チョーティーワーラー

チョーティーワーラーの人形
 ウッタラーンチャル州のリシケーシュにて1958年創業の菜食専門店(場所柄もちろんのことだが)で、半世紀近くにわたりパンジャービーとマールワーリーの料理を得意とするこのレストランは営業を続ける老舗。創業の地リシケーシュ、ハリドワールなどに幾つもの支店を展開してきたChotiwala (चोटीवाला)。
 メニューのバリエーションも料理の味のほうもどうということはないのだが、ちょっとした中級レストラン並みのところから場末のダーバー程度ものまでと、同じ「Chotiwala」の看板を掲げていながらもまったく統一感がないのは田舎のレストランチェーンらしいところ。
 ちなみにchoti(チョーティー)とは写真にあるとおりのピッグテイルというか、頭のそり残した部分からなる髪の房のこと。チョーティーワーラーとはこの髪房のついた人ということになるが、いっぽう幽霊や化け物といった意味もあるようだ。同時にchotiとは山の頂のことでもあるため髪の房と「最高の」ということをかけた駄洒落のつもりなのだろうか。


 このレストランチェーンには他の同業者にはないユニークなポイントがある。それはレストランのシンボルマークである「チョーティーワーラー」の人形や絵とともに実物が入口にところにデンと鎮座して通行人たちを睨みつけていることだ。
 修行者が多い土地柄、このチョーティーワーラーたちの姿を見てちょっと変な聖者かと思う向きもあるかもしれない。この役を担う人物は総じてデップリと太った大男たち。しかも悪党面をしたオジサンが多い。そんなわけでマスコットとしてはちっとも可愛くなんかないんだが…。
 それに彼らはチェーンの各店でChotiwalaのマスコットを演じているはずなのだが、これまたひとりひとりずいぶん違った感じなのだ。個々の体格差は仕方ないにしても、身にまとうものも身体のペインティングなどもバラバラで、これまた統一感がない。
 だがこの生身のマスコットは特にこの地域外から来たインド人観光客たちにはなかなか好評のようであった。一見ちょっと気持ち悪い人形みたいなマスコットが急に手を上げてドスの利いた声で「いらっしゃい、ようこそ!」などとやるものだから「ヒィ〜!」と驚いて飛びのくサーリー姿の中年女性あれば、チョーティーワーラーの膝の上に座って大喜びの子供の姿をカメラに収めるお父さんもある。
 このレストランはホーリーの祝日を除いて年中無休。暑い夏はもちろん、寒風に晒される冬など毎日大変かと思うが、チョーティーワーラーたちは今日もまた店を出入りする人々を睨み続けている。
生身のチョーティーワーラー この人は温和な感じであった。

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