競り勝つ力

東洋経済2007年10月20日号
現在発売中の東洋経済10月20日号で、『インド人と中国人』という特集が組まれている。この類の経済誌でBRICsの国々の市場動向、産業構造、進出の事例といった部分にスポットが当たることが多いが、今号は両国の頭脳パワーに焦点を絞っている。コストが低く抑えられるアウトソース先としてではなく、人件費が安い『工場』としてでもなく、突出した才能や優れた能力を持つ人材の供給元としてのインドと中国を追う。それがゆえに今回の目玉は両国の『人』なのである。
印中合わせて25億人にも達することはさておき、これら平均値の無い国々中で所得階層上位10%に属する人たちだけでも充分『大国スケール』だ。所得同様にインテリジェンスについても、広い国土の膨大な人口にまんべんなく行き渡るのではなく、全体から見るとごく一部分に非常に濃密に凝縮されているように見える。しかし巨大な分母(=総人口)からすれば相対的にごく小さなセグメントであっても、単純に『数』として捉えれば他国をはるかに凌駕する規模となってくる。
そうした事柄を踏まえて、両国を代表するトップ教育機関と学生たち、その卒業生たちをめぐる人材争奪戦、エリート校出身の財界人の活躍等々といった記事が並ぶ。
地球がどんどん小さくなり、世界のフラット化が急速に進む昨今、どこに暮らしてもいわゆる勝ち組とそうでない人々との格差は開くいっぽう。しかしながら人は収入の多寡のみを励みに生きていけるわけでもない。働き方や稼ぎ方、ライフスタイルや価値観など様々なものがグルグルと目まぐるしく移ろう今の社会で、個々が満足できる居場所を見つけるのはそうたやすいことではない。そのダイナミズムこそが成長のエネルギーであり、そこで勝ち抜いてきた人々知識、能力や経験だけではなく、まさに『競り勝つ力』について着目したのが今回の特集であるようだ。

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