バングラデシュの翼 日本乗り入れ便運休

biman bangladesh
 長らく親しまれてきた(?)バングラデシュ航空の東京便が運休となる。(よくビーマン・バングラデシュという表記を見かけるが、本来『・』の前に部分については『ビマーン』とすべきである)
 この決定がなされたのは今月に入ってからだが、少なくとも今の時点では11月から来年3月まで、東京発着便の運行停止が確定している。4月以降については今のところ未定。同社に問い合せてみたところ、理由は『不採算路線のリストラによるフライトネットワーク再編成』とのことである。
 無論、先進国の首都に飛ばすから儲かるというものではない。今年5月のファクルル・イスラーム・アーラムギール航空大臣の発言によれば、ダッカ・ニューヨーク便についてはフライトあたり8万ドルの赤字が出ている計算になるとそうだ。もちろん発着にかかる費用や燃料費のみではなく、アメリカ現地に事務所を構えて操業するにあたってかかるトータルなコストを含んでの話である。


 東京便が運休となる11月以降、他社のコードシェア便が東京・バンコク間に代替として用意されるわけではないため、日本から南アジア方面に出かける人々の利用もほとんどなくなるものと思われる。毎週往復一便ずつではあったが、成田からバングラデシュの首都ダッカに直行できる貴重なフライトであっただけに残念に思う人は少なくないだろう。
 10月16日現在、同社のウェブサイトでこの件についてまだ告知がなされていないため、同社のフライトを予定している方の中には、『寝耳に水』なんていうこともあるかもしれない。フライト停止までに利用する人については問題ないが、それ以降の予約あるいはオープンチケットを持っている人については、航空券の有効期限内であれば全日空を中心とした他社便への振替を行なうことになっている。
 毎年巨額の赤字が累積しているとともに、放漫経営や汚職に対する内外からの批判も多いバングラデシュ航空。近年は民営化を目指して『フライト・スケジュールの改定、海外事務所におけるスタッフ数の削減、顧客サービスの向上などに努めてきた』とされる同社だが、このところ燃料や機体整備にかかるコスト上昇がさらに追い討ちをかけたものと見られている。
 同社が保有する13機のうち5機は老朽化と整備不良のため使用されていないとの報道もある。バングラデシュ・ペトロリアム社に対する数百万ドルの未払いを抱えており、一時は燃料の供給を停止されそうになったこともあるなど、経営はまさに火の車という状態が続いている。
 国営のバングラデシュ航空は、会社建て直しのための資本投下を早急に必要としており、目下外資のパートナー探しに躍起になっている。いわば部分的な民営化といえるこの策の成否に存続がかかっているようだ。
 当面、東京におけるオフィスは営業を継続するとのことだが、なるべく早めにコンタクトしたほうがいいかもしれない。
 ちなみにバングラデシュ航空のムンバイー便も運休となるため、今後同社によるバングラデシュ・インド間の行き来はデリーとコルカタのみになる。南アジアの空の便で、好景気を背景に新興の国内線の会社が手広くネットワークを広げたり、近隣国への路線に進出したりする動きがあるいっぽう、既存の会社の中には苦しい闘いを強いられていることを示す一例であろう。

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