滞のためなかなか進まなかった。オンボロなバスではあるが、ちゃんとクッションは効いているのが昔の直角シートとは違うところだ。

バス車内では、映画「HUM SAATH SAATH HAIN」を大音響で上映中。1990年代末にリリースの作品。今ではほとんど見かけなくなった、ダンスシーン満載で、家族愛を取り上げた啓蒙的な作品。インドの親御さんたちが「ハリウッド映画と違って国産映画ならば子供たちと一緒に安心して観ていられる」と言っていた時期の最後にあたる。

 

サルマーン・カーン、サイーフ・アリー・カーン、タッブーなど、今も人気の高い出演者たちが出ているが、今こうしてみると、みんなずいぶん若くてキラキラしている。母親役で出ているリーマー・ラグーも素敵だ。映画公開当時の私には、ただのおばさんに見えたが、こちらも年齢を重ねるとミドルエイジの美しい女性に見える。立ち位置が変わると見えるものが違ってくるものだ。

リーマーは、駆け出しの頃は、ヒロイン役を演じる女優さんだったが、かなり若い頃から母親の役回りが多かった。当初はほぼ同年代の男性出演者の母親を演じることも少なくなかったが、年月の経過とともに自然とそれらしくなり、ずいぶん長いこと「母親と言えばリーマー」の時代となり、ヒンディー語映画の母親役のイメージを占め続けた。そんな時代も3年前に終わってしまったのだが。リーマーが心臓疾患でこの世を去ってしまったからだ。享年58歳であった。

映画は時代を写す鏡。20年前のインドが画面上で展開するこの日のバス車内であった。

内容は新型コロナ感染症が流行する前のものです。

「ヒルステーション」としてのラーンチー⑤

乗り合いオートで出発!

昔のインドの博物館、とりわけ地方のそれといえば、失礼ながらホコリまみれのゴミ箱みたいであった。展示はいい加減でメンテナンスもされておらず、ホコリやゴミが溜まるいっぼうであった。

だが近年は大きく進歩している博物館が多い。ラーンチーの州立博物館もそうだ。展示物は多くはないものの、とりわけ少数民族に関する展示は良かった。村での暮らしがなんとなくイメージできるジオラマがしつらえてあるのだが、よく30幾つの少数民族が住むと言われるジャールカンドの田舎の様子をうまく再現してある。

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州立博物館の上階には絵のギャラリーもあった。こちらはあまり面白くなかったが、ひとつだけ煌めきを放つ作品があり、寄って見てみると製作者名は「Parvati Devi (Hazaribag)」とあるではないか!そう、あの民俗画の村の鬼才パルヴァティ・デーヴィーの作品である。

パルヴァティ・デーヴィーの作品

やはりこういうところに置いても、彼女の作品はまったく別格なのだ。田舎の村で自宅の壁を飾るだけで終わってしまっては、あまりに惜しすぎる。世界で広く認知されるべき才能だと私は思う。

その後、再び移動してトライバル博物館へ。先ほどの州立博物館における少数民族の紹介展示と傘鳴る部分はあるのだが、ここではその少数民族のみに焦点を絞った展示。内容も良くて楽しめたのだが、どうしても許せない展示物が複数あった。

トライバル博物館

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その許せない部分とは、せっかく良いものを置いているにもかかわらず、ショーケース内の電気が点いていないので見えないことだ。点灯させ忘れか、電球が切れているのか知らないが、点灯しておらず見えない展示がひとつやふたつではなく、たいへん多いのだ。何たる怠慢・・・。

このように照明がなされていないものも少なくなかった。

しかし今の時代の私たちには力強い味方というか、頼もしいツールがある。スマホカメラをショーケース内の漆黒の病みの中に向けて、夜景モードにして覗いてみると肉眼では見えなかった展示をスマホ画面上で観察することができるのは幸いである。

消灯していてもスマホの「暗視能力」でこのとおり。
消灯していてもスマホの「暗視能力」でこのとおり。

〈完〉

内容は新型コロナ感染症が流行する前のものです。