登場 GR-DIGITAL II

GD-DIGITAL II
リコーのGR-DIGITALは発売以来2年間以上販売されるという、コンパクトデジタルカメラとしては異例の長寿モデルとなった。発売以来、デジタルカメラで唯一無二の28mm単焦点のこのモデルの人気はご存知のとおり。そのGR-DIGITAL今年10月には生産中止となり、どうやら次期モデルが投入されるだろうと聞いていたが、ついに10月30日に後継機GR DIGITAL IIがアナウンスされた。発売日予定日は11月22日だ。今まで同類のカメラは市場に出ておらず、ライバル不在のままで代を継ぐことになった。
前モデルと比較してびっくりするほど大きく変わったというわけではないようだ。むしろ『マイナーチェンジ』といってもいいかもしれない。昨年10月発売のPowershot G7の後継機として、今年9月から売り出されたG9のときもそうだったが、先代の外観、機能、操作性をほぼそのまま継承し、基本性能を若干向上させたうえでユーティリティー面での充実を図るといった手法は今や珍しくないようだ。おそらくデジタルカメラという商品自体がある程度の成熟期を迎えており、ごく短期間で飛躍的な発展を見ることは今後あまりないのかもしれない。しかし市場に投入される製品のサイクルは相変わらず短いので、現存機種が鮮度を失わないうちに何かしらの改良を施して改めてリリースする必要があるのだろう。


このGD-Digital II、外観は初代のものとほとんど変わらない。レンズも同じく28mm相当でF2.8の単焦点のものを搭載し、有効画素数を813万画素から1001万画素に上げたほか、GRエンジンIIがノイズを大幅に低減したとされる。これにより高感度での撮影での効果が期待されるのだとか。なんでも新型機でISO400の感度でのノイズが、旧型のISO100撮影した画像程度に収まっているのだという。高感度域での画像の荒れ具合についての不満は私自身も感じていたし、同様の意見をあちこちで耳にしていたので、この部分だけでも高く評価する向きは多いことだろう。
使い勝手の部分でも地道に進化している。よく使用する機能や設定などを、ふたつ用意されている『マイセッティング』に登録できるようになった。そこにダイヤルを合わせるだけで簡単にその状態を呼び出すことができるのはうれしい。これらに加えて、RAW撮影の際のレスポンス向上、GX100同様に1:1の正方形フォーマットで撮ることも可能になり、速度センサーを使用した電子水準器が搭載されている。
またオプションで外付けファインダーと40mm相当の画角となるテレコンバータも準備された。以前から販売されている21mm相当画角のワイドコンバータと合わせて撮影の楽しみの幅が広がる。 どちらも従来のGR DIGITALで利用できるのはありがたい。
ただ最近少々気にかかっているのが液晶画面の大型化である。GD-Digital IIについても旧型のものに比べてごくわずかにサイズアップ(2.5型から2.7型へ)している。モニターが大きくなると見やすくて助かるし、いまさら2、3年ほど前に出回っていたモデルに搭載されていた1.8型程度の画面では不便に感じるだけだろう。しかしデジタルカメラ最大のウィークポイントといえるのがこのガラス画面の部分であることはいうまでもない。利便性が向上するのは歓迎だが、その結果としてぜい弱な面積が広くなることについてはかなり不安をおぼえる。
結局、実用品なので日頃からポケットやカバンの中に無造作に放り込むなど、ついつい扱いが荒くなってしまうものだ。特に高級機については、各社ともボディについては合金を使いタフさをアピールしていることが多いものの、どこもモニター部分についてはノーガードなのである。ここだけは圧力や衝撃にとても弱い。今のところ自分自身は手持ちのカメラのこの部分をうっかり壊してしまう失敗をやらかしたことはないが、『やってしまった!』という話はしばしば耳にする。『合金並みに丈夫なモニター』とは言わずとも、このあたりの保護対策を考えて欲しいものだ。
前述のとおり、あまり大きく変わってはいないようなので、旧来のGRユーザーの中でも『即購入!』という風潮はあまりないのではないかと思う。それだけに『2年経ってもこの程度の進化?』といぶかる向きもあるかもしれないが、次々と出てくる新モデルに目移りすることなく長く使えるいいカメラなのではないだろうか。カメラメーカーとしては今やコンパクトデジカメしか製造していないリコー社のフラッグシップ機ということもあるし、このカメラに対するユーザーたちの期待値が高いだけに開発陣には相当大きなプレッシャーがかかったはずだ。
旧来路線を踏襲し、GR-DIGITALの良さを手堅く進化させた今回のモデルチェンジにより、新型機が爆発的に売れるということはないにしても、GRブランドの唯一無二の趣味カメラとしての評価はさらに高まるだろう。加えて長く使える良品デジカメとしても極めて例外的な存在となることも間違いないはず。
11月22日の新製品発売に合わせて、旧GR DIGITALのファームウェアもバージョンアップされる。初代機についてはこれが最後のファームアップとなるようだが、これまでことあるごとに新しいファームウェアのリリースとともに不具合の修正のみならず、新しい機能が追加されてきた。今回の新バージョンにより、GD-Digital IIの新機能の一部が利用可能となるらしい。購入後もしばしば機能が拡張されていくのはユーザーにとってうれしい。もっとも今回のリリースは新型機の販促のための手段のひとつということもあるのだろうが、リコーには面倒見の良いメーカーというイメージがある。
同じメーカーの製品であること、そして焦点域で重なる部分があるため、操作体系がほぼ共通であることに加えて24mm〜72mmズームの搭載したGX100と比較されることが多いようだ。もちろんGD-Digital IIには単焦点であるがゆえのメリットが大きいし、上級機種であるがゆえにGX100には用意されていないより細かな設定も可能となっている。それでもワイドコンバーター(21mm相当)とテレコンバータ(40mm相当)装着時を含めて、前者の画角はすべてカバーできること、やはりズームがあると何かと便利なことも多いことから、『それじゃGX100でいいや』という選択も少なくないようだ。後者の出来もとても良いがゆえに兄貴分のシェアを食ってしまうという皮肉な部分もあるようだ。
どちらも小型軽量カメラなので、2台まとめて持ち歩いてもちっとも邪魔にはならないのだが、いまどきの一眼レフ入門機のボディ相当の値段はするので『まとめて買っちゃえば?』とはなかなか言えない悩ましさがある。
ともあれ、GR DIGITALGX100も、日常でも旅先でも気楽に持ち歩けて、自由に思い切り使い倒せる楽しいカメラ。すると地道に進化したGD-DIGITAL II はこれまで以上に『インドでどうだろう!』ということになるのである。

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