アレッピー・コタヤムのバックウォーター

 

出発時間を確認
出るまで少し時間があったのでジェッティー裏手の食堂で腹ごしらえ

アレッピーのジェッティー。たぶんこの様子は1980年代と少しも変わらないし、船の様子やバックウォーター地帯の人々の往来のための水上バスとしての役割も変わらないことだろう。

ただ違うのは特別にしつらえたリクライニングシートと広々としたスペースを備えたツーリストボートがたくさん往来するようになったこと。そしてそれらをハイヤーして水際や水路の風景を楽しんでいるのは主にインド人観光客であること。良い時代になったなあと思う。

ツーリストボート

私にとっては、バックウォーター地域の「水上バス」としてのローカルボートが楽しい。昔々にクイロン・アレッピー間で乗船したときは、バックウォーターの水路がどんな具合に連なっているのか見当もつかなかったが、今はスマホで俯瞰できるのがよい。

感心するのは水路がピシッと定規で引いたように直線的な部分が多いこと。そして護岸もしてあるなど、人が手をかけて管理してきたものであることがわかる。バックウォーターの広大な眺めから水路に入ってきた。

護岸が施されている。

果てしなくどこまでも護岸がなされている。雨季のボートも良い感じかもしれない。強く降ると船内に吹き込んでくるのだろうけれども。良い景色を楽しんでいるうちに、単調でだんだん退屈になってくる。それでも緑豊かなこの景色はすばらしい。

バックウォーター沿いに住宅や集落が点在している。日々の生活にはちょっと不便だろうし、雨季にはかなり大変かもれしない。高潮などで水没したりなどしないのだろうか。

やがて路地みたいな細い水路に入ってきた。このあたりになると「水郷柳川」にホントそっくりだ。

ちょっと柳川を思わせるものがある。

バスの余生

ケーララ州では廃車後に改装してカフェや店に変身させたものをしばしば見かける。コッラム(クイロン)のバススタンド脇にもPink Cafeというピンク色にペイントされたバス中がカフェになっているものがあった。バススタンド付近にはもう1台、店に転用されたバスが置かれている。これらは女性の地位向上を目指す団体Kudumbashreeによる試みで、「restaurant-on-wheels」と称して2020年11月に開始されたものである。

カシミールでシヴァージー?

カシミールのパキスタンとのボーダー、事実上の国境だが両国ともそこが国境とは認めず、カシミール全土の領有を主張しているため「実効支配線=LOC(The Line of Control)」。

ここで、馬にまたがったマラーターの英雄シヴァージーが刀をたずさえてパキスタン側を睨みつけるという像が建立されたそうだ。

しかし気味悪いのはこのシヴァージーの扱い。マラーター族の英雄で、マハーラーシュトラ州では「民族的英雄」ではあるが、決して全国区の人気というわけではない。

ましてやカシミール地域となると、地元のカシミーリーたちにとってインドとの関係は「私たちは占領されている感」が強いものでもあり、いくら偉大な王シヴァージーといってもカシミールはおろかパンジャーブ、ハリヤーナー、デリーやUPにすらその威光が及んだことはない「ヨソの人」。

現在のBJP政権において、ムガル帝国が「外来のイスラーム勢力による占領王朝」として、「インドにイギリスの前に来た侵略者」という位置づけになっており、ついに学校でもムガル帝国について教えなくなるのだそうだが、それと引き換えに引っ張り出されるのがシヴァージーのようだ。シヴァージーがマハーラーシュトラ州以外でこのような形で象徴的な形で引っ張り出されるのは近年これが初めてではないのだが。

ムガルの勢力拡大に対して果敢に抵抗したマラーター王国の大王シヴァージー、ビジャプル王国やゴルコンダ王国といったムスリム勢力とも争ったヒンドゥー王国の主だったが、絶頂期にあってもムガルに比肩できるほどの勢力圏があったわけでもなし。また同じヒンドゥー勢力でもラージプートの諸侯との関係は「敵対」であった。

おそらく今後、史実に照らして怪しい伝説めいた誇張も含めて、さらなる偶像化が進められていくのかもしれない。

シヴァージー礼賛には「反ムスリム支配」という強烈なメッセージ性があることに加えて、北インドの人物ではなく、南インドの人物でもない「デカンの王」という、中間的な地理間も「国民的英雄」に仕立て上げるには都合がよいのかもしれない。

またマハーラーシュトラで盛んな「マラーター民族主義」の象徴的存在でもあるが、これを「国民的英雄」に祭り上げることで、その「毒を中和」する効果も期待できるいということなのかもしれない。

現在もマハーラーシュトラ州では「マラーター・アーラクシャン」ことマラーターの人々への留保、つまり北インドのビハールやUPなどからの人口流入が著しいため、これらを排除して地元民に進学を職を優遇せよという要求が続いている。

つまりマラーターの人々を他のインド人と区別してのことなのだが、これでマラーターの人々の象徴であるシヴァージーが「インドの象徴」となってしまえば、マラーター民族主義とはインド全体を包括する民族主義なのだというような、地域民族主義の台頭に手を焼くBJP政権にとっては、レトリックの大逆転?みたいなことすら可能になるかもしれない。(笑)

