月の水

月の北極付近に相当量の水が存在することが明らかになったのだそうだ。
Ice deposits found at Moon’s pole (BBC NEWS)
昨年8月下旬に通信が途絶したことによりミッションが終了しているインド初の月探査機チャンドラヤーン1号により得られたデータにより判明したものだという。
人工衛星の打ち上げ数では、ライバルの中国に対してはまだ遅れをとっているものの、ドイツやイギリスと肩を並べ、宇宙開発の分野でメジャープレーヤーとして定着して久しいインドだ。今後も人類の宇宙探索の様々な方面で貢献していくことになるのだろう。
将来利用可能な資源の探索はもちろんのこと、軍事目的での転用など、様々な実利的な目的あっての壮大な事業だが、かつて西洋人たちが東西に船舶を走らせ、欧州域外への進出を図った大航海時代が始まった時期と似たようなものかもしれない。
いつか人類が月や火星からミネラル類を輸入したり、開発プロジェクト等のために他の星に長期滞在したりする時代がやってくるのだろうか。各国の思惑が交錯する中で、地球外の空間や土地における主権や統治の概念等は、どのようになっていくのか見当もつかない。それがゆえに有力な国々が競って宇宙への進出を画策しているのだろう。
軍事、ロケットといえば、インドのミサイル、アグニ3は、射程距離1,500〜3500 kmの同国で文字通り第三世代の中距離弾道ミサイルで、アッサム州内から発射した場合、北京や上海も射程距離に入るようになっている。
前世代のアグニ2は飛行距離800から2000 kmで、スィッキム北部の軍事施設からなんとか四川省の成都あたりには届くといった程度であったのに比べて飛躍的な進歩である。
次世代アグニ5は,(なぜ『4』をスキップして『5』になる。おそらくそれまでの中距離弾道ミサイルから本格的な大陸弾道ミサイルへと進化し、別格のものとなるからであろう)では、航続距離を5000 kmまで大幅に伸ばし、インドのどこからでも中国のほぼ全土が射程圏内に収まるようになる。
宇宙開発は、国の将来への投資であるといえるし、そうした先端技術を持つことが、国力自体を増進させるという効果もあるのだろう。またミサイルについても、現にパーキスターン、中国という核を保有する国々と長年緊張関係にあり、国防上のバランスを取っていく必要性を否定できないだろう。
しかし宇宙開発も軍拡も、これらの事業を行なうことにより、どれほどの予算が費やされているのかということを思えば、ちょっと複雑な気持ちになる。
昨今、経済発展が好調なインドとはいえ、そこはスタート地点があまりに低かったがゆえに、動き出せば伸びしろが大きいということに他ならず、今でも決して裕福で社会的に余裕のある国ではない。
巨大な予算をつぎ込んで、先端技術を駆使した開発が華々しくなされているいっぽう、世界最大の貧困人口を抱えているこの国では、生活環境等改善のため、こうしている今にも適切な投資を必要としている人々が大勢いる。
その配分をどうするのか決めるのは、言うまでもなく政治の役割だ。一足飛びに生活大国へ・・・というのは無理にしても、先端技術で華やかな成果を謳いあげるのと同じくらい、社会のボトム部分の底上げを実現できる日が来ることを願いたい。

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