とっても良さそう! ジッツオの旅行用三脚

ジッツオ GT1550T
 高級ブランド『ジッツオ』の三脚なんて私には分不相応と、これまで視野にさえ入っていなかった。だが最近同社から『Traveller』という商品名で発売された自由雲台付きのカーボン製三脚は大いに気になっている。
 朝方や夕方以降、風景や静物を撮影する際等々、旅先で三脚が欲しいと思うシーンはしばしばある。そこで持参した小型ながらも剛健な造りの三脚を何か適当な台になるようなものを見つけて乗せたりしていたのだが、そうしたものが常に見つかるとは限らない。あったとしても厚い塀や建物の一部であったりして任意の場所に移動できるようなものではなかったりする。やっぱりちゃんとした大きな三脚が欲しいなあ、でも大荷物になるから持って来るのは無理だなあと諦めていた。
細くて軽量なモノはそこらでいくらでも売られているのだが、不安定ですぐにブレてしまうような代物をわざわざ持ち運ぶ気はしない。三脚は『可能な限りガッチリと骨太で重いものを・・・』というのが常識である。すると運搬にかかる体力的な負担も大きく敢えて旅先に持っていく気がしないのは当然のことであった。


 だが最近ジッツオから旅行にも持参可能な大きさと重量かつ実用的な強度を備えた旅行用というコンセプトの三脚『Traveller』が発売になったのだ。
 現在ふたつのモデルがエントリーされており、GT1540Tは脚部四段で伸長140cm、GT1550Tは脚部五段で伸長146cm、どちらも最低高は35cmである。それで重量はわずか1キロしかないのはビックリだが、何と耐荷重は2キロまでOKというからたいしたものだ。デジタル一眼レフとズームレンズ(よほど大きなものでなければ)の組み合わせならば充分にホールドしてくれるのである。この商品の存在を初めて聞いたときには耳を疑った。そんな三脚ありえないだろうと。まさに『ありえないだろう』という部分に需要があると見て実現化に挑んだのがジッツオで、これを見事完成させることができたのは名門ならではといったところだろう。
 軽量で細身であるにもかかわらず、非常に精巧でしっかりとした造り。加えて折りたたんだ際の長さを縮めるため脚部に『180度収納機構』を採用。通常、三脚格納時には脚の先端の石突きが雲台と反対のエンドに来るはずなのだが、この『トラベラー』の場合は縮小させた脚をギュッと持ち上げ反対側に折りたたむようになっているため、雲台と同じ側に脚先端が来ることになる。こんな三脚これまで見たことがない。この方式により、収納時の長さが25%ほど短くなるのだそうだ。革命の国フランスらしく(?)実に革新的なコンセプトと構造を持つスグレ物三脚である。
180度収納機構
 ただし価格となるとこれまたかなりのものだ。高級ブランドであることのみならず名門が持てる技と知恵を結集させた画期的商品でもあることからやむを得ないのだろうが、10万円出してごくわずかにお釣りが来る・・・といった具合である。
 プロが仕事で使うような立派なものが買える値段(これよりも安い価格でもしっかりした業務用三脚はワンサカある)だ。そもそも『旅行用三脚』なんていうヤワで中途半端なものをこんな大金出して買うような人がそんなに沢山いるものだろうか?という気がする。  
 ただし秒進分歩のデジタルカメラは大いに惚れ込んで購入してもすぐに陳腐化してしまう『鮮度が命』の消耗品であるが、三脚はお気に入りの道具として長く活用することができる。だからお金をかけるならばむしろこちらのほうに・・・という考え方だってできるだろう。
 だが我が身を振り返ってみれば、旅先で四六時中三脚の上にカメラを置いているなんてこともあり得ないし、小型軽量とはいえ増える荷物の容積と重量は決してバカにならないのでなかなか悩ましい。それに10万円近くする三脚をうっかり失くしてしまった日には、どれほど深く落胆することだろうか。

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