いずれにしても、イギリスによる「インド統一の前」で、インド各地がバラバラであった時代の王に「国民的統合の象徴」を求めるのにはたいへん無理がある。やはり国民的英雄で全国の統合の象徴といえば、各地の藩王国を新生インドに帰順させた初代副首相にして内務大臣でもあったサルダール・パテールをおいて他には誰もいないのだが、「アンチ・ムスリム」のスタンスでもマラーターのシヴァージー。捻じれに捻じれた「国民的英雄」のイメージであるように思われる。

Shivaji’s statue comes up along LoC in J&K’s Kupwara (DECCAN Chronicle)

旅行予約サイトあれこれ

夜遅く到着する際には事前に予約しておくことができるとありがたい。またアプリによるマップの表示により、どのあたりに宿が集中しているのか、朝早く出る際には駅正面がいいなぁなどと、いろいろ希望もあるので、それらに合わせて選べるのが良い。事前支払いなしで、チェックイン時の会計がベスト。

しかし必ずしもそうでもなく、予約した途端、料金の半額の振り込みを要求してきたり、全額を☓日前までにと連絡がきたり。もちろん宿のほうとしても見ず知らずのお客が本当に来るのかという懸念もあるはずだから、それもわからなくはない。

またbooking.comやagodaのような国際的なサイトでは高めに、goibiboなどのインドの地場サイトではそれよりかなり安く出している宿もある。ただ地場サイトだと最近困るのは、ログインが「メール+パスワード」ではなく、携帯電話に送られるワンタイムパスワードでのログインとなっていることだ。登録できるのは国番号91のインドの携帯電話番号に限られる。これだと毎回新規にプリペイド契約をしている場合、渡印前には使えないし、クレジットカード情報などが、番号が変わるたびにIDも変更となるため、どこか宙に浮いた形になるのもありがたくない。

かつては国鉄予約の際などの動作に安定感があり、宿予約については少々弱いものの、航空券予約でもよく利用したCleartrip。だがこちらもログインはインドの携帯電話番号が必須となるとともに、頼りにしていた鉄道予約の取り扱いがなくなったため、利用する機会はなくなった。

今のところメジャーどころの地場サイトで、インドの携帯番号なしでログインできるのはMakeMyTripくらいだろうか?使い勝手の良いサイトであることは幸いだ。

宿の予約については、日が近くなると基本的に前払いさせるようになっているところが多い。だがMakeMyTripを通じて支払うことになっているため、個々の宿が用意している支払先に較べてよほど安心感がある。

それと地場サイトだと、外国人を泊めない宿も出していることだ。せっかく予約しておいたのに着いてから「あ、申し訳ないですが・・・」と断られたこともあった。もちろんそれで「直前キャンセル」になることによるペナルティーを請求されはしなかったが。

まあ、よほど混む時期、夜遅く着くとき以外には事前予約などしなくていいのだが、どこかを予約すると、ついつい「ついでにここも・・・」とポチッてしまうのである。

宿の予約に失敗

アレッピーの宿をbooking.comで予約した。しかし予約後の連絡をよくよく見ると2,000Rsもするのにドミであることにショック(シングルルームのつもりであった)を受けたが、さらにショックだったのは「女性専用」とあることだ。

慌てて連絡先に電話してみるが、そのホテルそのものではなく、ホテルグループの各地にある施設を集中管理しているところであった。事情を話して男性用のドミか個室に振り替えてくれるよう依頼するが空きがないとのこと。それでもキャンセルすると2,000Rsかかると言われて困惑する。

こちらの確認不足のせいではあるため私自身に責がある。特に「返金不可」となっていたため、もっとしっかり確認すべきであったが「あと1部屋」などと表示されているので焦ってしまったようだ。

施設名、利用した予約サイト、予約番号を伝えると、「申し訳ないんですが、キャンセルできません。まだ請求は上がってきてないんですが、おそらくまもなく・・・」との一点張り。男性用ドミやシングルルームも満室で空きがないという。

Booking.comに電話してみたが結果は同じ。仕方なくbooking.comに用意されているメッセージ機能を使って、さきほどの宿の運営会社に同じ内容でキャンセルを依頼すると、話を上役にエスカレーションしてくれたのか、まもなく回答が来て「クレジットカード決済ができなかったことにして、こちらでキャンセルしておきました。そのため課金はされませんのでご安心を」とのこと。

ほどなくこの施設から「カードの確認できませんでした。カード情報アップデートしてください」との自動連絡が入った。気を利かせてくれてありがたい。このカード情報についていじることなく、放置しておけば一件落着とのこと。

いずれにしても予約確定させる前によくよく確認することが必要だ。とりわけ返金不可という場合には・・・と深く反省。

ドミトリーといえば、昔は男女の別はなく、真夏にたまたま西洋人女性ばかりのACもない蒸し暑い部屋に放り込まれたら、みんなあられもない姿でとても困ったことがあった。なぜ全裸やそれに近い姿で部屋の中をうろうろするのか?と。

こちらは頭に血がのぼったのか鼻血まで出してしまうこともあり、恥ずかしいったらありゃしなかった。

果たして2,000Rsのドミというのがどういう感じなのかは気になるところである。日付を変えて検索してみると1,000Rs(それでもドミとしてはずいぶん高いと思う)とあるので、ハイシーズン料金らしい。女性のみのドミと男女混合のドミとあるらしい。料金からして空調が効いているものと思われるため、そんな恰好の人はいないことだろう。