パフラット バンコクのインド人街 2

 STDと書かれた店があったので入ってみる。スィク教徒の初老の男が経営している。本業は旅行代理店らしい。ISDもできるかとたずねると大丈夫だというので国際電話をかけた。主人はもともとUPのカーンプル出身で学業を終えてからはデリーで商売をしていたという。しかし1984年のインディラー・ガーンディー暗殺事件以降の対スィク暴動があってからバンコクに移住することになったのだという。もともと身内がこの街にいたので、インドを後にすることについては特に躊躇するところはなかったという。『もちろんワシだけじゃない。そのころここに移ってきたスィクはけっこういたな』とのこと。バンコクに在住のインド人・インド系人口については『たぶんエーク・ラーク(10万)はおるのではないかな、正規の滞在資格やタイ国籍を持って住んでいる者たちが。それ以外にモグリで来ている連中、一時滞在の旅行者、飛行機の乗り換えで数日間泊まる人も多いからなあ。正直なところよく判らん』とのことだ。
インド人宿
インド人宿の注意書きはヒンディー語で書かれていた
 あたりにはインド系専用の宿がいくつもある。どれも暗くて汚いもので、インドにある安宿そのままだ。そうした中で宿の注意書きがヒンディー語で書かれているものがあったので撮影しておいた。
 大通りをはさんだ反対側もまたインド人地区である。こちら側にはスィク教徒の団体事務所やグルドワラも見える。パフラット全体がインド人地区というわけではないが、この中に相当な規模のインド人地区があるといった感じである。面白いのは彼らが特に固まって商売している地域があるかと思えば、人ひとりがやっと通ることができる細い路地の反対ではインド人の店が一軒もなかったりする。タイ人の店はインド人が集中している地区にもちょこちょこ点在している。。


オーディオショップ
 インド人地区ではかなり混血も多いようだ。インド人とタイ人の中間の容姿の人もけっこういる。家族連れらしき中には普通のタイ人にしか見えないような息子や娘が混じっていることもある。この地域でインド系の人々の商売で主なものは、レストラン、ホテル、旅行代理店兼電話屋、雑貨屋、神具店、インドの衣類の店、布地の店、インド食材店、ミターイーの店、インド映画のDVD・VCD・Music CD・ビデオといったオーディオ関係の店などである。この地域での映画ソフトの品揃えはなかなかのものだ。新しいものから古いものまで、バンコクでコピーした海賊版にインドから輸入したものまでいろいろある。価格は60バーツから100バーツ程度で、Dhoom2やKabul Expressといったごく最近のものも並んでいる。この地域ではインドルピーをタイバーツに両替している店も多いようだ。
スィク教関連団体
グルドワラー
 それにしてもここで働く人々の労働環境はインドと変わらない。店主たちにしてもインドの普通のバザールでやっているのと同じような規模のものばかりである。なんだかモグリの人たちも相当数出入りしていそうな雰囲気がある。。先述の電話を利用した店のスィク教徒主人によれば、インド人以外にもバングラデシュ、パキスタンの人々も沢山いるとのことだ。
 インド人地区では音楽が流れていたり、声が大きかったりとザワザワしているのだが、タイ人しかしない地区になるとずいぶん静かな気がする。バンコクの街自体がかなり騒々しい気がするのだが、それでもタイ人たちはインド人に較べるとずいぶん物静かなのだろうか。
 女性たちが主体的によく仕事をしているタイにあって、バンコクのインド人地区では働く女性はかなり少なく、せいぜい家族が経営している店の留守番程度だ。またインド人女性の姿の代わりに(?)雇っているタイ人女性たちが忙しそうに働いていることも多いように見受けられる。タイにあってもインド人地区では商売や仕事の中で女性の占める役割の幅がすいぶん違うように思われた。

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